第103話 勇者姫を押し倒す
海底洞窟でドラゴンを倒した俺。
そこに捕らわれのローザ姫がいたのだが、ドラゴン倒してから、何話消費したのだろう。
このままここに居続ける訳にもいかない。
とっととストーリーを進めないと。
「ローザ、お城に帰りましょう。」
ローザは、俺が姫と呼ぶのを嫌う。
俺がドラゴンさんの仇だから。
ローザもここに置いていかれる事を怖れているが、俺と行動を共にする事も嫌らしい。
「だっこして。」
「え?」
ローザはボソりとつぶやく。よく聞き取れなかった。
歩みを止めたユミコが、なぜかクスりとしたのには、気がついたが。
「あ、足をくじいたのよ。だから、あ、歩けないから、だ、だっこしてって、言ってるの!」
「何、足をくじいたのか?」
俺はくじいた箇所を見るべく、しゃがみ込む。
患部に回復呪文をかければ治る事は、イワツキの村で経験済みだ。
「きゃ、何するのよ、変態!
触らないでよ!」
ローザはくじいたと思しき右足で、俺を蹴ってきた。
完全に虚を突かれた俺は、ローザの蹴りをさけきれず、あごを蹴り上げられる。
脳を揺らされた俺は、その場に倒れる。ローザを押し倒して。
「ちょ、ちょっと。どこ触ってんのよ!」
俺は意識を保っているが、視界が定まらない。
早く起き上がろうとするも、両手は柔らかな何かを触っている。
おそらくローザの身体だろうが、ローザの身体に俺の全体重をかけて起き上がる訳にもいかない。
俺は地面を探して両手を動かすが、視界が定まらない。
「あ、いや、やめて。」
「ユウタ、八時の方向。魔物が迫ってるわよ。」
「く、」
ユミコの声に、俺ははね起きる。
そして八時の方向に、鋼の剣を叩き込む。
62円落ちていた。
「ヒーリング。」
俺は回復呪文を唱える。
ローザにやられたダメージがぬける。
最初から、こうすれば良かったよ。
「汚された。姫であるこの私が。こんなヤツに。ドラゴンさんの仇の、こんなヤツに。ドラゴンさん、ローザは、ローザは。」
ローザは倒れたまま、何かをつぶやいている。
よく聞き取れなかったけど、俺はローザに手を伸ばす。
「ほら、立てるか。」
虚な眼をしてたローザも、ハッと俺の手をはじく。
「さ、触らないでって言ってるでしょ!
ひとりで立てるわよ!」
ローザは自分の言葉通り、ひとりで立ち上がる。
が、苦痛に顔を歪めて、バランスを崩す。
「おっと。」
俺は咄嗟にしゃがみ込んで、ローザを支える。
「さ、触らないでって、言ってるでしょ。」
俺を押し返すローザの腕に、力が入らない。
「あ、あんたのせいで、足をくじいたじゃない。」
って、最初からくじいてただろ?
俺は突っ込みたかったが、やめといた。




