50. 空からの侵略者
諸事情により、更新をお休みしておりました。
事前にお伝えできなくて申し訳ございません。
今日からまた更新を再開致します。
大悟は、目を暗視モードに切り替える。
「あれは……ブラックホーク。ゲームで見たな」
ブラックホークは、多用途ヘリコプターとして自衛隊で採用されているヘリコプター。10人以上の人を乗せることができ、空中機動作戦や災害派遣等で使われる事が多い。
自衛隊か? でも、前に美香が自衛隊なんてものは、もうこの世界には無いって言ってたな。この世は無法地帯だと
「勇巳、あれは敵か?」
大悟は勇巳に尋ねる。
「敵だよ。大悟さんは知らないだろうけど『自衛隊を見つけたら、身を隠せ。見つかればお前の全てを奪われる』って言われてるぐらい危険な存在なんだ」
「でも、自衛隊なんて正義感の塊みたいな奴らだろ? なんでこんなことに?」
「さぁ? だけど、こんな世界になって何年も経過すれば、自制心を保つことなんて出来ないんじゃないか? それに、生きる為には他人に構っている場合じゃないし」
「他人に構りまくりのお前が言うかね?」
「僕は、父の真似をしてるだけだから」
勇巳は、苦笑いをしながら返した。
「それで、どうするの?」
勇巳は大悟に問いかけた。
「そうだな、彼等が接触してくるようなら話を聞いてみるかな。まぁー、概ね接触してくるだろうけど」
大悟がそういった途端、ヘリは建物に向けて飛んできた。そして、建物の近くまで来ると建物を中心にして旋回をし始めた。
「興味津々みたいだね」
勇巳は、また苦笑いをする。
「それりゃーまぁー地図にも載ってない、こんなバカでかい建物が突然建ってれば俺でも警戒するし」
ヘリは5分ほど旋回したのち、建物の屋上に着陸する態勢に入った。
「大悟さん!」
「あぁー、やっぱり来たな。それじゃ勇巳達は、誰も建物内から出れないようにしといてくれ。俺は彼等に挨拶してくる」
「気をつけて」
そう言って勇巳達は、静かに建物内に入っていった。
ヘリは慎重に、辺りを警戒するように屋上に着陸した。
そして、着陸と同時に数人の武装した男達が、銃を構えながら出てきた。
銃にはフラッシュライトが付いており、色んなところを照らしていた。
「私の家で、そんな物騒な物ぶら下げられても困るんですけどね」
武装した男達は、一斉に声のした方に銃を向ける。
銃の先には、大悟が無防備に立っていた。
「貴様、何者だ?」
武装した男達の1人が話しかけてきた。
「私ですか? 私はこの家の責任者? ですかね」
大悟は男の質問に答えた。
「お前が?」
男達はボソボソと数人で話し始めた。
そして、相談し終えるとニヤッと笑って、再び銃口を大悟に向けた。
「そうか。なら、この場所を俺達に明け渡してもらおうか。もちろん食料も全て頂く。まぁー死にたくなければだけどな」
男達は、銃口を大悟に向けたままゆっくりと歩き始めた。
「いきなりですね。貴方達は軍人でしょ? 民間人を保護しにきたんならまだしも、強奪とは」
男達は足を止めた。
「あん? 俺達は軍人じゃねぇーよ。軍人のオッさんにスカウトされたんだよ。『うちに来れば、好きなだけ暴れさせてやるぞ』ってな。だから、お前を保護する義務も理由もねぇーな」
そう言って、男達は再び歩き始めた。
なるほど、確かに元軍人であるならば最低でも40近くなってないとおかしい。彼等はどう見ても20前半。指揮を取ってるのは軍人でも動いてるのはチンピラか?
