23. ジャスティス壊滅
「さて行くか」
大悟はトロッコを降り、外に出る。
外は曇空のせいで星の光もなく、暗黒の世界が広がっていた。
「こんな暗闇の中で、感染者がウヨウヨいるとか地獄だな」
そんな事を考えながら、大悟はジャスティスのいる図書館に辿り着いた。
すると、
「貴様、何者だ?」
柱の影から出てきた男が小声で問いてきた。
「昼間、お前達のゴミ屑を世話してやった者だ。ボスと話がしたい」
「お前が……ちょっと待ってろ」
男は、そう言って中に入っていった。
ゴミ屑はスルーかよ。アイツ嫌われてんのかな?
数分待っていると中から先程の男が出てきた。
10人の男達を引き連れて
「ボスが会うと言っている」
そう言うと周りにいた男達が俺を囲んだ。
「用心するに越した事はないからな。
悪いが手を縛らせてもらうぞ」
男達は俺の手を後ろ手にして縛った。
「それじゃあ、ついて来い」
うげぇー、こんなむさ苦しい男達に囲まれたまま移動するのかよ
図書館の中に入ると、沢山の男達がこちらを見てニタニタ笑っていた。
なんかムカつく。
「ボスは1番奥の部屋にいる」
俺はむさ苦しい男達に囲まれながら、1番奥の部屋に連れてこられた。
「ここだ、変な真似するなよ」
男はドアを開けた。
ドアを開けると、そこにはスキンヘッドの大男が椅子に座って、女の子の頭を足でグリグリと何度も何度も押し付けていた。
……
「あぁー来たか。
ん、これか? コイツは俺の奴隷でな。今、躾けてる最中なんだよ」
大悟は鑑定で女性の状態を確認する。
大丈夫そうだな、気を失っているだけだ。
「おい、いつまで寝てんだ」
大男は立ち上がって、女の子のお腹を蹴ろうとした。
「おい」
大悟の大声に大男の足が止まる。
「こっちの話が先だ」
大悟は大男を睨みつける。
「ふん、それで何しに来た?」
大男はドサっと椅子に座る。
「その子を譲ってもらおうと思ってな」
「ほう、舐めた事を言うガキだ。
だが、これは俺のだ。どうしても欲しければ対価を持って来い。
お前の連れの女とかな」
ニヤニヤしながら大男は答える。
そのニヤ付き止めろ、イライラする。
「対価か? そうだなぁー。
……それじゃあお前達の命、でどうだろうか?」
大悟は、大男を真似してニヤニヤしながら答える。
プチっ!
「て、てめぇー、いい度胸だな。自殺志願者か? やれるもんならやってみろ、返り討ちにしてやんぜ」
そう言って大男は立ち上がり、釘バットを手に持った。
「プッ。お前には、お似合いの武器だな」
大悟も武器を取り出す。
「お前、縛られてたんじゃなかったのか? それになんだその武器は?
アイツら荷物検査もできねぇーのか。後でぶっ殺してやる」
「縄なんて俺には意味をなさないんだよ。
それとこれは魔剣エスパース、俺のお気に入りの1つだよ」
魔剣エスパースは大悟が持つ十剣の内の1つ。
「え、パス? ちっ、よく分かんねぇーがお前を殺して俺が使ってやるよ」
そう言って、大男は大悟に襲い掛かかる。
が、突如体勢を崩してその場に倒れこんだ。
「い、いてぇー、な、なんだ?」
大男は自分の足下を確認した。
すると、左足の膝から下が切断されていた。
「な、なんで? なんで俺の足が切られてるんだぁ?」
大男は困惑した表情を浮かべた。
「あん? そんなの俺が切ったからに決まってんだろ」
大悟は魔剣エスパースの剣先を大男に向ける。
「て、てめぇーは、そっから動いてねぇーじゃねぇーか」
「あぁー、言ってなかったっけ?
