第65話 勇者ユミコの罪を数える
時空を越えて現れた、アケミとノブヒコ。
ふたりはユミコに別れを告げ、元の時代に帰還した。
今このほこらに居るのは、俺とユミコ、魔洗礼の解けた神帝アリンバ。
そして精霊ルギア。
かつての仲間のふたりに、表情もほころんだユミコだが、残ったルギアを前に、表情が引き締まる。
「さてユミコ。あなたは禁をふたつ、犯しました。分かってますよね。」
「それは、」
ルギアの詰問に、ユミコの言葉がつまる。
そんなふたりを見ていて、俺は何か不安をいだく。
そう、このままユミコとは会えなくなりそうな、そんな不安。
「ちょっと待ってください、精霊ルギア。
ユミコが何したってゆーんですか。
俺を手助けする事が、禁だとでもゆーんですか!」
「何も、あなたを手助けする事が、禁じられてる訳ではありません。
問題は、行き過ぎた介入です。」
「行き過ぎた介入?」
なんだそれは?
確かにユミコは、戦闘には参加してくれない。
でも、先人の知識で色々教えてくれた。
そこに、なんの問題がある?
まさか、ゴーストアリンバと戦った事を言ってるのか?
でもユミコが戦ってくれなければ、このほこらも無事では無かったぞ。
「この時代の問題は、この時代の人間が解決するべきなのです。
それは、神々の仮死の秘法で生き長らえたユミコも、例外ではありません。」
「な、それじゃあ、ユミコが俺と一緒にいる事自体が、いけない事みたいじゃないですか。」
「はあ、だから言ってるでしょ。行き過ぎた介入が、問題なのだと。」
と言われて、俺は思わずユミコを見る。
ユミコは慌てて、俺から視線をそらす。
ユミコ、おまえはどんな罪を犯したんだ?
「勇者ユウタ、おまえはなぜ、このほこらに来たのですか。」
戸惑うしか出来ない俺に、ルギアが問いかける。
「それは、ユミコが確かめたいって言うから、」
と答えて、俺はハッとする。
「そうです。ユウタがこのほこらの存在を知るのは、本来なら城塞都市チチブのルギア神殿にてです。
今訪れるべき場所では、ないのです。」
「ごめんなさい、ユウタ!
私が余計な事をしてしまって!」
ルギアの言葉に、ユミコが慌てて俺に謝る。
いや、なぜ謝る?
そんなの、来るのが早まっただけで、いずれは来る場所だろ?
「いずれは来る場所でも、来るのは、今ではありません。」
俺の考えをよめるのか、ルギアが俺の疑問に答える。
「本来なら、私がゴーストアリンバの魔洗礼を解き、神帝アリンバに戻っていました。
そう、私とアケミやノブヒコと会う事も、無かったのです。
これがユミコの犯した罪の、ひとつ目です。」




