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38. エビス軍


「ここだチュー」

 道中何事もなく、目的地に到着するエビス達。

 中に入ると数十匹の鼠達が騒ぎ出した。


「落ち着くんだチュー。ここの安全は私が保証するチュー」

 リーダーの言葉を聞いて胸を撫で下ろす鼠達。

 

 全員が中に入り、扉を閉めると3匹の猫が前に出てきた。

「へへへっ。食料がいっぱいニャー」

「食べ放題だニャー、兄ちゃん」

「早い者勝ちニャー」


「やめるニャー、バカ3兄弟」


「うるさいニャー」

 パシッ

「ニャー」

 止めに入った猫はバカ3兄弟に殴られ、その場に倒れた。


「何してるウサ」

 エビスは3兄弟の後ろに立つ。


 驚いて3兄弟は飛び上がる。

「て、てめぇー驚ろかせるんじゃねぇーニャ。やっちまえお前ニャー」

 3兄弟はエビスに襲い掛かってきた。


「闘障壁」

 エビスは両手を前に突き出す。


「ぶべっ」

「ぶほっ」

「べへっ」

 3兄弟は見えない壁に阻まれる。

 そして、その見えない壁は徐々に3兄弟を押して行き、そのままコンクリートの壁と見えない壁に挟まれてしまった。

「ぶへっ」×3


 3兄弟は壁と壁に挟まれ、今にも押しつぶされそうになっていた。

「降参ニャー。やめてくれニャー」

「わ、悪かったニャー」

「ニャー」

 しかし、見えない壁は止まらない。

「ぐふっ、ごべんなさいニャー、もう逆らわないニャー」

「べほっ、た、たちゅけてニャー、」

「ぶへっ、ヒック、ヒック(泣いてます)」


 エビスは障壁を解除し、3兄弟の前に立った。

「ひぃー」×3

 3兄弟は3人抱き合って震えていた。


「次、変な事したら……分かってるウサね?」

 3兄弟は高速で頭を前後させる。


 そして、エビスが後ろを振り向くと全員が直立不動の姿勢で立っていた。

「みんなも仲良くウサね」

 全ての動物が全力で頭を前後に振る。


「それじゃあ、食料を配るから1列に並んでくれウサ」

 エビスが、そう言うと動物達はエビスの前に並び始めた。

 そうして全ての動物に食料が行き渡ると、エビスの号令の下、動物達は食料を一斉に食べ始める。


「今日は本当に有り難うチュー、これでもう少し生きていけるチュー」

 エビスがパンを食べていると、リーダーのネズ丸が隣に座って話し掛けてきた。


「唯のお返しウサ、気にしなくていいウサ。それにしても良くこんな状態で今まで生きてこれたウサね」


「他の動物は分からないけど、我々鼠一族は全員で食料をかき集めて、それを保存してたチュー。本来なら後、数年は問題なく暮らしていけるはずだったチュー」


「なら、どうしてウサ?」


「我々の食料を保存してる場所に得体の知れない者が現れて、その場所に近づけなくなったチュー」


 得体の知れない? それは確認しておく必要がありそうでござるな


「ネズ丸殿、もし良かったらその場所に案内してくれないウサか?」


「そ、それはできないチュー。あれは我々動物が関わっていい存在じゃないチュー、我々の命の恩人をそんな所には連れて行けないチュー」


「ヤバそうだったら逃げるウサ、約束するウサ。だからお願いウサ」

 エビスはネズ丸の目を見つめる。


「わ、分かったチュー。その代わりヤバかったら絶対に逃げるチューよ」

 エビスは頷き、立ち上がった。

 すると、

「命の恩人を行かせて、我々猫族が行かないわけには行かないニャー。この猫太郎が一緒に行くニャ」

「それならば犬族からは、この私、犬次郎が一緒に行くワン」

 近くで聞いていた猫太郎と犬次郎も立ち上がる。


「ついてくるのは構わないウサ、でも絶対に拙者の前に出ちゃ駄目ウサ」

「分かったニャー」

「了解ワン」

 

 エビス達は静かに移動を開始した。

 そしてネズ丸の案内の下、ある建物の中に入った。


「あ、あれでチュー」

 震える手でネズ丸が指差した方向には2mを超える筋肉隆々の感染者が徘徊していた。

 それを見た瞬間、猫太郎と犬次郎は震え出す。


 ふむ、大悟殿が言っていた者と特徴が合うでござるな。確認した方が良さそうでござるな


 エビスは脳内通信で大悟に話し掛ける。

「大悟殿、少し宜しいでござるか?」


「どうした? エビス」


「凄く大きい感染者が現れたでござるよ」


「え?」


「体長は2mを優に超え、筋肉隆々の感染者でござる」


「そうか。それは間違いなく俺の言ってたオーガ擬だな」


「そうでござるか」


「いいか、エビスよく聞け。そいつの倒し方は……」

 大悟はエビスにオーガ擬の倒し方を説明していく。


「どうだ? 倒せそうか?」


「問題ないでござる。再生などさせぬよう、一瞬で消し炭にするでござるよ」


「おい、辺りを焼け野原にするなよ」


「大丈夫でござる。拙者に考えがあるでござるよ」


「そ、そうか。ところで由紀は?」


「無事に拠点まで送ったでござるよ。今は拙者1人で外出してるでござる」


「あんまり遅くなるなよ」


「分かってるでござるよ」

 エビスは脳内通信を切った。

 そして、後ろを振り向き

「今からアレを倒すウサ。皆はここを動かないようにウサ」

 3匹は恐怖で声が出ないのか、頷くだけだった。


「フンッ」

 エビスは『一騎討ちモード』にスイッチした。

「参る」

 その瞬間、エビスの姿が消えオーガ擬の前に現れる。そして、オーガ擬の腹を蹴り飛ばした。

 オーガ擬は吹っ飛び、ビルの窓をブチ破って外へと放り出される。

 道の真ん中に放り出されたオーガ擬は、すぐさま起き上がろうと上体を起こす。しかし又もや目の前にエビスが現れ、真上に蹴り飛ばされた。

 オーガ擬は数十m先上空まで飛んで行く。

 体勢を整えようとオーガ擬は空中でジタバタし始める。しかし、そんなオーガ擬の下では右手を光らしたエビスの姿があった。


「闘弾」

 エビスはオーガ擬に向かって拳を撃つ。

 すると右手から光が放たれ、渦巻き状になってオーガ擬に向かっていった。

 その光はオーガ擬を包み込み、そのまま遥か彼方まで飛んでいく。

「グッ、グガァァー」

 そして、光が消え去ると同時にオーガ擬の姿も消え去っていった。


「討伐完了でござる」

 エビスはオーガ擬の討伐を終えると、3匹の元へと戻っていった。


 3匹は硬直していた。

 エビスがその場から消え、オーガ擬が吹っ飛び、気がついたらエビスが外で上に光を放っていた。

 驚くのも無理はないだろう。

 3匹は硬直を解くと互いに目を合わせ頷く。

 そして両膝を地面につけ、土下座をしてきた。

「エビスの兄貴、いや、親分。俺達を貴方の傘下に入れて下さい。なんでもしますからぁー」


「え?」

 エビス軍の始まりである。




 

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