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37. エビスのお出掛け


「さて、何処のビルから探すでござるかな?」

 エビスは、歩きながら良さそうなビルを探していた。


「ふむ、このビルは中々立派でござるな。まずは、ここにするでござるか」

 そう言ってエビスはビルの中に入って行った。


 中には沢山の感染者がウヨウヨしていたが、エビスにはまだ気付いていない様子だった。


 まだ気付かれてないでござるな。では、暗殺モードに切り替えさせて貰うでござる。


 エビスは『スイッチ』と言う特殊能力を持つ。

 これは、暗殺モード、堅守モード、バーサーカーモードなどのモードに切り換える事でステータスや能力を変化させ、その場面にあったスタイルで戦闘を行う事ができる。

 以前、元ウラングループの奴等を跡形もなく消し去った時は、殲滅モードに切り替えていた。


 暗殺モードに切り替えたエビスは、感染者に気づかれる事なく感染者の首を刈っていく。

 そして、30分程で全ての階層の感染者を処理した。


「ふぅー、さて食料を探すでござるよ」

 エビスは最上階から順に探して行く。

 しかし食料は一向に見つからず、1階まで降りてきてしまった。


「中々見つからないでござる。後はこの階だけでござるか」

 期待薄ではあったが、エビスはとりあえず食料を探し始める。

 すると、厳重に鍵が掛けられているドアを発見する。エビスは持ち前の馬鹿力でドアごと破壊した。


「おや、階段でござるな」

 ドアを退けると、そこには地下へと続く階段があった。

 エビスは、生活魔法『ライト』で明かりをつけ、階段を下って行く。

 そして1番下まで降りると、沢山の缶詰が置いてある部屋を見つける。


「これは、なんでござるか? パンの絵が書いてあるでござる」

 エビスは缶詰を掴むと匂いを嗅いだり、軽く叩いてみたりして見た。

「よく分からんでござるな」

 そう言ってエビスは缶詰の上部を切断し、中身を確認する。

「ふぉー、パンが入ってるでござるよ。それじゃあー、こっちの赤い野菜の絵が書いてある奴は?」

 エビスは先程と同じ様に缶詰の上部を切り落とし、中身を舐めてみた。

「ふぉー、美味いでござる。これなら彼等にプレゼントできるでござるよ」

 エビスは缶詰を空間収納に詰め込んでいく。

 全ての缶詰を入れ終わるとエビスはビルを出て、次のビルへと向かった。

 そうして2件、3件とビルを探り、食料をGETして行く。

「こんぐらいでいいでござるな」

 エビスは食料の探索を終えると、そのまま鼠と出会った場所へと移動した。


「鼠殿ぉー、食料を持ってきたでウサよぉー」

 エビスは鼠を探し回るが、全く見つからない。

 しょがないので他の場所に移動しようとした時、奥の建物から1匹の鼠が飛び出してきた。

「助けてチュー」

「待つニャー」

 その鼠は猫に追われていた。

 そして鼠は簡単に捕獲され、食べられそうになる。


「待つでウサ」

 エビスは猫の後ろに回り、声を掛ける。

 猫は飛び上がり、鼠から離れた。


「何者ニャー、俺の食事の邪魔をするニャー」


「拙者はエビスと申すウサ。この鼠達には借りがあるウサ、食べさせる訳にはいかないウサ」

 エビスは鼠を守るかのように猫と鼠の間に入る。


「そう言う訳にはいかないニャー、もう3日も何も食べてないニャー、そいつを逃す訳にはいかないニャー」


「お腹が空いてるウサか?」

 エビスは空間収納から魚の絵が書いてある缶詰を幾つか取り出して、蓋を開けてから猫に差し出した。


「な、なんだこの良い匂いはニャー? た、食べていいかニャー?」


「いいウサ」


 それを聞いた猫は缶詰に食らいついた。

「美味いニャー、こんなの食べた事ないニャー」


 エビスは、一心不乱に食べ続けている猫をそのままにして、鼠に話し掛けた。

「先日、鼠殿達に女の子の探索を手伝って貰ったので、今日はそのお礼に参ったでウサよ」


「あぁー、ネズ吉が言ってた兎さんでチューね。ネズ吉は今、緊急集会で呼ばれてるチューよ」


「なんかあったウサか?」


「よく分かないチュー、食料危機とか言ってたチュー」


 食料危機でござるか。だから食料を欲しがってたでござるか?


「この辺の動物は皆、食料不足だニャー。俺の仲間は5日何も食べてないって言ってたニャー」


「そうでウサか」

 エビスは暫し考え、提案する。

「それならば拙者が皆にご馳走するウサ」


「本当かニャー」

「嬉しいチュー」


「場所は今、鼠殿達が集まってる場所でいいウサか?」


「え? でも僕達が食べられちゃうチュー」


「大丈夫ウサ。拙者がそんな事させないウサ」


「本当チュー? でもボスに聞いてみないとチュー」


「分かったウサ。じゃあここで待ってるウサ。猫殿は仲間をここに集めてくるウサ」


「分かったチュー」

「了解ニャー」

 猫と鼠は一目散に走り出した。


 10分程で鼠が仲間2匹を連れて戻ってきた。


「エビス久し振りチュー」

 仲間の1人はエビスに協力してくれた鼠。

 そして、もう1人は

「貴方がエビスさんですかチュー? 私はこの辺の鼠のリーダーをしていますネズ丸と言いますチュー」


「エビスでウサ。よろしくウサ」


「それで私達の隠れ家に各種の動物を集めると聞きましたチュー?」


「彼と食料の約束をしていたウサ。それで、どうせ食料届けに行くなら、他の動物達も集めて食料援助をしようと思っただけウサ」


「しかし我々は最弱動物チュー、もし他の動物に襲われたら全滅チュー」


「そんな奴、拙者が懲らしめるウサ。それでも不安なら他の場所にするウサ?」


「場所は問題ないチュー。沢山ある隠れ家の中の1つなだけでバレても大丈夫チュー。問題なのは、仲間を他の動物に合わせる事チュー。エビスさんはどれぐらいお強いでチューか?」


「えぇーと、こんぐらいウサ」

 そう言ってエビスはコンクリートの壁を斬り刻んだ。

 シャパパパ!


 口が開き、下顎が地面に着きそうになるぐらい驚く鼠達。


「拙者では役不足でござるか?」


「め、め、滅相も御座いませんチュー。これなら安心して仲間を集められるチュー」

 そんな事をしていると猫達が現れる。


「連れてきたニャー」

 そこには猫達だけではなく犬も集まっていた。


「俺達もお腹すいたワン」

「何か食べさせてくれワン」


 エビスは暫し考え、

「問題ないウサ、それじゃあ行くウサ」


「逸れないようについて来るチュー」

 鼠を先頭に、動物の大行進が始まった。


「まるで動物軍団だニャー」

「あははっ、それ面白いニャー」


 まだ誰も知らない、ここから『恐怖の軍団』と呼ばれる集団が生まれる事は




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