46. ウラン壊滅
「それでどうするんですか?」
「そうだな。とりあえず会話はしてみるけど、たぶん、いや、間違いなく戦闘になると思う。だから、子供達を二階に連れてって見せない様にしてくれ。恐らく悲惨な感じになるだろうから」
「分かりました」
勇巳は近くにいた男性に指示を出す。
指示を出された男性は、子供達を連れて二階へと上がって行った。
子供達が居なくなると、大悟は内側の壁に付いている受話器を取った。
「それは?」
「コレ? これは拡声器。コレに向かって喋ると、城壁の外に設置してあるスピーカーから声が出る様になってるんだよ。ただ、あんまり音を大きくすると感染者が寄ってきちゃうから、ボリュームを調節して……あっ、あー、あー、テス、テス」
こんなもんでいいかな。
「ゴホンッ。えー、では、そこのビルに隠れているウランメンバーの皆さん。聞こえてますか? 佐々木君から色々話を聞かせて貰いましたよ。自分達が行くのが怖いからって佐々木君を1人で行かせるなんて、さすが腰抜け弱小クズグループですね。カッコ悪過ぎて涙が出ちゃう。そんな道端に落ちてるゴミ屑のようなお前等が、人間様に喧嘩を売るなんて身の程を知れって感じだわ。おい、聞こえてんだろ? 腰抜け共」
「ちょっと大悟さん、そんな火に油を注ぐみたいな」
「出て来たぞ」
ウランの奴らは顔を真っ赤にし、ビルの中からぞろぞろと出てきた。その数、ざっと200人程。
「アイツ等、いつのまにこんな人数を」
努は、ビルから出てきた人数を見て驚いた。
ウランは数年前から悪徳グループを集め、力で抑え付けては傘下に加えていた。そして、沢山のグループを吸収したことにより、その数は4倍の200人にも上っていた。
ウランは、今や東京4大勢力にも引けを取らない程の力を持ち、武力集団である事から、誰も止める事が出来ない程の危険集団となっていた。
「知らなかったのか?」
「アイツ等とは関わらない様にしてたからね。ちょっかい掛けられても面倒だし」
それもそーだな。
「まぁーいいや。ほれ」
大悟は受話器を勇巳に渡した。
「え?」
「俺よりも勇巳達の方が、アイツ等に言ってやりたい事があるんじゃないか?」
勇巳は、受話器をジッと見つめる。
「いいのかい?」
「勿論。火に油を注いでやれ」
勇巳は受話器をギュッと握り、息を吸い込んだ。
スー。
「おい安田! お前のせいで沢山の仲間が死んだ。お前のせいだ、お前のせいで死んだんだ。絶対に許さない。死んでいった者達のためにも、ちゃんと償いを受けて貰うぞ。この……クソ野郎がぁー」
いやぁー、勇巳も溜まってんだなぁー。びっくりしたわ、大声で。
「ところで安田って誰?」
大悟は努にコソッと話し掛けた。
「ボスの名前ですよ」
へぇー。まぁーもう死ぬんだし覚えなくてもいいや
「ハァー、ハァー」
勇巳は、荒れている息を整えると後ろを向いた。
「君達も言いたい事があれば言うといい。多少はスッキリするぞ」
それを聞いて男達は受話器に群がった。
「よくもやってくれたなクソ野郎共ぉー」
「地獄で反省しろ」
「バーカ、バーカ」
「カラスの餌にでもなってろゴミ」
そのまま罵倒していると、ついに安田がキレた。
「て、てめぇー等。ナメた口利きやがって、上等じゃねぇーか。てめぇーら全員犬の餌にしてやんよ。お前等、構うこたぁーねぇーやっちまえ、1人も残すんじゃねーぞ」
「おぉー」
その合図でウランメンバー全員が、建物に向かって走り出す。
さて、やるか。
「それじゃあ、やるけど、ちょっとグロくなると思うから、あんまり見ない方がいいかもよ」
「大悟さん、僕は見るよ。彼等のリーダーとして、死んでいった者達の手向けとして」
「俺も見るぞ」
「俺もだ」
「これは復讐じゃない、ケジメなんだ」
男達の意思は固かった。
「了解」
大悟は、ミニガンの安全装置を外す。
「大悟さん、それでどうやってミニガンを外に出すの?」
ミニガンは城壁の中に固定された状態で置いてある。その為、このまま撃てば外壁に当たってしまう。
「外に出す? いやいや、そんな事しないよ」
「え? でもそれじゃあ壁に」
大悟はニヤッと笑い、ミニガンのトリガーを引いた。
すると、前線にいたウランメンバーの頭が吹っ飛び、そのまま銃弾の嵐がウランメンバーを襲った。
「え?」
勇巳達は、何が起こったのか全く分からなかった。
「か、壁から弾が」
「た、助けて」
「頭を下げろ、撃たれるぞ」
突然の銃撃に慌てるウランメンバー。
「ボ、ボス」
「一体なんなんだ、コレは?」
「わ、分かりません。しかし、このままでは全滅してしまいます」
「くっ、仕方ない一時撤退だ」
「はい、了解しま、ぐふっ」
安田の前で、その男の上半身が吹っ飛んだ。
「ひっ」
一瞬で上半身を失った男を目の前にし、安田は震え上がり、更に体を低くして蹲ってしまった。
勇巳は、目の前で起きている不思議な現象に首を傾げていた。
「弾が壁を擦り抜けてる、のか?」
勇巳は最初、弾が壁を貫通しているんだと思っていた。だが、壁のどこにも穴は空いておらず、壁は綺麗なままであった。
1分程して、大悟は撃つのを止めた。
「お、終わったのか?」
勇巳は、戦場跡に目をやった。
そこには、沢山の死体が無残な姿で転がっていた。
大悟はMAPを開いて、辺りを確認する。
「いや、1人生きてるみたいだな」
大悟は、空中に待機させていたドローンを向かわせた。
「いた」
そこには体を震わせ、蹲っている安田の姿があった。
こう言う奴ってホントしぶといよね。
「どうする?」
大悟は、安田の処遇を勇巳に委ねた。
「……やってくれ。奴を逃せば遺恨が残る。その遺恨はきっと、僕達の仲間を傷付ける。だから……」
勇巳はドローンの映像から目を逸らした。
「分かった」
そう言って大悟は、安田の頭を吹き飛ばした。
パァン!
こうして安田は死に、ウランは壊滅した。




