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21. 過去 決着

 

 行動開始


 大悟は静かに鍵を開け、男を外に出す。

 その男は流れるような動きで1人目を倒す。

 警備兵の武器を奪った男は、そのまま2人、3人、4人と倒していき、1分も掛からず制圧してしまう。


 さすが


「ほら、鍵だ」

 鍵を受け取り、男達は他の牢を開けるために行動する。


 大悟は1つ1つ牢を確認しながら移動していた。

 しかし、ユリは見つからない。見つからないまま1番奥の牢まで来てしまった。大悟は奥の牢を直視すると何かを見つける。

 大悟は鍵を開け、その何か、の元まで近づき明かりをつけた。

 明かりをつけた瞬間、大悟は硬直する。


 そこにいたのは、両足が切り落とされ、体中傷だらけで毒や麻痺、痺れなどの状態異常を引き起こしている無残な少女の姿だった。

 大悟は意識が飛びそうになる。

 ダメだ!

 まだダメだ!

 まだ……

 無理だ!

 大悟の理性が崩壊しようとした瞬間、少女が大悟の手を掴む。意識は無いはずなのに


 大悟はハッとする。


 危なかった、まだ理性を失う訳にはいかない。ここにはまだ彼等がいる。まだ暴れられない

 

 大悟は少女の手を握り返す。

「ありがとう助かったよ。後は任せてゆっくり寝て」


 そう言うと少女の手から力が無くなった。


 大悟は少女の手を離すと回復魔法で傷と状態異常を治していく。後は足だが、無くなったものを元に戻すには少々時間が掛かる。なので足はそのままにする。今はこの子の命が助かった、それだけで十分だ。


 さて、それじゃあ俺の理性が保ててる内に、色々やっとかないとな


「召喚、ディオ」

「召喚、プリン」

 魔法陣が浮かび上がり、そこからディオとプリンが現れる。

 

「大悟様、お久し振りでございます」

 彼は上級悪魔をまとめる7柱の1人、皇帝ディオ。常に冷静沈着で闇魔法を得意とする。


「大悟ぉー、久しぶりなのー」

 プリンの種族はスライムバード、空を飛び、大量の荷物を運ぶことが出来る。戦闘力は皆無


「2人とも久し振り、急で悪いけど手を貸してくれ」


「大悟様の力になれるなら如何様にでも」

「僕も手を貸すのぉー」


「ディオはこの少女とここにいる奴隷達を守ってやってくれ」


「御意」


「プリンはいつもの様にアレで全員を運んでくれ」


「分かったのぉー」


「任せたよ」

 そう言って大悟は皆の元に向かう


「皆さん聞いて下さい、これから全員で上に向かって貰います。誘導はこのディオがしますので逸れずについて行って下さい」

「分かった」

「頼むぜ兄ちゃん」

 ディオは軽くお辞儀をする。


殿(しんがり)は貴方にやって貰います」

 大悟は先程、警備兵を圧倒した男の肩を叩いた。


「任されよう」

 2人は見つめ合い、すぐさま視線を外した。


「それでアンタはどうすんだ?」

 奴隷の男が聞いてきた。


「私は少々やることが有りますので、そんな事より時間が惜しいです。すぐ取り掛かりましょう」


「では、皆様私についてきて下さい」

 ディオは上に向かって歩き出す、奴隷達はそれについて行った。


 誰も居なくなった最下層で大悟は目を瞑って立っていた。


 あと少し、あと少し……



 〜〜ディオ御一行〜〜


 ディオ御一行は誰1人怪我する事なく階段を登っていた。もちろん運が良い訳では無い、全てディオのお陰である。

 ディオ御一行は100人超の長い列が出来ている。そのため列の真ん中が兵に襲われてしまう恐れがあった。それを防ぐ為、ディオは階段の入り口全てを暗黒障壁で塞いでいた。それにより安全な一本道を作り上げていたのだった。


