表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/54

51. ペタの能力


「彼等を使ってですか?」

 エリは困惑した顔を見せる。


「あぁ」

 大悟はエビスに近づき、倒れているエビスのほっぺを引っ張り始めた。


「でも、どうやって?」

「忘れたのか? こういう時は、アイツだろ?」

 

 エリは暫し考え始め、そしてハッと気づく。


「……もしかして、ペタ、ですか?」


「御名答」

 大悟は指をパチンッと鳴らした。

 すると、指を鳴らした場所からサッカーボールぐらいの大きさのモンスター、ペターンが現れた。


 ペターン。

 異世界のモンスター。性格は臆病で、滅多に人前に姿を現すことはない。力は無く、スライムにも負けてしまう程弱い。しかし、ペターンは唯一無二の特殊能力『念伝(ネンテン)』を持っている。

 念伝は、対象者に付与させることで、対象者が遠く離れようとも、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、感覚、全ての情報を得ることが出来る。そして、その得た情報は主従関係を結んだものと共有することが出来る。


「エリ、ユリ、久しぶりぃー」

 ペタは、背中についている羽を一生懸命動かしてエリ達の元へと向かう。


「ペタ、久しぶり」

「ペタ、久しぶりですね。いつからこっちに?」

 エリは掌を上に向ける。

 すると、ペタはその掌の上に乗った。


「少し前ぇー♪」

 ペタは、エリの手の上で陽気に踊り出した。


「相変わらずですね」

 エリは、ペタの踊りを見てクスッと笑った。


「エリ、ユリ、久しぶりの再会に水を刺すようで申し訳ないんだが、勇巳達に片がついたを教えてやってくれ。概要については明日の朝話すと」


 大悟の(めい)を受けてエリは、姿勢を正す。


「畏まりました。ではペタ、私達は仕事がありますので」

 そう言ってペタを手から離した。


「うん。エリ、ユリ頑張ってぇー」

 ペタは、手を振ってエリとユリを見送った。


 その後、大悟は建物の周りを巡回し、安全を確認してから部屋へと戻って行った。


「しかし、コイツは全然起きる気配がないな」

 大悟は、エビスをベットへと寝かせた。

 幸せそうな顔で寝ているエビスのほっぺは少し赤くなっていた。

「zzz……」



 次の日。


「やはり、自衛隊は危険なようですね」


 早朝、大悟の部屋で朝食を食べながら話し合いが行われていた。

 話し合いの場には、大悟、エリ、ユリ、エビス、勇巳、優希、努が集まっていた。


「自衛隊については、これから色々調べる。今の自衛隊の現状、こうなった経緯、その他もろもろ」


「分かりました。それで奴等の状況は?」


 大悟は食べる手を止め、箸を置いた。


「それなんだが、実は数時間前に動きがあってな。奴等がリーダーである田村と接触したんだ」





 〜〜ペタに念伝を付与された男〜〜


 ペタに念伝を付与され、情報を得る為の餌にされた男。その男の名は加藤(かとう) (そう)と言う。


 加藤達は夜中のうちに基地へと帰還すると、そのまま本部室へと向かった。

 

 トントン。

「失礼します」

 加藤は扉を開け、本部室の中へと入った。


「捜索部隊D班リーダーの加藤です。探索中に異質な建物と人物を発見致しましたので報告を」

 加藤は近くにいた男に話しかけた。


「そうか。ただ、田村総司令官は今ご就寝中だ。朝になってから」


「私なら、ここにいる」

 男達が一斉に振り向くと、そこには田村総司令官が立っていた。


「そ、総司令官。起きてらっしゃったのですか?」

 男達は慌てて敬礼をする。


「こんな時間にヘリの音がしたからな。緊急か?」

 田村は、加藤達を素通りし本部室にある1番立派な椅子に座った。


「あ、はい。彼が異様な物を発見したと」

 そう言って男は、加藤を前に出した。


「捜索部隊D班リーダーの加藤です」

 加藤は姿勢を正す。


「ん、お前は。久しぶりだな」


「あ、はい。お久しぶりです」


「それで? どうした?」


「はい、探索中に異様な建物と人物を発見致しました」


「異様な?」


「はい」

 加藤は、今までの事を丁寧に説明していった。



「……い、以上です」

 話し終えた加藤は、田村の顔を恐る恐る見た。

 

