第50話 勇者魔法の鍵を買う
サカドの街の北西区画に着いた俺。
ここにあるふたつの建物のうち、どちらかが鍵屋だろうと、当たりをつける。
片方の建物から、ユミコが出てきた。
鉢合わせする俺に、驚くユミコ。
「ゆ、ユウタ。どうしてここに?」
「鍵屋を探して、色々と。
ユミコこそ、ここで何してたの?」
「そ、それは、」
と言ってユミコの目が泳ぐ。
「ま、別にいっか。」
この建物に入れば、分かる事だし。
そんな俺を、ユミコは邪魔をする。
「か、鍵屋は隣りよ。こっちじゃないわ。」
ユミコの声は、少し震えている。
「えー、こっちも確かめなくちゃ。」
俺がそう言うと、ユミコはプルプル首をふる。
「駄目、入らないで、お願い。」
ユミコは涙声だ。
「ごめん。」
俺はひと言そう言うと、その建物をあきらめる。
ユミコは何かを隠してる。
だけど、それを問いただす様な真似は、したくなかった。
俺は魔法の鍵を売ってると思しき建物に入る。
「おやおや、珍しいね、ここに誰か来るなんて。」
店のカウンターの向こうに、ひとりの婆さんがいた。
「あの、ここは鍵屋ですか?」
看板も何も無いので、ここが何の店だかは分からない。
だけど、お店のカウンターはあるので、何かの店である事は、間違いない。
「ああ、ここは魔法の鍵屋だよ。買ってくかい?
いっこ80円だよ。」
おお、ついに発見したぞ、魔法の鍵屋。
魔法の鍵は、ひもを通す穴があった。
一本のひもで、八本の魔法の鍵を束ねる事が出来た。
つまり、魔法の鍵の持てる上限は、八本となる。
当然俺は、上限の八本を購入。
俺はほくほく顔で、鍵屋を後にする。
したら、ユミコと再び、鉢合わせる訳で。
「で、そこの建物は、なんなわけ?」
俺はさりげなく聞いてみる。
「ご、ごめんなさい、ユウタ。」
ユミコは、なぜか突然謝る。
「え?」
「ほら、私の銀の笛、聞かせてあげるって、約束したでしょ。」
ああ、そんな事もあったなあ。
ぶち込む隙が無くて、そのまま放置だったよ。
「でも、死体が握ってた笛なんて、ばっちくて吹けないから。
だから新しく作ってもらおうと、思ったんだけど、」
ここでユミコは、言葉をつまらせる。
ああ、作ってもらえなかったのか。と俺は理解する。
「それなら、もういいよ。」
何話も忘れてた事を、今さらぶち込む必要ないだろ。
「じゃあここは、笛職人の家だったんだね。」
と俺が聞くと、ユミコは首をふる。
「ここはアケミの家。」
「アケミ?」
「そう、勇者ウラワとパーティを組んだ、イソノアケミ。
そのアケミの子孫の家よ。」
「へー、俺も会ってみたいな。」
ユミコは首をふる。
「私、嫌われてたみたい。
とっくの昔に、引き払ったみたい。」