「着きましたね」

 ディオ御一行は最上階に辿り着いた。


「なんだ貴様達は」

 最上階には数人の警備兵が集まっていた。


「ふむ、邪魔ですね」

 ディオがそう言うと、全ての警備兵の首が一瞬で切断される。

 それを見ていた後ろの奴隷達は口をあんぐりと開けていた。


「さて、それではプリン。出番ですよ」

「ハイなのぉー、プリン頑張っちゃうのぉー」

 そう言うとプリンは大きく息を吸い込んで体を大きくして行った。


「それでは皆様、このスライムの中にお入り下さい」

 驚く奴隷一同


「え、それに?」

「窒息死しちゃうよ」

「危ないんじゃ」

 困惑していた奴隷達、その中1人の男が声を上げる。


「俺は信じる。知り合ったばかりの俺達を牢から出し、ここまで連れて来てくれた命の恩人達だ。信じる」

「そ、そうだな」

「一度捨てた命だ、命の恩人に全てをかけるのも悪くないよな」

 そう言って1人また1人とスライムの中に入って行った。


「なんだこれ、暖かくて気持ちいい」

「息ができるぞ」

「一生入ってたい」

 全員がスライムの中に入り終わる。


「それでは皆様、空の旅をお楽しみください」

 そう言うとディオは壁に魔弾を放ち、大きな穴を開けた。そしてプリンがそこから空へと飛び出した。

「空を飛んでるぞ」

「俺、高いとこ苦手なんだ」


「それでは私もプリンを追いかけましょう」

 こうしてディオ一行は無事屋敷を脱出したのだった。



 〜〜大悟〜〜

 

 大悟は、屋敷から離れるプリンとディオの魔力を感じとった。

「脱出したか、それじゃあ」


 大悟が動き出そうとした時、手紙を頼んでいた召喚獣が姿を現す


 やっと送ってきたか、おせぇんだよ


 大悟は戻ってきた手紙を開く。

『証拠は掴みました、好きに暴れて下さい。あ、でも領主は殺さないで貰えると助かります    未来の妻より』


 ウザい、ウザい


 大悟は手紙をしまうと行動を開始した。

 アイツらが集まってる場所は分かってる。俺達を逃さない為に1Fフロアを固めているに違いない。


 大悟が1Fに顔を出すと、そこには1Fフロアを埋め尽くさんばかりの武装集団が集まっていた。


「ようこそ、私の屋敷へ」

 武装集団の中から1人の男が顔を出す。

 彼の名前はブルガ、この屋敷の主人で、この街の領主である。

 そして、今回の元凶。


 今すぐ殺してやりたいところだが、手紙にも書いてあったし、コイツの処分はアイツに任そう。たぶん地獄を味わわせてから殺してくれるだろう。


「それで? 他の奴隷共はどうしましたか?」


「あん? そんなのとっくに逃したに決まってんだろ」


「な、そんなバカな。このフロアだけでは無く、外にも何千と言う傭兵が居るのですよ。逃げられる訳」


「空から逃した」


「空?」


「俺の獣魔には特殊な奴が多くてな、多くの人を空から移動させるなんてのは朝飯前だ」


「くっ。ま、まぁーいいでしょ。奴隷なんていつでも集められる。それよりもお前だ。私をコケにした罪味わってもらわなければ」


「なぶり殺しにでもするのか?」


「そんなのは生温い。お前の大事にしてる者をお前の前でなぶり殺す。そして最後にはお前の両手両足を切断してから殺す」


「エリに手を出すつもりか?」


「お前のことなんて前から知ってたんだよ。おい、出て来なさい」


「へへっ、どうも久し振りですね旦那」

 そこに現れたのは、ユリがテラリタにいたことを教えてくれた奴隷商人だった。


「お前の事は、この奴隷商人が教えてくれた。エリという少女のこともな」


「へへっ、すみませんね旦那、長い物には巻かれろってね」


「エリと言う少女には暗殺者を向わせた。殺さずに連れて来いとは言ったが、アイツら少々気が荒いからな、足の一本ぐらい切り落としてるかも知れんな。アーハッハッハッハッハ」


