47. D.L.A
「ところで、なぜ弾が壁を擦り抜けたんですか?」
努は、困惑した顔で聞いてきた。
「あぁーあれは、壁が弾を避けたんだよ」
「は?」
その場にいる全員が声を揃える。
「えっと。この城壁とミニガン、ミサイル砲は連動してて、城壁がミニガンの弾を感知すると、弾が通過できるような小さな穴を開けてくれるんだよ。それは人の目では分からない程の、一瞬の出来事だから気付かないのも無理はないけどね」
「連動? 壁に穴?」
勇巳達には大悟が何を言ってるのか理解できていなかった。
「うぅーん、例えば」
そう言って大悟は城壁を出て、歩き出した。
勇巳達も、とりあえず大悟の後について行く。
そして、ある城壁の前で止まった。
「ここが何か分かる?」
「え? 普通の城壁だろ?」
勇巳が代表して答える。
「まぁーそうなんだけど。ここは、城壁の正門なんだよね」
「正門? でも何処にも外に出るところは……」
勇巳達は城壁を隈なく見渡した。
「今はただの壁だけど、コレを使うと」
そう言って大悟は、空間収納からカードを取り出し城壁に近づけた。すると城壁の一部分がカードに反応し、壁が消え、外へと続く大きな通路が出現した。
「おぉ」
「どんな仕掛けなんだ?」
「相変わらず、ぶっ飛んでるな」
「大悟さん、コレは?」
勇巳達は、突如通路が出現した事に驚きを隠せないでいた。
「これもさっきのミニガンと同じ。城壁がカードを感知して壁に穴を空けたんだよ。ただ、このカードはこの壁部分(正門)でしか感知してくれないんだけどね」
大悟はカードを壁から離し、通路を消した。
「つまり、そのカードとミニガンの弾は、壁に近付けると、その部分の壁が消えると言う事ですね」
努は、顎に手を当てる。
「まぁーそう言う事だね。まだまだ理解できてない人もいそうだけど、そろそろ中に戻らないと。女性陣も戻ってきてるかもしれないし」
「そうですね。理解できてない人には、後で私から説明しておきます」
そうして、大悟達は建物の中へと戻っていった。
「あれ? まだ戻ってきてない」
建物の1階には、まだ女性陣の姿はなかった。
「ど、どうします?」
「はぁー、しょうがない。椅子にでも座って待ってようか?」
「あ、はい。そうですね」
勇巳は申し訳なさそうに答えた。
久しぶりの温泉、初めての温泉。まぁー仕方ないか
〜〜女性陣〜〜
女性達は脱衣所で、我先にと先を争うように服を脱いでいた。
「よし、1番乗り」
「そうわさせないわ、1番は私よ」
お互いの体を引っ張る2人。
「その隙に」
2人の横を静かに通る女性。
「待ちなさい」×2
女性は2人に捕まれた。
そんな事をしていると、次々と服を脱ぎ終えた女性達が風呂場へと向かって走り出た。
「不味いわ」
「こんな事してられない」
3人は再び、風呂場へと向かって走り出す。
そして大混戦の中、風呂場へと繋がる扉を開けた。
ガラガラー。
「わぁー、なにこれ?」
「すごーい」
「色んな温泉があるわ」
「早い者勝ちよね」
「私アレがいい」
扉を開けた先には、綺麗に整頓された洗い場や数種類の温泉があった。
女性達は、各々気に入った温泉をみつけると、その温泉へと走り出した。そして温泉に飛び込もうとした時、1人の女性が大声を出して全員を止める。
「待ちなさい。全員ちゃんと体を洗ってから入りなさい。それがマナーですよ」
彼女は中田 恵美、29歳。頼れるお姉さんとして全員から慕われている。こんな世界になる前は、温泉旅館の1人娘だった。
「はい、恵美姉さん」
女性達は声を揃えて返事し、揃って洗い場へと向かった。
洗い場にはシャンプー、トリートメント、コンディショナー、ボディーソープ、洗顔料が置いてある。
それぞれ数種類のタイプが用意されており、様々な香りを楽しめる様になっている。
そして、壁には各種洗剤の取り扱い方や、使う順番などを書き記した看板が貼り付けてある。
「恵美お姉ちゃん」
小さい女の子が手をあげた。
「どうしたの?」
「このトリートメントと、コンディショナーって使った方がいいの?」
女の子はトリートメントを手に持っていた。
「そっか、貴方達は見た事も使った事もないもんね」
そう言うと恵美は全員に聞こえるように大声を出した。
「トリートメントとコンディショナーを使った事がない人はここに集まって、今から実演してあげるから」
恵美の周りには20歳以下の女性が集まってきた。
恵美は看板を見ながら実演を始める。
順番はシャンプー、トリートメント、コンディショナー。シャンプーは髪の汚れを落とし、トリートメントは髪の内部に浸透し髪の補修を行う。そして、最後のコンディショナーは髪の表面を整える。
実演を終えると、おのおの自分の洗い場へと戻って行く。
そして10分程で全員、体を洗い終え温泉へと入って行った。
「ぷはぁー、やばいこれ。体が溶けるぅー」
「ホントねぇ、生き返ったみたい。ほら、私の髪見て。すっごいさらさらなの。しかもいい匂いがするし」
「どれどれ……ホントだ。オレンジの匂いがする。私も明日これ使おう」
ここ、露天風呂には10人の女性が湯に浸かっていた。
「ねぇねぇ、大悟さんってかなりの優良物件じゃない?」
「それ私も思った。顔も悪くないし、強いし、凄い能力持ってるし」
「だよねぇー。今度、大悟さんの部屋に押し掛けちゃおうか」
「賛成。2人で行けばいけるんじゃない?」
「ちょっと、貴方達なんかに大悟さんは無理に決まってるじゃない。私ぐらい美人じゃないと」
2人の会話を近くで聞いていた女性が、会話に入ってきた。
「貴方にも無理でしょ。ここは私が」
さらに後ろから会話に入る女性。
「いやいや、私でしょ」
さらに後ろ。
そのまた後ろから。
そうして、10人中9人が大悟を取り合って揉めていた。
「貴方達、落ち着きなさい」
すると、取り合いの輪に入っていない1人の女性が彼女等を止めた。
「貴方には関係ないでしょ。大悟さんに興味がない人は黙ってて」
「そうよ、そうよ」
「私は、なんとしても大悟さんが欲しいの」
団結する女性陣。
「なに言ってるの? 私も大悟さんをGETするつもりだけど」
「え?」
彼女の発言にびっくりして、全員の動きが止まる。
「この世には、もう法律なんてものはないのよ。別に全員と子供作ったっていいの。全員が大悟さんと結婚してここで暮らす。最高じゃない? 勿論、大悟さんに自分の事を好きになって貰わないとダメだけど。私は自信がある。絶対に落として見せるわ」
女性は両手を腰に当てて、大きな胸を張った。
「わ、私だって落とせるわ」
「私も」
「そうよ。みんなで落としちゃえばいいのよ」
「それじゃあ、ここにいるメンバーで大悟さんの情報を共有しましょうよ」
「いいわね、それ。大悟部とか作っちゃう?」
「何それ、ダサいわね。ここは大悟ファンクラブでしょ」
「ファンじゃ駄目じゃない?」
「それじゃあ……大悟愛好会、訳してD.L.A(DAIGO Lovers' Association)」
「それね」
全員が頷く。
こうして大悟の知らない所で、変な集団が生まれてしまっていた。
このD.L.Aは、その後、絶大な力を持つことになる。




