第67話 勇者ユミコと別れる
神帝のほこらにて明かされる、ユミコが犯した罪。
その報いとして精霊ルギアは、ユミコに施された神々の仮死の秘法を解くと言う。
それはユミコの死を意味していて、俺には受け入れがたい事だった。
俺はユミコの涙に、突き動かされる。
俺はユミコを抱きしめ、ルギアをにらむ。
「精霊ルギアよ、ユミコが罪を犯したと言うなら、この俺も同罪!
ユミコを罰するなら、俺も一緒に罰しろ!」
「ほう、勇者ユウタ。おまえも453年分の歳をとると言うのか。」
「な、」
ルギアの言葉に、俺の覚悟に、ユミコは驚く。
「駄目よ、ユウタ。
あなたが死んだら、誰が魔王を倒すのよ。」
「そんなの、別の誰かが倒せばいい。」
「何言ってるのよ、魔王は勇者ウラワの血を引く、あなたにしか倒せないわ。」
「勇者ウラワの子孫だって、俺ひとりじゃないだろ。」
「でも、だからと言って、あなたを巻き込む訳にはいかないわ。
あなたを死なせたら、タカスナに顔向け出来ないじゃない。」
ユミコは俺を押しのける。
レベルがカンストしているユミコの腕力に、俺は逆らえない。
「ルギア様、ユウタは関係ありません。
どうか、私だけを罰してください。」
「いい心がけです、ユミコ。」
覚悟を決めたユミコに、ルギアは右手をかざす。
そんなふたりの間に、俺は割って入る。
俺は鋼の剣を首にあて、ルギアをにらむ。
「な、何やってるのよ、ユウタ。」
俺の奇行に、ユミコは驚く。
「ユミコが死ぬなら、俺も死にます。」
俺は鋼の剣を首にあてたまま、ルギアをにらむ。
「勇者ユウタ、おまえ本気か?」
「や、やめてよユウタ。あなたが死んだら、私、タカスナに何て言えばいいのよ。」
「その時は、俺も一緒にタカスナに謝るよ。」
いや、ぶん殴ってやるべきかな。
「なるほど。」
ルギアはかざした右手を下げる。
「こうも勇者ユウタに干渉していたとは、やはりユミコの罪は重いな。」
「ぐ、」
ルギアの言葉に、俺も返す言葉がない。
俺の行為が、さらにユミコを追い詰める。
だけど仕方ないじゃないか。
ユミコを守りたいんだから。
「ならば、勇者ユウタにも罰を与える事で、ユミコに与える罰も、軽くしましょう。」
と言ってルギアは、ユミコに左手をかざす。
「ユ、ウタ。」
ユミコの身体が、水晶に包まれていく。
ゴーストアリンバと同じ様に。
「まさか、凍れる時の秘術?」
「ほう、その名を知ってるとは、やはりユミコは干渉しすぎたようだな。」
完全に水晶に閉じ込められたユミコ。
そして水晶ごとユミコの姿が消える。
俺は思わずルギアをにらむ。
「ユミコの身柄は、預かりました。
返してほしければ、1週間以内に城塞都市チチブのルギア神殿に来なさい。
1分でも遅れば、ユミコに施した神々の仮死の秘法を解きます。
それが勇者ユウタ、おまえへの罰です。」
精霊ルギアは言うだけ言って、姿を消した。