「クックック」

 突然笑い出す大悟。


「き、貴様。何がおかしい?」


「俺が何も知らないとでも? 奴隷商人、お前が裏切るなんて百も承知だ」

 そう、大悟は知っていた。

 エリの特殊能力によって、あの時、ユリの情報に嘘は1つもなかった。が、その後大悟が言った『この事は他言無用だぞ』にエリの嘘発見機が引っ掛かった。

 奴隷商人が誰かに言うとすれば、それはテラリタの領主しか考えられなかった。


「エリにはお守りを置いてきた。俺の信頼できるお守りをな」



 〜〜エリ〜〜


 エリは、窓から外を眺めていた。


「寝付けない」

 一度はベットに入ったエリであったが、寝付けず、ベッドから出て外を眺めていた。


 私が心配したところで何も変わらないのは分かってるんだけど、寝れない


「はぁー」

 エリが溜息を吐いた瞬間、その口が塞がれる。


「無用心だな、お嬢ちゃん」

「恨むんなら領主に楯突いたあの男を恨むんだな」

「なぁー、ちょっと悪戯しちゃおうぜ」

 エリの後ろには3人の男が立っていた。


「むぐむぐむぐ」


「暴れるんじゃねぇ」

 エリは、そのまま押し倒される


「暴れる悪い子にはお仕置きが必要だな」

「へっへっへ」

 男はエリの手を床に押さえつけ、ナイフを取り出す。


「まず、指を一本ずつ切り落としてやるか。いつまで正気を保てるか楽しみだ」

 そう言ってエリの指にナイフ突き付けようとした瞬間、エリの胸ポケットに入っていたコインが光だす。


「な、なんだこれ」

「て、てめぇー何しやがった」

 

 ボンッ

 光から出てきたのは両足で立つ兎だった。


「び、びっくりさせやがって、ただのカンフーウサギじゃねぇーか」

「ザコ兎が」

「兎鍋にしてやるぜ」

 男達はカンフーウサギに飛び掛かった。


「笑止」

 ひゅん、パンッ、パンッ、パンッ

 それは一瞬の出来事だった。兎が消え、その瞬間男達が一斉に倒れたのだ。


「あ、」

 声にならないエリ


「エリ殿、初めましてでござる。拙者、大悟殿に仕えし者。名をエビスと申しまする」


「あ、エ、エリです」


「拙者、大悟殿からエリ殿を守れとの任務を承ったでござる」


「ご主人様が?」


「ござる。大悟殿が戻ってくるまで拙者がエリ殿をお守り致します故、安心して下され」


「あ、はい」

 こうしてエリは最強の兎、エビスによって危機を脱したのだった。



 〜〜大悟〜〜


「くっ。おい、少女のところに送り込んだ奴はまだ戻ってこないのか?」


「そ、それが警備団に連行されたとの連絡が」


「クソッ。何をやっているのだ、あのクソ共」

 地団駄を踏む領主


「おい、こっちの事も忘れるなよゴミカス共」

 ここにいる者全てを挑発する大悟


「き、貴様。えぇーいコイツを殺せ、なぶり殺してしまえ」

 一斉に動き出す武装集団


 あぁー、やっとだ。やっと来た、この時が


 次の瞬間、大悟の周りに魔法陣が幾つも浮かび上がる。


「バ、バカな。魔法陣の同時発動なんて出来る訳がない」

 しかし、大悟には出来る。普通の人ならば魔法陣を同時に2つでも発動してしまえば、脳が焼き切れ、一瞬にして死を迎える事になる。

 勿論、大悟であっても体への影響は少なからず出る。が、今は関係ない。全力でぶち殺すだけ


 魔法陣からは8体の生物が現れた。

 ケロベロス

 グリフォン

 悪魔王(ディオと同じ7柱の1人)

 フェンリル

 堕天使

 レッドドラゴン

 ブルードラゴン

 吸血鬼

「お前達、外の雑魚達は任したぞ。誰も逃すなよ、全員に地獄を見せてやれ」


 大悟の言葉を聞いて飛び出す召喚魔達


「な、なんだ今のは」

「ドラゴンいなかったか?」

「み、見間違いだろ」

 困惑する武装集団


「おい、安心しろ。お前達の相手はこの俺だ」

 武装集団は一斉に大悟に振り向く。すると大悟の周りには数百個の火の玉が浮かんでいた。


「いいか、火の玉達よ。じわじわと焼き尽くしてやれ、生きている事を後悔する程に。それと領主は殺すな、それじゃあ行け」

 大悟が言葉を言い終わると、火の玉は武装集団に向かって飛び出した。


 武装集団達は両手両足を焼かれていく。

 それでも死ねない。

 動かない体の中で自分の体がゆっくりと焼けていく。

 

