12. 新拠点到着
「決して離れずについてきてね」
「了解!」
大悟達は暗闇の中、目的地に向かって歩いていた。
MAPを開き、感染者を避けながら2時間ほど歩いたところで大悟が立ち止まる。
「どうしたの?」
「着いたよ。あれ」
大悟は、ある巨大な建物を指さした。
それは大悟が以前、仮拠点にしようとしていた場所、東京都庁があった。
「え? ここなの? ビックリするぐらい大きいけど、何これ?」
美香達は、巨大な建築物を呆然と見上げていた。
「東京都庁だよ。
東京都の役所……って言っても分からないか。
まぁー東京都の心臓部みたいなもんだよ」
東京都庁は、東京の行政機関。
一般行政、公営企業、消防吏員、学校教職員、警察官があり、統計すると17万人を超える人達が働いている。
「そんな場所入って大丈夫なの? 感染者は?」
「感染者? ウジャウジャいるに決まってるじゃないか」
「いやいや、ダメでしょう。自殺行為じゃない」
「大丈夫、大丈夫」
そう言って大悟は都庁を通り過ぎる。
「あれ? ここなんじゃないの?」
「ここだけど、ここからは入んないよ。自殺行為じゃん」
大悟達は都庁から少し離れたビルに入った。
「このビルで何をするの?」
「このビルの地下を利用させて貰うのさ」
大悟は階段を降り、ドアの前に来る。
「ここのドアを開けてみて」
「開ければいいのね!」
美香はドアノブを握り、捻ろうとするが鍵が掛かっているのか、ドアノブはビクともしない
「鍵が掛かってるみたいだけど?」
「じゃあこの指輪をはめてから、また開けてみて」
美香は指輪をはめて同じようにドアノブを捻った。すると先程はビクともしなかったドアノブが、簡単に回りドアが開いた。
「説明……いいかしら?」
開いたドアを見詰めながら、美香が聞いてきた。
「その指輪には俺の魔力が込めてあるんだ。俺の設置した物は全てそれで起動できるから失くさないでね。」
「さ、さすがね」
「あ、でも魔力の残量には注意して。宝石の部分が青い時はいいけど、魔力が無くなりそうになると黄色、無くなると赤色、そしたら魔力を補充しないといけないから」
「なんかすごい物貰っちゃったわね」
指輪を見つめる女性陣
「それではどうぞ、中にお入りください」
言われた通りに中に入る女性陣
「何これ?」
そこには線路が設置され、その上にトロッコが置いてあった。
「ほらほら乗って乗って」
大悟に押され、美香達はトロッコに乗せられた。
「このボタンを押すと勝手に指輪から魔力が流れて、トロッコが動き出すから」
ガタン……ゴロゴロゴロゴロ!
「うわ、動いた」
「何これ、すごい」
20歳コンビ興奮中!
「このまま都庁のエレベーターの下まで行くから」
「エレベーター? って何だっけ? 聞いたことあるんだけど思い出せないわ」
「エレベーターってのは、人や物を上下に移動させる乗り物だよ」
「あぁー、ちっちゃい時に乗ったことあるわ。そのエレベーターを使って何かするの?」
「エレベーターを使うんじゃなくて、エレベーターが移動してた空間を利用させて貰うんだ」
「空間を利用する?」
ゴロゴロゴロゴロ……ガチャン!
トロッコが終着地点に到着した。
「着いたな。それでは上に移動しまーす」
大悟がそう言うと、トロッコは上に上がっていった。
「うわ、トロッコが浮いた」
「空飛ぶトロッコだ」
大興奮20歳コンビ
「上まで穴が続いてるわ。ここがエレベーターが移動してた空間ね」
「このまま展望台ってところまで移動するから」
展望台までは、およそ2分で到着。
ドアが開き美香達は、その光景に驚嘆した。
「うわー何これぇ」
「綺麗!」
展望台にはソファーや机、ベットに収納棚、家にあるべき家具が沢山置かれ、他にもキッチン、お風呂、洗濯機、冷蔵庫などが設置されていた。そして、それらを照らし出すように間接照明が置かれている。
「ちょっ、ちょっと大丈夫なのこれ? 光が外に漏れてるんじゃないの?」
「問題ないよ。結界が張ってあるから、外からは光どころか俺達の姿さえ見る事は出来ないよ」
「へぇー結界ね、すごぉーい」
遠くを見つめ、ボー読みで答える美香
「とりあえず今日はもう寝よ。起きたらココに置いてある物の使い方を説明するから」
「はーい!」
日が明けようとする中、大悟達は眠りについていった。
時刻は12時過ぎ、1時間ほど前から起きていた大悟は外を見ながらお茶を飲んでいた。
「んー、ふわぁー。おはよう大悟」
目を擦りながら、こちらに近づいてくる美香
「おはようさん」
「何してるの?」
「ん、ちょっと外の様子をね」
大悟は外を指差して答える。
「うわー、何これ? 凄くない? あんな遠くまで見える。ビルもちっちゃい」
美香が目を輝かして興奮してると、その声で目が覚めた由紀と美沙がこちらに近づいてきた。
「わぁー、すごぉーい」
「絶景絶景」
「お、全員起きたな」
「おはよう」
「おはよう」
「はい、おはよう。じゃあご飯にしようか。ついでにキッチンの使い方も教えるから」
そう言って大悟は美香達をキッチンに連れて行き冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロ(ガスじゃないけど)などの使い方を教えていった。
「なんかこの空間だけ昔に戻った気がするわね」
「昔はこんなの普通にあったからね」
「そうね」
2人は昔の事を思い出しながら昼飯を作っていった。
「大悟さん、これは何?」
「それはミキサーだよ! 由紀ちゃん」
ミキサーを受け取ると大悟はフルーツ類とミルクを入れ、飲み物を作ってあげた。
「美味しい!」
「絶品!」
「ホント美味しいわね、これ」
揃って高評価である。
その後、昼飯を食べ、俺は美香達にお風呂と洗濯を進めた。もちろん使い方を教えて
「久しぶりにちゃんと髪洗えたわ」
「はぁー、サッパリしたぁー」
「いい匂い」
「みんな服ってどれくらい持ってるの?」
「みんな3着ずつよ。荷物になるから殆ど置いてきたの」
「そうなんだ」
大悟は空間魔法から何かを取り出す。
それは沢山の服や下着だった。
「どうしたの、これ?」
「実は昨日、ここの準備を終わらした後に、色んな家を漁ったんだ。さっき美香達が使ってた石鹸類もその時にね」
「そこで服も?」
「そう。ホントは新品の方がいいんだろうけど、服屋は空っぽだったから」
「それでも助かるわ。ありがとう」
「ありがとう大悟さん」
「ありがとう」
「うーん、でも下着は微妙だよねぇー」
「問題ないわ。使用済みと言っても17年前に使われてた訳だし、そこまで気にしないわ。昨日誰かが使ったのを渡されたら流石に考えるけど。それにここには洗濯機があるもの」
下着は流石に嫌がるかなって思ったけど、こんな世界で育った人は強いわ。
女性陣が楽しそうに服を選んでる間、俺はこの後のことを考えていた。




