第68話 勇者神帝のほこらを追い出される
この作品のヒロイン、ユミコが精霊ルギアに連れ去られてしまった。
ヒロイン不在で、この作品は大丈夫だろうか。
次のヒロイン候補は捕らわれのローザ姫だが、どこに居るのかも、生きてるのかどうかも、定かではない。
ここはやはりルギアの言う通り、城塞都市チチブに行くしかない。それも、一週間以内に。
神帝のほこらに残されたのは、俺と神帝アリンバのふたり。
ルギアが去ったのを合図にしたのか、寝ていた神帝アリンバが目を覚ます。
「む、誰だおまえは!」
神帝アリンバは、俺を警戒する。
「えと、俺は勇者ユウタ。魔王を倒す旅の途中です。
あ、一応、勇者ウラワの子孫です。」
とりあえず俺は、自己紹介を済ます。
「何、ウラワの子孫だと?
ウラワは、おまえと同じくらいの歳だぞ?」
神帝アリンバは、俺の自己紹介に戸惑っている。
あ、そう言えば神帝アリンバって、凍れる時の秘術で、魔洗礼を受けた時のまま、時間が止まってるんだっけ。
「えと、神帝アリンバさん、あなたは魔洗礼を受けてからずっと、凍れる時の秘術を受けてたんですよ。
それをさっき、精霊ルギアが解いてくれました。」
と俺は説明する。
「ぐ、」
俺の説明に、神帝アリンバは頭を押さえる。
記憶の混濁からか、頭が頭痛なようだ。
「なるほど、あれから既に四百年以上経ったのか。
当時の魔王は倒され、今新たな魔王が現れたのか。」
なんと、神帝アリンバは現状をすぐに理解してしまった。
これも、精霊ルギアの御加護ってヤツか。
「ええ、ですから神帝アリンバさん。
勇者ウラワにも授けたと言う虹の橋、俺にもください。」
ここで貰えるらしい、虹の橋と言うアイテム。
折角だし、貰っておこう。
そんな俺を、神帝アリンバがにらむ。
「おまえ、資格を有しているのか?」
「資格?
ああ、これの事かな?」
俺は何の事だか分からないが、騎神のいななきを見せる。
「何?騎神のいななきだと?なぜおまえがそれを?」
「えと、ミツフタから貰いました。預言者の。」
「ミツフタ?聞かん名前だな。
だが、資格無き者が持つと、このいななきに蹴り殺されるはず。
どうやらおまえは、このほこらに入る資格を、有しているようだな。」
なんか、サラッと恐ろしい事を言う神帝アリンバ。
「で、肝心の資格は?」
「え?」
神帝アリンバは、さらに問うてくる。
「資格って、これじゃ無いの?」
「勇者の子孫なら、勇者の証を持ってるはず。
それを見せろ。」
「じゃあ、これ?」
俺は右手に受けた傷を見せる。
「何だこれは?」
「傷は男の勲章、いわば勇者の証です。」
と俺は真面目に答える。
「ふざけてんのか、貴様ぁ!」
神帝アリンバの持つ盾が、眩しく輝く。
俺は思わず目を閉じる。
俺が再び目を開けると、俺は神帝のほこらから追い出されていた。