 その頃、外では、中以上の地獄絵図が描かれていた。

「ば、化物」

「こんなの勝てる訳」

「た、助けてくれ」

「撤退だ撤退」


 逃げ出そうとする傭兵達。

「痛!」

「出れないぞ」

「見えない壁があるぞ」

「これじゃ逃げられない」

「神様ぁー」

 大悟は魔法陣を出現させたと同時にこの敷地内を囲む結界を張っていた。

 屋敷の外に被害を出させない為と、誰も逃さないようにする為に


 傭兵達は食いちぎられ、焼かれ、血を吸われながら時間を掛けて殺されていった。

 日が明ける頃には領主以外、生きてる者はいなかった。


 大悟は召喚魔達を戻し結界を解く。

 そして、ゆっくりと歩き領主の前で立ち止まる

「ひっ! た、助けてくれ」


「ほざくな、ゴミが」

 大悟は領主の足にナイフを突き刺す


「ギャー!」


「これからお前は騎士団に捕まり、酷い拷問を受け、最後は多くの国民が見てる前で無様に処刑される」


 青ざめる領主

「くっ、俺は王国に尽くしてきた。王国は俺の味方だ。」


「そんな事ありませんわ!」


 声がした方を見る領主と大悟

 そこには、完全武装をした縦巻きロールの女性が立っていた。


「お久し振りでございます大悟様」


「あぁ、久し振りアリス。あと手紙はもっと早く返せよ」

 そう、大悟の手紙の相手である。


「あ、貴方はアリス様」

 驚く領主。


「はい、私はアリス。第一騎士団団長にして公爵の娘。お久し振りですねブルガ様」


「ア、アリス様。この男が私の屋敷に襲撃を」


「お黙りなさい、貴方が盗賊を使って村を襲わせ、奴隷にし、それを売買していたことは調べがついてるんです。ねぇクリス」


「はい」

 アリスの後ろから現れたのは、最下層の牢で隅っこにいた男だった。


「よう、クリス。さっき振り」


「フッ、大悟。手を貸してくれて助かったぞ。潜入したのはいいが、どうやってこの罪なき奴隷達を救おうか迷ってたんだ」

 彼はクリス、暗殺部隊扇部隊長。主に密偵をしている。


「ブルガ子爵、証拠は上がっています。大人しく連行されてください」


「くっ、くそ」

 そのままブルガ子爵は、抵抗する事なく騎士団に連行されていった。


「大悟様、素敵ですわ。さすが私の未来の夫」


「いやいや、だから結婚しないって」

 大悟とアリスの出会いは、アリスが魔物に襲われているところを大悟が助けたのが始まりである。

 それ以来、アリスは大悟を気に入ってしまい、大悟を貴族にして婚姻を結ぼうと企てている。


「アリス様、時間が押しておりますので」


「分かっているわクリス。それでは大悟様、またお会いできる日をお待ちしております」


 出来れば、もう会いたくないんだが


 あとの事は騎士団に任し、大悟はユリの元に向かった。


「ディオ」


「はっ」


「ユリは?」


「此処に」

 そこには目を覚まして座っているユリの姿があった。


「貴方は?」

 ユリは近づいてきた大悟を見る。


「俺は大悟、君の姉エリの願いで君を助けに来た」


「お姉ちゃんが? お姉ちゃんは無事なんですか?」


「エリは無事だよ。最強の護衛と一緒にいるよ」


「良かった、良かったぁー」

 ユリはその場で泣き出す。


 その後、大悟はユリの足を治し、エリと再会させてあげた。

 エリとユリは抱き合って泣いていた。


 この世界には彼女らのように罪なき奴隷が沢山いるんだろうな。

 やっぱり地球で育った俺には、人権を無視した奴隷と言う制度は見るに耐えない

 せめて罪のない奴隷は救ってやりたい


 その後、俺は魔王討伐を目指しつつも『罪なき奴隷解放軍』を結成し、沢山の奴隷を救っていく





 

「そんなことがあって俺は奴隷と言うのが嫌いなんだ」



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