第一妃とのお茶会
早いものでお城に来てから1か月が経った。
初日に5人と格闘した翌日は5人は部屋には来たけれど
そういうことはなくってずっとお喋りをしていた。
5人で一人というそのなんとも言えない境遇、そしてそれが国の皇子だと言うこと。
第一妃とは小さいころからずっと一緒に育ったようなものだということ。友情とやはり共犯のような関係なのだと。
そして私が生まれ育った環境や候補に選ばれたと聞かされたときの話をしたら
5人で大爆笑していた。「ジューンでよかったよ」とは言われたけどなんかむかつくわ。
そして次の月曜日から順番に彼らは私の部屋へやって来た。
一人づつと濃密な時間を過ごしてわかったことがある。
彼らは顔だけではなく、全てが別なのだと。
その指や温度や、視線、タイミング、何もかも違って私はこんなに淫乱だったのかと自分で思うほど、毎夜、頂点に達した。
週末は土曜日と日曜日で2人と3人で分かれてきたり、5人で襲われたり、その時々で色々だったけど必ず一週間で2回は全員と交わった。
そして第一妃とはなかなかタイミングが合わずようやく今日、顔合わせとなった。
第一妃はお城の反対側に部屋があり、その先の庭に宮を構えていた。
今日はその宮のあるお庭でのお茶会となり、それに招待された。
「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。ジューンでございます」
間近で見る第一妃様は、言うなればヅカっぽい。光り輝くオーラがまぶしい。
「そんな畏まらないで。二人しか居ない妃同士ですもの。仲良くしてね」
勿体ないお言葉・・・ありがとうございます。
着席を促され、ステンと座る。
今日も紅茶が美味しい。
「で、あの5人とはどう?夜もうまくいってる?」
ぶふぅーーー!ごくっ!
噴き出さなかった私は貴族だわ~~。
「え、ええ、はい」
「うふふ、ごめんなさい。かわいい、かわいいとずっと聞かされていたものだから。早くお会いしたかったの」
かわいい、ですか。
「ええ、あの5人がね、口々に言うのよ。ジューンが可愛いって」
・・・恥ずかしすぎるんですけど。
「あ、あの、第一妃様は・・」
「メアリーでいいわ」
メアリーさま、
「さまも無し!」
お、恐れ多いですぅ・・・・でも目力が半端ない・・いろんな意味で怖い。
「め、メアリーは・・」
ヨシ、って顔された。
こほん。
「メアリーは、その、嫉妬とか・・」
「あー、聞かなかった?あいつらにまっっったく、性的魅力も何も感じないのよね。弟とも違うし、悪友且つ、共同戦線ってところかな。あいつらが頑張ってくれないと私も共倒れしちゃうって感じの」
なるほど・・・
「それにね、聞いてないかな。アマーリエ!」
す・・・っと後ろに控えていたメイドがメアリーの横に付く。
そのアマーリエを、え?
膝の上に座らせた・・・え、ええ、えーと。
「私はね、アマーリエを愛しているのよ」
そういうと、アマーリエがメアリーの方を向き、メアリーがアマーリエにふっかい口づけを・・私は何を見せられ・・・げふんげふん。
ひとしきりいちゃつく姿を鑑賞した後、アマーリエは後ろに引いた。
「ごめんなさい、我慢できなくなちゃって。今、月のものが来ているせいでちょっと性欲が高めなのよね~」
本当に、女性が好きだったのね・・・
「だから、心配しないで、ジューンがアマーリエにちょっかい出さない限り、私はジューンとは未来永劫仲良くしていきたいと思っているわ」
ぜっったいに、アマーリエには指一本触れません、とお誓いいたします・・。
「うふふ、そんな、信じているわ。ジューンがあの5人を愛していることもちゃんとわかるし」
なんだかこっちも濡れ場を見られたような気分だ・・・。
それでも。このひと時でメアリーとも仲良くなれた気がする。
「私は基本、ワーカホリックでね、政治も仕事も大好きなの。あいつらは5人だから5等分だけど、私は私一人で仕事を抱えているからね。まぁ、だいぶ、助けては貰っているけど、それでも私しかできない仕事もそれなりにある。だからそれ以外をアマーリエに費やすと、ほかのことが全然できないの。ジューンとも仲良くしていきたいけど、仕事とアマーリエより優先度が下がってしまうのよ。だから、ちょっとした時に私が訪ねたり、手紙を送ってもいいかしら。この便箋と封筒はね、書いて封をして窓辺で私のことを思えば、飛んでくる魔法が掛けてある。私しか絶対に見ないの。だから安心して愚痴とか書いてくれていいわ。私のことを頼ってほしいのよ」
逆に私が書いた手紙はちゃんとジューンに届くようにするし、やはりジューンにしか見えない魔法をかけて送るわ、と。薄いラベンダーのキレイな箱に便箋と封筒、それにインク壺とガラスペンが入っていた。そしてそのインク壺の蓋を開け、人差し指に針を刺してぷくっと血を出すとそっとインク壺に落とした。
「ジューンも悪いけど、同じようにしてくれる?」
そう言われ、私も指に針を刺し、血を一滴落とす。
メアリーはそのインク壺を左手で持ち、右手で輪を描くと壺の上に魔法陣が浮き上がり、インクが一瞬透明になって、そしてまた元の藍色に戻った。
「これで、私とジューンしか見えないようになったわ。私の手元にも同じものを置きたいからもう一度お願いできるかしら」
そう言われて、別のインク壺にも同じように血を落とし、そちらも魔法のインクが完成した。
「ここまでしなくても、って思うけど、私、心配性なの。なんでも過剰に用心してしまうのよ」
それに付き合ってね、とごめんね、とメアリーが言った。
私はまた今日一人大切な人が私の人生に加わった、と思えた。
「メアリーは、甘いものはお好きですか?私はお菓子作りが少し得意なのです。良ければ食べていただきたくて」
「うれしい!!甘いものは大好きよ。仕事していると脳が求めるのよね。楽しみにしてる」
こうしてお茶会はお開きになった。




