43. 人探しの達人
〜〜大悟〜〜
「冗談だよ大悟さん。大悟さん達には感謝しかないよ。あのまま大悟さん達が現れなかったら、何人生き残れたか……」
「勇巳、まだ終わってないぞ」
「え?」
「佐々木だったか? 奴を捕まえないと終われないだろ? 奴を捕まえて罰を与えないと。勿論、話を聞いた後でね。そうしなければ、死んでいった者達に顔向けできない」
「そうだよ兄さん。みんなの敵を取らなきゃ気が収まらない」
「……そうだな。大悟さん、助けて貰ったばっかで申し訳ないんだが、手を貸してもらえないだろうか?」
勇巳は大悟に向かって頭を下げた。
「お願いします」
それに続くように優希と努も頭を下げてきた。
「もとよりそのつもりだよ」
「ありがとう大悟さん」
「拙者も勿論、手を貸すでござる。唯、拙者はその佐々木と言う男の顔は知らないでござるよ」
「それなら大丈夫です。私達はメンバー全員の顔付き証明書を作っていますので、それを見れば顔が分かりますよ」
「顔付き証明書? とは何かよく分からんでござるが、顔が分かるんなら有り難いでござるよ努殿」
「それは良かった。証明書は勇巳さんの部屋にしまって有ります。みんなで手分けして探せばすぐ見つかると思いますよ」
「そうだね、すぐに取り掛かろう」
大悟達は勇巳の部屋に行き、証明書を探し始めた。
「うお、すごい数だな」
「亡くなったり、脱退していった人達のも残してあるからね」
部屋の棚には数百枚の書類が閉まってあった。
「それにしても10年以上経ってもカメラのフィルムはちゃんと使えるんだな。フィルムの有効期限なんて1、2年ぐらいだろ?」
「画質とかの問題はあるけどね。それでも保存さえしっかりやっとけば、ちゃんと使えるよ」
「なるほどね」
そして探す事、数分。
「あったぞ、これだ」
優希は佐々木の証明書を皆に見せる。
「ふむ、こんな顔でござるか。拙者が見つけてコテンパンにしてやるでござるよ」
「え? エビスはここでお留守番だよ」
「ぬぉー」
大悟の衝撃発言に驚くエビス。
「何故でござるか? 拙者にも手伝わせてほしいでござる」
「エビスは索敵が使えないだろ。それに俺達の誰かがここに残ってないと。勿論、勇巳達もここで待機だぞ」
「ぐぬ、でござる」
「分かってるよ。今の僕達じゃ足手まといだし。でも、君達3人じゃ大変じゃないか?」
「それなら問題ないよ。助っ人を呼ぶから」
大悟はニヤッと笑い、魔法陣を展開させた。
「召喚、ディオ」
「召喚、ムーア」
「召喚、リデス」
魔法陣から現れたのは3人。
彼等は跪き、大悟に向かってお辞儀をした。
「7柱の1人、皇帝ディオここに」
「7柱の1人、悪魔王ムーアここに」
「7柱の1人、女帝リデスここに」
その者達は、上級悪魔の上に立つ7柱の内の3人。
皇帝ディオ。
7柱の1人。常に冷静沈着な男。闇魔法を得意とする。
悪魔王ムーア。
7柱の1人。寡黙な男。アンデットや幽霊を操る死霊系の魔法を得意とする。
女帝リデス。
7柱の1人。妖艶な美女。黒い炎、黒炎を操る。
「急で悪いんだが、この男を探してきて欲しい。そんな遠くには行っていないはずだから」
大悟は佐々木の顔写真を見せる。
「はっ、かしこまりました」
そう言うと突如、空間に亀裂が入り、3人はその亀裂の中に消えていった。
「大悟さん、今のは?」
「彼等は俺の従者だよ。人を探すのが上手いんだ」
「高貴なる7柱を人探しに使うのは、大悟殿ぐらいでござるよ」
ボソッと呟くエビス。
「全くだわ」×2
同調するエリとユリ。
「それじゃあ、エリ、ユリ、俺達は地下を探索するか」
「はい」×2
「待って大悟さん。佐々木は、もう地下にはいないと思うよ」
「ん? どうして?」
「あの裏口、右は迷路のようになっているんだけど、左は地上までの一本道になってるんだ。奴が左に行ったのが見えたから、今頃は地上に出てると思う」
「なるほどな、それじゃあ俺達も地上を」
「大悟様」
突如、空間に亀裂が入り、亀裂の中から7柱の3人が現れた。
「どうした? 忘れ物か?」
「捕縛しました」
「え?」
「捕縛しました」
「誰を?」
「ご所望の男でございます」
そう言ってムーアは佐々木を放り投げた。
佐々木は手足を闇の霧で縛られ、気を失っていた。
「間違いない佐々木です」
努は佐々木に近づき、顔を確認した。
「早くない?」
「大悟様をお待たせする訳には行きません。全力で遂行させて頂きました」
リデスが答える。
「あ、そう……」
「おい、起きろ」
努は佐々木の頬を叩く。
「ん、んー、ん! うあぁー化物、助けてくれ」
佐々木は目を覚まし、目の前にいるリデスの存在に気付くと、急に怯え出した。
おい、リデス。一体何をしたんだ?
「おい、虫螻。頭を吹き飛ばされたく無ければ、全て話すがよい」
リデスは、人差し指の爪を30cm程伸ばすと、佐々木の首元に当てた。
「ひぃー、話します、なんでも話します。だから命だけは」
「それは話を聞いてから決める」
大悟はリデスを下がらせ、前に出た。
「さぁ、話せ」
「は、はい。実は俺、『ウラン』のメンバーで、ボスから『ホープ』の居場所を突き止めてこいって言われてたんです」
「なんだと」
勇巳達は声を荒げた。
そんなこったろーと思ったわ。勇巳達は、誰彼構わず助けすぎる。困ってる奴をほっとけないんだろうけど、もう少し相手の素性とかを気にした方がいい。
「それで?」
大悟は、前に出ようとする勇巳達を制止する。
「あ、はい。上手く侵入した後は、数週間かけてここまでの道を覚え、隙を見て脱出しました。そして、ボスに報告する為に拠点に戻ったんです。そしたらボスが『感染者を上手く使って、そのシェルターを崩壊させてこい』って。それで俺、街中を音を出しながら走ったんです。怖かったけど、やらなきゃボスに殺されるし。そして、そのまま地下に入って感染者をシェルターに……。これは全てボスの命令なんです。俺は悪くないんです。悪いのはボスなんです」
「……それで、お前達の拠点は何処だ?」
大悟は地図を広げて佐々木に見せる。
「こ、ここです」
「そうか」
「あの、それで俺の命は……」
「ないな」
「な?」
「当たり前だろ。お前は罪のない人達の命を沢山奪ったんだ。死んで罪を償うしかないだろ」
そう言うと大悟は指を鳴らした。
パチンッ!
すると、ムーアが佐々木の後ろに現れ、佐々木を異空間の中に引き摺り込む。
「うわぁー、助け……」
佐々木の体は、全て異空間の中に消え去った。
「あ、相変わらず容赦無いね大悟さんは」
「そうか? まだ家族が人質に取られててとか、そう言う理由があれば考えたんだがな」
「それで、この後はどうするんだい? やっぱりウランに乗り込む?」
「いや、まずはここを要塞にする」
「要塞に?」
ここで大悟のチート能力が、さらに輝きだす。




