第66話 勇者懇願する
神帝のほこらで出会ってしまった精霊ルギア。
神の名の元に、ユミコが犯したふたつの罪が告げられる。
ひとつ目の罪は、今このほこらを訪れた事だった。
そっか、本来なら、ユミコが竜化呪文を使ってゴーストアリンバと戦う事もなかったのか。
でもそれがユミコの罪と言うには、あまりにも重い。
俺は思わず反論しようとするが、ルギアはそんな俺を見透かし、先に喋りだす。
「そしてふたつ目の罪は、もっと重い。
勇者ユウタ、おまえの戦闘に手出しした事です。」
「な、」
俺は思わず絶句する。
あそこでユミコの補助呪文の助けがなければ、俺は殺されていた。
そしてこのほこらも、破壊されてただろう。
あの時のユミコに、何もするなと言うのは、あまりにもひどい!
だけど、このほこらに来るのが遅ければ、そんな事もなかったのか。
「おまえは、六魔将の影の騎士を倒してしまった。
本来なら、おまえが魔王を倒した後、この世界を闇に染めようとする所を、倒すはずでした。」
え、何それ。
影の騎士ってラスボスなの?
にしては、あっさり倒せちゃったぞ。
「これで分かったでしょう、ユミコの犯した罪が。」
確かに、この作品の進行をねじ曲げたと言うなら、その罪は重い。
だけどそんなもん、今の俺や読者のみんなには、関係ない事。
それにここまで、60話以上費やしているが、作者の思い通りに進んだ訳じゃない。
その場の思いつきで変更された進行も、少なくない。
「ユミコ、おまえが神々の仮死の秘法を使う時に、この事は言いましたよね。」
「はい、ルギア様。」
ルギアの言葉に、ユミコは観念した様子。
「おまえに施された神々の仮死の秘法を、今解きます。」
「ま、待ってください、精霊ルギア!」
ルギアのその残酷すぎる決定に、俺は思わず止めに入る。
神々の仮死の秘法を解くと言う事は、ユミコが生き長らえた453年分の年月が、一気にユミコの身に降りかかると言う事。
つまりユミコは、一気に453年分の歳をとり、そのまま生き絶える!
「ユミコを殺すなんて、あまりにも酷い。
どうかユミコを、許してください!」
俺はルギアに懇願する。
「それは出来ません。これは決定事項です。」
ルギアは厳しい表情で、そう告げる。
「な、なぜですか、ルギア。俺からユミコを、奪わないでください。」
俺の瞳から、涙がこぼれる。
「もういいのよ、ユウタ。」
ユミコの言葉に、俺は振り返る。
ユミコも涙を流してる。
「ごめんなさい、あなたの力になれなくて。
ごめんなさいタカスナ。あなたへの罪滅ぼしが出来なくて。」