 田村は、腕を組み目を瞑っていた。が、突然立ち上がり指示を出し始めた。


「3日以内に全員を集めろ。今から1週間後に攻撃を仕掛ける。巨大な建物だ。きっと食料や武器が沢山あるはずだ。その全てを頂くぞ」

 田村は、そこにいる者全てに聞こえるように声を張った。


「はっ!」

 その場にいた数人が動き出す。


「し、しかし、俺と対峙した男はどうするんですか? とても人間とは思えないような強さでしたよ」


「ふん、どんなに人間離れした強さであっても所詮、人間。限界がある。ヘリの航空機関銃、戦車の戦車砲、ロケットランチャー、それらに勝てる者など、この世にいるわけないだろ」

 田村は、自信満々に言葉を返した。


 加藤は、その言葉に納得してしまう。


「なるほど。それで俺達は何をすれば? 前衛でも後衛でも構いませんが」


「ん? 何を言ってるんだお前は。お前達はミスをした。敵に負け、おめおめと逃げ帰ったんだ。本来なら、すぐさま処刑されるのだが、お前達は有意義な情報を持って来たからな。よって処刑は止め、奴隷に降格し奴らと一緒に働いてもらう」


「な、そんな。なんで俺達が奴らと同じ扱いをされなきゃいけないんだ。俺達は為になる情報を持ってきたんだぞ」

 加藤は田村に詰め寄ろうとしたが、数人に羽交い締めにされ、そのまま地面へと押さえつけられた。

 もちろん、後ろにいたD班メンバーも同じように羽交い締めにされ、押さえつけられる。


「連れて行け」


 加藤達は、そのまま手錠をかけられ地下へと連れて行かれた。


「くそ、なんで俺が」





 〜〜大悟〜〜


「と言うわけだ」

 大悟が話し終わると、一瞬の静寂が辺りを包んだ。


「……ま、まずいんじゃないか?」

 静寂を破り、優希が喋り出した。

「ここが戦場になるって事だろ? 早く準備しないと」

 そう言って、勇巳と優希は立ち上がった。

 しかし、それを大悟が止める。


「落ち着け。ここは戦場にはならんよ」


「え? ど、どうして?」


「もちろん、こっちから仕掛けるからだ。あっちの場所は掴んでいるし、丁度良く全員集結してくれるんだ。潰すにはもってこいだろ?」


「な、なるほど」

 勇巳と優希は、ゆっくりと椅子に座り直した。


「ただ、1つ気になる事が」


「奴隷ですね」

 エリが食い気味に答えた。


「そう、それ」

 大悟は苦笑いを浮かべて、話を続けた。

「奴隷とは一体なんなのか? 奴等のようにミスを犯した者の集まりであるのならば、助けるつもりは無いが、もし違うなら……」


「探り、救出、殲滅を考えるのであれば、私達やエビスも居た方が良さそうですね」

 エリとユリは、大悟の横に移動した。

 それを見たエビスが、慌てて大悟の横へと移動した。


「しかしそれだと、ここの指揮、防衛、管理、それと勇巳達の特訓をする者がいなくなってしまうんだよな」

 大悟は、腕を組み「うぅーん」と唸り出した。


「何言ってるんですか? それを全てこなすなんて私達には元々出来ませんよ」


「え? そうなの?」

 一瞬、時が止まる。


「拙者にも無理でござる」


「いや、エビスに管理は無理だろ」


「なんだとぉーでござるぅ」

 エビスは大悟に噛みつこうと飛び掛かる。が、片手で止められてしまった。


 大悟とエビスが戯れ合っていると、エリが喋り出した。


「大悟様。1人、その全てを完璧にこなせる人物を知ってます」


「何! 誰だ、それは?」

 大悟とエビスは、揃ってエリの方を向く。


「それは……アリス様です」








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