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52. アリスとクリス


「ア、アリス?」


「はい、アリス様です」


「でも、アイツまだ怒ってそうだし」


 アリスは公爵の娘であり騎士団第一部隊隊長であったが、ユリ救出事件の後、魔王討伐を理由に騎士団を止め大悟についてきた。

 もちろん、両親や国王からは反対されたが、魔王討伐を材料にしたことにより無碍にはできず、暗殺部隊扇部隊長であり、アリスとは幼少期からの付き合いのクリスを監視役兼従者として付けることで承認された。

 その後、アリスは大悟達と共に旅をし、大悟が魔王を討伐する前日まで一緒に過ごした。そして、その前日、大悟が1人で魔王城に行くと言ったことで大喧嘩が起こったが、その時1番怒ったのがアリスであった。


 いやぁー、あん時のアリスはホント怖かったなぁー。般若のお面被ってんのかと思ったわ


 大悟が、しみじみと昔を思い出しているとエリが口を開く。

 

「そうですね。あの後、私とユリ、アリス様、それと従者であるクリス様とで、異世界に行く方法を探して旅をしていたのですが、アリス様は終始、大悟様に対して怒ってらっしゃいました」


「やっぱり」

 大悟の頭には、般若の顔をしたアリスが浮かんでいた。


「でも、きっと大丈夫ですよ」

 エリは、ニコッと笑った。


「え?」


「アリス様は今も怒りを原料にクリス様と旅をしておられるかと思います。その怒りは日を追うごとに強く、強く、強くなっているかもしれません。ですが、大悟様に会えた瞬間、そんな怒りなどどっかに吹っ飛んでしまうんです。私達がそうだったように。それ程、大悟様という存在は大きいのです。会えないから悲しい、止められなかった自分が情けない。今アリス様はその感情でいっぱいなんです。その感情に押し潰されそうなんです。だから、だから、どうかお願いします。アリス様をこの世界に、どうか」

 エリとユリは、揃って頭を下げた。

 それに釣られて隣にいたエビスも頭を下げた。


 大悟は、エリとユリの姿をジッと見つめていた。

 そして、


「はぁー、分かったよ。そんなこと言われたら呼ばない訳にはいかないだろ。頭を上げてくれエリ、ユリ。ついでにエビス」


 その言葉を聞いたエリとユリは頭を上げ、大いに喜んだ。そんな2人の目には大量の涙が溢れ出ていた。


 しかし、その隣では沸沸と怒りが溢れ出ようとしてる者がいた。


「ついでとは、なんでござるかぁー」

 そう、エビスである。


「うるせぇー。お前ただ釣られて頭下げただけだろ」


 エビスは大悟に飛びついた。が、前と同じ様に手で止められてしまう。そして、そのままほっぺをつねられてしまう。


「痛ひ、離ふでござるぅー」

 大悟の手をペシペシと叩くエビス。


 その光景を見ていた者達からは笑い声が聞こえてきた。




 その後、大悟達は朝食を片付けアリス召喚の準備に取り掛かる。


「こんぐらいの広さがあれば十分かな」

 テーブルや椅子を退かし、召喚するスパースを確保した。

「それじゃあ、召喚するからもう少し下がってて」

 勇巳達は、大悟からもう数歩離れる。


「召喚、アリス」


 大悟が、そう唱えると地面に魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣の中から絶世の美女が現れた。


「……」

 絶世の美女はキョロキョロと辺りを見渡し、前にいる人物に気づいた。


「だ、大悟様」

 絶世の美女は目を大きく見開き、その場で固まる。


「久しぶりだね、アリス。突然召喚されて驚いただろうけど、ここは俺がいた世界で……」

 大悟はアリスが困惑してるんだろうと思い、ここの説明を始めようとした。が、


「大悟様」

 次の瞬間、アリスは大悟に飛びつき、大悟をギュッと抱きしめた。


「大悟様、大悟様。(わたくし)、この時をずぅっとずぅっとお待ちしておりました。あぁ〜この匂い、この体つき、大悟様ぁ〜」

 アリスはギュッと抱きしめたまま、クンクンと大悟の匂いを嗅いでいた。


「落ち着けアリス。なんか変態みたいになってるぞ。一旦離れて落ち着こうな、な。みんなも見てる訳だし」

 

 その言葉にアリスは、ハッとなり、大悟から離れた。


(わたくし)としたことが」

 アリスは頬を赤らめる。

 そして気持ちを落ち着かせた後、勇巳達の方に振り向き、お辞儀をした。

「初めまして、(わたくし)はアリスと申します。異世界の皆様方、どうぞよろしくお願いいたします」


 あれ? 分かってる感じ?


 そうアリスは知っていた。

 エリ達が召喚された時、アリスは目の前でその瞬間を見ていた。

 エリ達を召喚できるのは大悟だけ、その為アリスは、この召喚が大悟の仕業だとすぐに分かった。

 次は私。

 そう思っていた。が、いくら経っても魔法陣は浮かび出てこない。そして数日経ってやっと浮かび出た魔法陣に歓喜する。

 アリスは、魔法陣に体が吸い込まれていく最中、大悟に会ったら、2、3発引っ叩いてやろうと考えていた。

 今まで貯めた怒りを発散する為に。

 しかし、召喚され大悟の姿を見た瞬間、体は硬直し、怒りはどっかに吹っ飛ぶ。

 そして、気づいたら大悟に抱きついていたのだった。




 勇巳達は、アリスの綺麗なお辞儀を見て、慌ててお辞儀をする。


「ここがどこなのか分かっているのなら話は早い。実はアリスに頼みたい事があるんだ」

 大悟は、即座に本題に入る。


「頼み、ですか?」

 首を傾げるアリス。


 大悟は、こっちに来てからのことを事細かく説明していった。


「……そうですか。私にここの管理を任せたいと」

 アリスは、紅茶を一口すすった。


「ダメ?」

 大悟は、アリスの顔をチラッと見た。


「ふふふっ、とんでもございません。他ならぬ大悟様の頼みです、もちろん引き受けさせて貰います。私がいた王国よりも強固な組織を作って見せますよ」

 アリスは、豊満な胸を張る。


「良かったぁー」

 大悟はホッとした。


「ただ、1つお願いが」


「ん、何?」


「クリスもこちらに呼んでもらえないでしょうか? 今、私が突然消えて慌てていると思いますので」


「なんだ、そんな事か。全然問題ないよ」


 その後、大悟は即座にクリスを召喚した。

 そして、アリスと同じ様に今までのことを説明した。


「全く、突然の召喚は心臓に悪い」

 クリスは、呆れながら言った。


「嫌だったら、異世界に戻すけど」


「馬鹿を言うな。私はアリス様の従者、彼女を置いて戻る訳にはいかない。それに大悟のいた世界、楽しそうじゃないか」

 そう言ってクリスはニヤッと笑い、手を大悟の前に出した。


 大悟は、その手を叩きクリスとハイタッチをした。

「宜しくな」



 こうしてまた、異世界の仲間が増えたのだった。









 

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