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36. 由紀の恐怖体験


 〜〜エビス〜〜


「それでは行くでござるよ、由紀殿」


「うん、宜しくねエビスちゃん」

 エビス達は自分達の拠点へ向けて出発した。


 出発してから、ずっとエビスは辺りをキョロキョロし、何かを探してる様だった。

「ん? どうしたのエビスちゃん」


「ちょっと椅子を探しているでござるよ」


「椅子? それならあそこに落ちてるよ」

 由紀は落ちてる椅子を指差す。


「いや、アレでは耐久力と安定感が……」


「耐久力? 安定感?」


「おや! あれは中々良さそうでござるな」

 そう言ってエビスは建物の中に入って行ってしまった。


「ちょっと、エビスちゃん。もおぉ」

 由紀は建物の前に座ってエビスの帰りを待っていた。

 暫くするとエビスが戻ってくる。


「由紀殿、いい椅子を見つけたでござるよ」


「え? えぇぇぇー」

 エビスが持ってきたのは大型のマッサージチェアだった。


「ちょ、ちょっとエビスちゃん。そんなの何に使うの?」


「何って、由紀殿を乗せて運ぶ為でござるよ」

 エビスから飛び出す衝撃発言。


「いやいや、エビスちゃん。何を言っているの? 私乗らないよ」


「大丈夫でござる。拙者がちゃんと支えて落とさないようにするでござるよ」

 ドヤ顔をするエビス。


「いやいや、エビスちゃん。危ないって」


「え、でも」


「安全に歩いて行こう、エビスちゃん」


「そ、そうでござるか。分かったでござる」

 肩を落とし、悲しい顔をするエビス。


「う」


「戻して来るでござる。はぁー」

 大きい溜息を吐くエビス。


「う」


「しょうがないでござるな」

 哀愁漂うエビスの背中。


「わ、分かったよ。乗るよ、乗ればいいんでしょ」

 由紀はエビスの哀愁に負けた。


「ホントでござるか、由紀殿」

 エビスは、一瞬で由紀の前まで移動する。


「う、うん」


「良かったでござる。絶対上から行った方が速いでござるよ」

 エビスは由紀をマッサージチェアに座らせ、落ちないように縄で固定した。


「え? ちょっとエビスちゃん。上って何? 走って行くんでしょ? しかもこの縄は何?」


「落ちたら危険なので固定したでござるよ。それじゃあ、行くでござる」

 そう言ってエビスは、マッサージチェアを持ち上げてジャンプをした。


「き、危険ってどう言、キャャャー」

 ジャンプしたエビスは8階建のビルの屋上まで飛び上がり、そのままビルの屋上に降り立つ。

 そして再びジャンプをして数十m先のビルの屋上まで移動する。

 そんな事を目的地まで繰り返し(おこな)った。



「由紀殿、起きるでござるよ。着いたでござるよ」

 エビスは寝ている由紀の体を揺らす。


「ん、んー、あれ、ここは?」

 目を覚ます由紀。


「拠点に向かうトロッコの中でござるよ」

 エビスは到着した後、寝ている由紀の縄を(ほど)いてトロッコに乗せていた。


「あー」

 由紀は、徐々にさっきまでの事を思い出す。


「随分疲れてたんでごさるね。移動し始めたら、すぐに眠ったでござるよ」

 そう言った瞬間、エビスの頬が引っ張られる。


「ふほぉー、ひゃにほふるへほひゃるは? ひはいへほひゃる(ぬおぉー、何をするでござるか? 痛いでござる)」


「ね、寝てたんじゃないよ。気絶してたの、き、ぜ、つ! もぉー凄い怖かったんだからね」

 由紀は頬を膨らませながら答える。


「ふぉーふぁったんへほひゃふは? ふぉへふぁほーひはいほひょほひたへほひゃふ。 ふゅるひへほひいへほひゃふひょ(そぉだったんでござるか? それは申し訳ない事をしたでござる。許して欲しいでござるよ)」


「うぅーん! じゃあ、今日一緒に寝てくれたら許してあげる」

 そう言って由紀は手を離した。


「ぐぬ、一緒にでござるか?」

 嫌な顔をするエビス。

 エビスは、人と一緒に寝る事がトラウマになっていた。異世界で大悟達と旅をしていた時、よく女性陣の抱き枕にされ、死にそうになった事が何度もあったからである。


 冷や汗が出てきたでござる。しかし今回は拙者の落ち度、抱き枕で許してくれるのなら


「分かったでござる。その罰、甘んじて受けるでござるよ」

 エビスは、死を覚悟した男の目をしていた。


「ば、罰? ま、まぁーいいか。やったぁー、エビスちゃんと添い寝できるぅ」

 由紀が(はしゃ)いでいると、トロッコが展望台に到着しドアが開いた。


「由紀!」

 ドアが開いた瞬間、美香と美沙が此方に向かって走り出し、由紀に抱きついた。


「誘拐されたって聞いて、ずっと心配してたんだから」

「良かった、無事で」


「心配かけて御免なさい。でも大悟さん達が助けてくれたから何ともないよ」


「一体何があったの?」


「それについては拙者が説明するでござる」

 エビスは2人の会話に入り、説明を始めた。


「そうだったの。あのクソウランの奴らムカつくわね! でも、もうこの世には居ないみたいだし、綺麗さっぱり忘れましょう。覚えててあげる価値もない奴らだもん。今は由紀が無事に戻ってきてくれた事だけで十分」


「うん」×2

 頷く由紀と美沙。


「それじゃあ、大悟達が戻って来るまでゆっくりしてましょうか。由紀とエビスちゃんお腹空いてない? 何か作ろうか?」


「あ、拙者これから出掛けるので大丈夫でござるよ」


「え、どこに?」


「実は由紀殿を捜索してる時に、力を貸してくれた者達がいるでござるよ。その者達はお礼に食料が欲しいと言ってたでござるから、今持ってってあげるでござるよ」


「そうなんだ、それなら私達も手伝うわよ。由紀のお礼もしたいし」


「今、御三方は外に出ない方が良いでござる。お礼はちゃんと拙者が伝えておくでござるよ。それよりも、食料がある場所の心当たりがあったりしないでござるか?」


「そうねぇー……それなら、感染者が多くいそうな建物は如何(どう)かしら? 感染者が多くいる場所は誰も入ってない可能性が高いから、まだ食料が取られてないかも知れないわ。特に沢山の会社が入ってるビルがオススメね、そう言う所には保存食が置いてあったりするのよ」


「なるほどでござる。では早速探しに行って来るでござるよぉぉー」

 そう言ってエビスは展望台から出て行ってしまった。


「大丈夫かしら、エビスちゃん」

「エビスちゃんなら大丈夫よ、お姉ちゃん」

「うん、うん」








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