この剣は空間を切ることが出来るんだよ」
そう、この『魔剣エスパース』は、剣から半径10m内の空間を自由自在に切ることができるのだ。
そして、この剣は対象物ではなく、そこにある空間を切るため、相手の防御力を皆無にすることが出来る。
「空間を切る? 何を言ってんだ、てめぇー」
「別に理解しなくてもいいよ。
どうせすぐ死ぬんだし」
大悟の言葉に大男の顔は次第に青ざめていった。
「おい、お前ら。敵だ、コイツを殺せ。おい」
大男は、外に聞こえるように大声で叫んだ。
「無駄だ。
音を遮断してるからな、外には何も聞こえないよ」
「な、なんなんだよ、お前ぇ」
震え出す大男。
「お前には地獄を味わってもらうよ。じゃないとお前に殺された人達が報われないからな」
「ま、待ってくれ。た、頼む。助けてくれ。何でもするから」
後退りする大男。
「ふん。謝罪なら、あの世でしてろ」
「や、やめ、ギャー」
大悟は大男をすぐには殺さず、死んでいった者達の無念を晴らすかのようにじっくりと時間を掛けて殺していった。
一瞬で殺してしまっては、コイツは何も感じず死んでいくだけだからな。
後悔と懺悔の心を持って死んでけ……
そして、大悟が大男の首を跳ねて息の根を止めた時、タイミングよく女性が目を覚ました。
「ん、んー」
「ん? 起きたか」
大悟は大男の死体を結界を張って隠す。
ビクッ!
女性はこちらを見て怯えていた。
「俺はお前を助けに来たんだ。
と、言っても信用できないか? まぁーいいや、とりあえず今はこの部屋から出ないでくれ。
まだ掃除が残ってるんでね」
そう言って大悟はドアに向い、ドアを開けた。
「絶対この部屋から出るなよ」
大悟は、もう一度念を押してから部屋を出た。
部屋の外に出ると、男達の視線が大悟に向く。
「終わったか?
ん、お前その武器はなんだ? ボスはどうした?」
「寝てるよ、永遠にね」
「な!
て、てめぇー、やっちまえお前ら」
ジャスティス軍団が大悟に襲い掛かる。
いらっしゃいゴミ共。
大悟は軽く剣を振るう。
すると、6人の男の首が一斉に飛んだ。
さらに二太刀、三太刀と振っていく。
それに合わせて男達の首が、面白いように飛んでいった。
「な、なんだ? どうなってんだ?」
「勝手に首が飛んでくぞ」
「何が起こってんだ?」
「ヒィー!」
困惑する軍団。
「ほらほら、どうしたゴミ共。
俺を殺すんだろ?」
大悟は、ゆっくりと歩きながら剣を振っていく。
「ヒッ、化け物だー」
失敬な。
「ダ、ダメだ逃げろぉ」
逃げられると思ってんの?
ゴツンッ!
逃げようとした男の額に何かがぶつかった。
「痛ぇー、なんだ?
ここに見えない壁があるぞ」
「これじゃ外に出れないじゃないか」
男達は、見えない壁をペタペタと触る。
この建物に入った時、大悟は既に結界を張っていた。誰1人とて逃さない為に。
こうして大悟は、10分も経たずにゴミ共を全員、あの世に送ってしまった。
ガチャ。
ビクッ!
全てを終え、大悟がドアを開けると隅っこで女性が震えていた。
はぁー、
大悟は女性に近づくと、手を差し出してこう言った。
「お前にこの手は何に見える?
希望に見えるのか? 絶望に見えるのか?
この手を取るか取らないかは、お前自身が決めればいい。
お前の人生だ。自分で決める権利がある」
此処からは彼女次第だ。
俺は、理不尽に他人の存在価値を奪う奴らが許せないだけ。
これからの彼女の人生を俺が決めるつもりはない。
が、しかしこのまま放置すれば彼女は100%死ぬ。
それを彼女が望むのならば、俺にそれを止める権利も理由もない……
ただ、後味が悪いだけ。
だから俺は彼女に1つの選択肢を与えた。
この手を取るかは彼女次第。
生きるも、死ぬも、彼女次第。
女の子は大悟の目をジッと見る。
そして、震える手を大悟の掌に置いた。
大悟は軽く笑い、その手をギュッと握った。
「行こうか」
女の子は、大悟の言葉に軽く頷いた。
そういえばエビス達は、ちゃんと特訓できてんのかな?
少し心配になる大悟であった。




