第35話 勇者睡眠呪文使う
なんかよく分からん実況になってきた、ユミコ争奪戦。
対戦相手の金髪女と青髪女が、いきなり光線銃を乱発してきて、もう世界観無茶苦茶だ!
ピッツオーン!
「さあ勇者リムと勇者ケイ。
ソウルブレイドを銃に変えて、勇者ユウタを追い込む!」
なんか普通に実況するユミコ。
ちょっと待てよ、ソウルブレイドって何ですか。
解説のクマガイさん、ちゃんと仕事してくれー!
ピッツオーン!
くそ、股間が痛くて、こっちは防戦一方だ。
あ、そうだ。
回復呪文使えば、回復するんじゃないか?
ピッツオーン!
マジックパワーが無駄になるかもなんで、とりあえずやくそうを使ってみる。
むしゃむしゃむしゃ。
ピッツオーン!
やくそうを使うと、俺の体力が回復。
股間の痛みも無くなった。
ピッツオーン!
前屈みだった俺も、普通に背筋を伸ばす。
「ひ、」
そんな俺を見て、ふたりの女性は怯え、さらに銃を乱射する。
ピッツオーン!
ピッツオーン!
それを鉄の盾で受けるのだが、このままではラチがあかないぞ。
光線銃の弾道の入射角があまいと、そのまま観客席に跳弾する。
一定以上近づくと、その跳弾の確率が増える。
ピッツオーン!
ピッツオーン!
俺が一歩近づくと、相手は一歩下がる。
このまま場外に押し出すのが、正解だろうか。
ピッツオーン!
ピッツオーン!
「な、何やってんのよ、ふたりとも。
回復呪文使いなさいよ!」
金髪女が、身体をかきむしってるふたりに怒鳴る。
ピッツオーン!
ピッツオーン!
赤髪女も銀髪女も、回復呪文で身体の不快感が消えたらしい。
したら当然、銃撃戦に参加してくる訳で。
ピッツオーン!
ピッツオーン!
ピッツオーン!
「おおっと、ここで勇者マインと勇者ユアが復活!
勇者ユウタ、絶体絶命の、大ピンチだぁ!」
ユミコの実況に、観客どもが盛り上がる。
まあ、ここでは俺、完全に悪役だからな。
ピッツオーン!
ピッツオーン!
ピッツオーン!
だけど、俺が光線銃を鉄の盾で防がなかったら、どうなるって思ってんだよ。
おまえら、普通に死ぬぞ。
ピッツオーン!かける4
だけどこれ、どうすればいいんだ?
ピッツオーン!かける4
「あ、そう言えば。」
俺は思い出した。
昨日レベルが上がった時、睡眠呪文を覚えた事を。
ピッツオーン!かける4
俺は一歩近づき、睡眠呪文を唱える。
「グッスリト!」
四人の女性はふらつき、銃撃はやむ。
しかし、眠ってはいない。
「ああっと、ここにきてまさかの睡眠呪文!
なんで今まで使わなかったんだぁ?
解説のクマガイさん、これは一体?」
「そうですね、まず眠ってしまったらどうなるか。
これを相手に理解させる必要がありますからね。」
「なるほど、しっかり相手に、凌辱される事を叩き込んでた訳ですね。
なんて鬼畜なんだぁ、勇者ユウタぁ!」
くそ、ユミコのヤツ、ひとりふた役で好き勝手言ってくれやがる。
こいつら眠らせないと、観客に被害が出るって、分かってねーのかよ。
「グッスリト!」
俺はもう一度睡眠呪文を唱える。
どさ。
四人の女性は、その場で眠りについた。




