44. 要塞完成
「要塞って、ここをかい?」
「いや、正確に言うとこの上だね」
大悟は上を指差す。
「上?」
「そう。この上一帯を更地にして要塞を建てるんだ。そんで、このシェルターは倉庫兼緊急避難場所として利用するつもり。勿論、もっと強固に固めてね」
「それは僕達としては助かるけど、いいのかい? 大悟さんの能力が皆にバレるんじゃないか?」
「もう、隠すつもりは無いから構わないよ。唯、無理に言いふらしたりするのだけは止めてくれ」
「ははっ、分かったよ。それなら、皆には僕からちゃんと説明するよ。その方がスムーズに進むだろうし、大悟さんも建設に集中できると思うし」
「了解。それじゃあ、こっちの事は勇巳に任せて、俺は要塞建設に取り掛からせて貰うよ。なんとか夜明け迄には完成させたいからね」
そう言って大悟はシェルターを出て、地上へと向かった。
「この辺かな」
大悟は、索敵とMAPを使ってシェルターの位置を確認する。
「よし、やるか」
大悟は、まず東京ドーム1個分程の大きさの結界を張った。そして、結界内に闇魔法『ブラックホール』を発動させ、結界内にある物全てを綺麗さっぱり消滅させた。無論、生物の有無は確認済み。
ブラックホールは、全てを吸い込む神術魔法。一切の制御が出来ず、結界で閉じ込めてから使用しなければ、地上にある物全てを吸い尽くすまで止まらない
「更地完成。次は」
大悟は、魔力を練り上げる。
まだまだ練り上げる、まだまだまだまだ。
そして、15分程練り上げた所で錬金術を展開し、巨大な建物を造り上げた。
この建物にはブラックミスリルと言う鉱石が使われている。
大悟のいた異世界では、ダイヤモンド<ミスリル<アダマンタイト<オリハルコン<ヒヒイロカネの順で希少価値が上がっていき、それぞれ通常とブラックの2種類の鉱石があった。
通常の鉱石は魔力の伝導率が高く、硬さはそこそこ。ブラック鉱石は高い硬度を持ち、伝導率はそこそこだった。
無論、そこそこと言ってもミスリルの硬度はブラックダイヤモンドより高く、ブラックミスリルの伝導率はダイヤモンドより高い。
本当は、オリハルコンを使用したがったが、オリハルコンを錬成するにはミスリルの数倍時間が掛かってしまう為、今回は諦めた。
「よし、次は城壁っと」
大悟は先程と同じように魔力を練り、城壁を建てて行く。城壁の高さはビル3階程度、中には警備する人達用の住居スペースが設置されている。
他にも色々取り付けていく。
大悟は止まらない。ドンドン取り付けていく。
そして1時間程かけて城壁を完成させた。
「やべ、城壁に時間をかけ過ぎた。早く本館もやらないと」
本館は5階建て。
大悟は昨夜仕上げた設計図を取り出し、内装の工事を始めた。
「ここにはアレをつけて、あっちにはコレだな。この階は住居スペースで。あ、エレベーター付けるの忘れてた。後は……」
2時間後。
「よし、でけた。とりあえずこんなもんでいいだろ。後は使ってみてだな」
そう言って大悟は、建物内に作ったエレベーターに乗って降下して行った。
ガチャ。
「御主人様!」
突然、シェルターの物置部屋から大悟が現れる。
「お疲れエリ」
「なんで物置部屋から?」
「あぁー、この物置部屋と上に作った建物を繋いだんだよ。これで安全に移動できるだろ?」
「もぉー、びっくりさせないで下さい」
「ごめんごめん。それでみんなは?」
「エビスは正面入り口を、ユリは裏口を見張っています。勇巳様、優希様、努様は勇巳様の部屋に。残りの方達はあちらで固まって寝ています。相当疲れていたんでしょう、布団に入るや否や、すぐに寝入ってしまいました」
「そうか。なら、移動は明日の朝だな。あとは……正面入りと裏口塞いどくか。もう使わないし」
大悟は正面入り口に向かう。
「大悟殿、もう終わったでござるか?」
「お疲れエビス、もう終わったよ。後は、ここと裏口を塞いじゃおうと思ってね」
「塞いじゃっていいのでござるか?」
「脱出口は後で新たに作るから。今はこの入り口塞いじゃった方が安心だろ?」
「うむ、そうでござるな」
「それじゃあ塞ぐね」
大悟は正面入り口を塞いだ後、ユリのいる裏口も同じ様に塞いだ。
そして、一通り終わった事を報告しに勇巳の部屋に向かう。
トントン。
「勇巳、俺だ」
「どうぞ、入って」
ガチャ。
ドアを開けると、そこにはソファーの上で眠る優希と努の姿があった。
寝ちゃったか
「勇巳は眠くないのか?」
勇巳は1人で書類の整理をしていた。
「眠いけど、大悟さんにやらしといて自分が眠る訳にはいかないからね」
「律儀な奴だな。気にしないで寝れば良かったのに」
「あははっ、それでどう?」
「まぁー、ぼちぼちって感じかな」
「大悟さんのぼちぼちは怖いな。大丈夫? いきなり空飛んだりしないよね?」
「なるほど」
大悟はポンッと手を叩く。
「それは面白いな。よし、今から改造を」
「待って、冗談だから。空飛ぶ家とか、ぶっ飛びすぎて怖いって」
勇巳は必死になって大悟を止める。
「引っ付くなよ。分かった、止めるよ。だから離れろ」
「ホントかい? 良かった」
「バレない様に少しずつ浮かしていくか?」
ボソボソっと呟く。
「聞こえたよ。絶対にさせないからね。毎日浮いてないか確認するから」
「お前の耳は地獄耳か? えぇーい、分かったから。やらないから早く寝ろ。明日は朝から移動するんだからな」
「約束だからね」
「はいはい、分かった分かった」
勇巳は疑いの目を向けながら布団へと向かった。
そして、次の日の朝。
大悟邸のお披露目である。




