第102話 勇者姫を不憫に思う
海底洞窟でドラゴンを倒した俺だが、それによって、ローザ姫の激しい復讐心が牙をむく。
ローザは俺の代わりにユミコを標的にするも、軽くいなされてしまう。
俺はそんなローザを、すごく不憫に思う。
「ねえ、そんな事より、もうお城に戻った方がいいんじゃない?」
「いやよ、そんなの!」
最早ここで泣く事しか出来ないローザに、ユミコもしびれをきらせてきた。
頼むローザ、あんまりユミコを怒らせないでくれよ。
「ドラゴンさんとの、思い出の場所。絶対離れないわよ!」
ローザは怯えながらも、ユミコをにらむ。
「ふーん、ここには怖ーい魔物も、いーっぱい居るのよ。」
ユミコの幼な子をなだめる様なその口調も、ユミコの怒りの裏返しだ。
「ひぐ。」
ローザにも、言い返す言葉もない。
と、突然、辺りが真っ暗になる。
ユミコのライトの呪文の効果が、きれたのだ。
ってユミコさん、わざときらしたな。
「あらあなたは、こんな所にひとりで、残るつもりなの?」
暗闇の中から、ユミコが楽しげに声をかける。
「ひ、」
暗闇の中で、ローザが怯えているのが、よく分かる。
「ほーら、魔物達が、うごめいているわよ。
あなたを守ってくれるドラゴンさんは、もういない。
あ、魔物があなたを狙ってる!」
「うわーん。」
「ライト。」
俺は思わずライトの呪文を唱える。
ユミコのライトほどではないが、そこそこ明るくなる。
実際、ヒレが触手になってる宙に浮く金魚の魔物が襲ってきてたので、鋼の剣で一刀両断。
54円落ちていた。
「うわーん。」
ローザは俺に泣きついてくる。
「もうユミコさん、あんまり怖がらせないで下さいよ。」
俺はローザの頭をなでながら、ユミコに注意する。
ほんと、ユミコはどうしてローザにキツくあたるのか。
その理由付け、どうすればいい?
「あら、私は事実を言ってるだけよ。」
と言ってユミコは、そっぽを向く。
その態度に、ひょっとしてヤキモチか、とも思ったが、そんな事ないだろう。ユミコに限って。
泣き続けてたローザも、ハッと泣きやみ、頭をなでる俺の手をはじく。
「き、気安く触らないでよ、ドラゴンさんの仇!」
「ドラゴンさんの仇って、俺は勇者だぜ。」
「勇者だったら、かよわいお姫様を守るドラゴンさんを、殺してもいいの?!」
「いや、そんな事ないけど、」
かよわいお姫様って、自分で言うのか?
「もうかよわいお姫様は放っておいて、先を急ぎましょう。」
ユミコは出口に向かって歩きだす。
「あ、待ってよ、ユミコ。」
ユミコの方に振り向く俺の袖を、ローザがつかむ。
俺が反射的に振り返ると、ローザも反射的に手を離す。
ローザも、ここに置いていかれる事に、恐怖を感じたのだろう。
バツが悪そうに、うつむいている。




