34. 俺は元異世界人
〜〜大悟〜〜
大悟達は地上に上がってきていた。
「まずいな、オーガ擬の気配を感じる」
そう言って大悟は、突如思いっきりジャンプをし、全てのビルを超え、雲と同じ高さまで飛んだ。
そして、落下しながら優希のいるビルを上から確認する。
「感染者がビルを囲んでるな。優希の反応はビルの中にあるが、どうやって侵入したんだ?」
大悟はビルの周りを見回す。すると、隣のビルとロープで繋がっているのを見つけた。
「なるほど、あそこから侵入したのか」
大悟はそのまま違うビルの屋上へと着陸した。
その瞬間、救出部隊の反応が1人消える。
「ちっ」
「御主人様!」
エリとユリもビルの屋上に上がって来た。
「分かってる。もう少し現状を把握したかったが、仕方ない、優希のいる場所に突っ込む」
「はい」×2
大悟は優希のいるビルに向かって走り出し、屋上から飛び出した。
そのスピードは恐ろしく速く、一直線にビルへと向かって行った。
そして、オーガ擬が優希に襲い掛かろうとしてるのを確認し、目標をオーガ擬に変える。
そのまま窓を突き破り、オーガ擬の後頭部を蹴っ飛ばした。
オーガ擬は吹っ飛び、壁にめり込んだ。
「大丈夫か?」
大悟は優希に手を差し出す。
優希はボーっとしていたが、その言葉を聞いて我に返る。
「あ、あぁ。体中痛くて全く動かないが、なんとか生きてる」
「そうか」
「それで、大悟さんは一体どこから?」
「ん? あそこから」
大悟は数百m離れたビルを指差した。
「な!?」
「グォォォーン」
大悟達は、一斉にその声の鳴る方を見る。
そこには壁にめり込んでいたオーガ擬が、壁から抜け出し、大悟に向かって走り出していた。
「おい、アイツは危険だ。俺を囮にしてこの場から逃げろ」
優希は動かない体を無理やり動かそうとするが、激痛が体を襲う。
「ぐぁぁ」
「エリ、ユリ。彼を守ってやれ、ついでに回復も」
「はい、御主人様」
エリとユリは優希の隣に移動し、エリは優希に回復魔法を掛ける。
「なんだこれは? 君達は一体?」
優希がエリの回復魔法に驚いてる中、大悟はオーガ擬に向かって歩き出した。
それを見た優希は再び声を出す。
「無理だ、よせ。この子達を連れて逃げるんだ」
オーガ擬は大悟の目の前までくると、拳を振ってきた。
「いいから、そこで黙って見てろ」
そう言うと大悟はオーガ擬の拳を躱し、オーガ擬のお腹に前蹴りをぶちかました。
オーガ擬は吹っ飛び、さっきまでめり込んでいた壁に再び、めり込んだ。
「グギ、ギ」
大悟は『瞬速』を取り出し、オーガ擬に斬りかかる。
そして、前と同じ様にオーガ擬をバラバラに斬り刻み、寄生虫のいる部分をハンドガンで吹き飛ばした。
オーガ擬はバラバラのまま崩れ落ちる。
「そ、そんな……一瞬で」
大悟はオーガ擬が肉の塊になったのを確認して、優希の元に向かった。
「大悟さん、貴方は一体何者なんですか?」
「あー、うん。俺は異世界経験者なんだ」
『御主人様!』
エリから脳内通信が入る。
『宜しいのですか? そんな事を言っても』
『いいんじゃない。彼等は信用できると思うし、そもそもこんな感染者が出てきたんだ、隠しながらやって行くのは無理があるよ。アイツを倒せるのは現状俺達しかいないんだ。俺達が介入しなければ日本は滅亡するよ。そしたら俺は誰とオンラインゲームを、あ』
『オンラインゲーム?』
『いや、何でもない。気にしないでくれ』
とにかく俺のゲーム仲間(予定)は殺させんぞ。
色々改造して絶対要塞でも作るか?
「異世界、そんなものが」
「まぁー信じるか信じないかは優希次第だけど」
「いや、信じるしかないだろう。アイツを瞬殺し、俺の怪我を一瞬で治したんだ。そんなの普通の人間にはできない」
そりゃそーだ。
「とりあえず本拠に」
優希がそう言いかけた時、優希の前に突如感染者が現れた。
「うわぁ」
しかし、両脇にはエリとユリ。感染者は一瞬で首を斬り落とされる。
「これは調達部隊の連中か?」
その感染者は特殊な服装をしていた。
「あ、あぁ」
大悟がその感染者をジッと見ていると、他の調達部隊も起き上がり始めた。そして、それに釣られるかの様に救出部隊の連中も起き上がってくる。
「いいか?」
大悟は刀を鞘から抜く。
「あぁ、彼等をこのままにはして行けない。ちゃんと、成仏させてやってくれ」
優希は下唇を噛みながら目を瞑る。
「……分かった」
大悟は歩きながら感染者の首を1人ずつ落として行く。
そして数秒で、ここにいる全ての感染者の首を落とし終わった。
「彼等はどうするんだ?」
「感染した者を本拠に入れる訳にはいかない。彼等はここに置いて行く」
優希は彼等の死体を見つめながら答える。
「そうか」
『御主人様。御主人様の蘇生で生き返らせる事は出来ないんでしょうか?』
再び、エリが脳内通信で話しかけてくる。
大悟は首の無い感染者を見つめる。
『……無理だな。感染した状態では蘇生を行う事はできない』
『そうですか』
「とりあえず勇巳の所に戻って状況を説明しよう。心配してるだろうし」
大悟はそう言って歩き出した。
「ま、待ってくれ」
「?」
大悟の足が止まる。
「調達部隊が持って帰るはずだった食料を取りに行かないと」
「食料? これから探すのか?」
「いや、ここの屋上にあるんだ」
「屋上に?」
優希は大悟を屋上に案内する。
屋上のドアを開けると、そこには敷地いっぱいの農園が作られていた。
「農園か。確かにここなら比較的安全に食料を育てる事ができるな」
「兄さんの案なんだ。食料の確保は絶対に必要だって。それじゃあ、とりあえず持てるだけ持って行こう」
「ん? 全部持って行かないのか?」
「この人数じゃあ全部は無理だろ?」
「それなら問題ない」
そう言って大悟は、野菜類を空間収納に放り込んでいく。
「い、異世界の力ってのは……凄いな」
優希は少し呆れながら答える。
30分程で全ての食料を仕舞い込んだ。
「これで最後だな、それじゃあ拠点に戻ろうか」
「あぁ」