大悟が考え込んでいると、男達は大吾の数m前で止まった。
「おい、誰かコイツを縄で縛れ」
すると、2人の男が縄を取り出し大悟に近づいてきた。
やれやれ、まだ聞きたいことがあんのに。せっかちな奴らだ。
男2人は大悟に近づき、大悟を掴もうと手を伸ばした。
しかし、その瞬間2人の男は意識を失い、そのまま前に倒れ込む。
「な? 貴様何をした?」
「さぁ?」
勿論やったのは大悟。
大悟は、男の後頸部を素早く叩き、意識を刈り取っていた。
「とぼけやがって、いい度胸だ。構わねぇー、コイツを撃ち殺せ」
男達は一斉に銃の引き金を引いた。
が、その瞬間、銃は真っ二つに切断された。
「な、なんだこれは?」
「どうなってんだ?」
「銃が真っ二つに」
「なんで?」
男達は、一様に動揺を隠せないでいた。
「俺が斬ったんだよ」
男達は一斉に声がした方を向いた。
そこには、刀(瞬速)を持った大吾の姿があった。
「な、何をバカな事を。そんな事できるわけ」
シュパ!
大悟は、透かさず男達の頭頂部にある髪を切断し、全員を河童のような髪型にしてしまった。
「ひぃー」
男達は、恐怖で尻餅をついてしまう。
「どう? 信じる気になった? まだ信じられないのなら、次は右耳を」
大悟は、ゆっくりと男達に近づいた。
「ひぃー、待って、待ってくれ。信じる、信じるから命だけは」
男達は、尻を地面につけたまま後退りして行く。
「死にたくないのなら、俺の質問に答えろ。正直に答えたら命だけは助けてやる」
大悟は刀の切先を男に向けた。
「わ、分かった。なんでも答える」
男は、何度も頷きながら答えた。
「まず、お前達のリーダーは誰だ?」
「田村……田村総司令官。俺達を誘ってくれた人だ」
田村ね、覚えた。
「元軍人は何人ぐらいいるんだ?」
「さ、さぁ?」
「は?」
大悟は男を睨みつける。
「ホ、ホントだ。ホントに知らないんだ。俺達のような後入りの奴らは、訓練の時に数人の教官(元軍人)と会うぐらいで、他の元軍人とは一切会ってないんだ。俺達は上から訓練と強奪を指示されてるだけで」
男は必死に答える。
ハァー。つまりコイツらは唯の使い捨てか。使い捨てに色々聞いても無駄だな。
「じゃあ、最後に一つだけ。お前達のような強奪班はどんぐらいいるんだ? 流石にそんぐらいは分かるだろ?」
「えっと、100人ちょっと」
100か。意外と少ないな
「ふむ。それじゃあ、お前達はもう帰ってもいいぞ。もう聞くこともないし」
大悟は、刀を鞘に仕舞った。
「い、いいのか?」
男達は、上目遣いで大悟を見る。
上目遣いやめろ。気持ち悪い。
「いいから、早く帰れ。そんで、もう2度とここには来るなよ。次は容赦無く頭を切り落とすぞ」
「わ、分かった」
男達は立ち上がると、倒れてる2人の男を抱え、急いでヘリに乗り込んだ。そしてヘリのエンジンをかけ、足早にその場から去って行った。
大悟は、そのヘリをずっと見ていた。
「帰してしまって良かったのですか?」
いつの間にか、大吾の後ろにはエリとユリが立っていた。
勿論、大悟はエリ達が隠れて見ていることは知っていた。
「あぁ、問題ない。って、あれ? エビスは? 3人いると思ったんだけど」
大悟は、辺りを見渡す。
「エビスなら、あそこに」
エリが指差した先には、仰向けになって倒れているエビスの姿があった。
「え? なんで?」
大悟は、倒れているエビスを見て驚いた。
「ご主人様が、彼等の髪を斬り落としたからですよ。それでエビスが爆笑しちゃって。このままでは気付かれてしまうと思い、腹に1発」
エリは、ギュッと握った拳を前に突き出した。
ど、どんまいエビス。
大悟は、エビスに向かって合掌をした。
「そんなことより、彼等がこのまま黙ってるとは思えませんが」
「……だろうね」
「じゃあ」
「大丈夫だよ。このまま放置するつもりは無いから。まずは、情報収集。奴らを使って色んな情報を引き出そうと思ってね」
大悟はニヤッと笑った。




