11. 彼の正体
大悟はクソ野郎共との一件により、自分の正体を明かす決断をしていた。
今回は不意打ちによって、誰にもバレずに奴らを追い返す事が出来たが、もし、奴らが大人数で襲ってきたら……。
普通の人間が、武器を持った数十人の男達から女性3人を守りきる事が出来るのか?
……いや、無理だ。
だから、大悟は異世界の力を存分に使う事にした。
仲間を守るために。
彼女達は仲間になったばかりだが、そんなのは関係ない。
仲間は守る。
『もう仲間は失わない』
「それで、どうやったの?」
彼女達は大悟の顔を覗き込んだ。
「あぁー……。これを使ったんだよ」
そう言って、大悟は小型ドローンを取り出した。
ドローンは、部屋の中を縦横無尽に飛び回った。
「何それ? 何で飛んでるの?
って言うか今どこから出したの?」
初めて見る物に驚く3人。
ドローン自体は前から存在していたが、こんな世界になった時、美香は8歳、由紀、美沙に至っては3歳であった。知らなくても不思議ではない。
「これはドローンだよ。
魔法で出して魔力で浮かしてるんだ」
「え、魔法? そんなものあるわけないじゃない」
「え、あるよ。ほら」
大悟は掌に火の玉を出して見せた。
……。
3人は、火の玉をみて固まっていた。
「あ、貴方は一体何者なの?」
美香はゴクッと唾を飲んだ。
「話すと長くなるんだけどね……」
大悟は、今までの経緯をゆっくりと話していった。
実香は腕を組み、大悟の目をジッと見ながら話を聞いていた。たぶん、お得意の第六感をフルに使っているんだろう。
由紀と美沙は、大悟の一言一言に一喜一憂していた。
大悟が話し終わると、暫く沈黙が流れる。
「さ、さすがに……そんな簡単に信じられる内容ではないんだけど、そんな嘘をつく理由が貴方にはないし、さっき目の前で火の玉出されたし……」
美香は、ボソボソと何かを呟いていた。
そして、組んでた腕を解くと美香は一言。
「信じるわ!」
美香の目には、一切の迷いは無かった。
さすが直感女、判断が早いことで
「ねぇねぇ、魔法って他に何ができるの?」
「見せて見せて」
美香の一言を聞いた途端、由紀と美沙が大悟に詰め寄ってきた。
美香の判断に疑う事は無いんだな、この2人は。
まぁー、楽でいいけど。
「そのうちね」
「えぇーケチー」
ブーブー。
大悟は、ブーブー鳴いてる20歳コンビを無視してこの後の話をする。
「それでこの後なんだけど、ここを捨てて他の場所に移動しようと思ってるんだ」
「今すぐ? 理由は?」
「いや、移動するのは明日の夜。
理由は、あのアホ達がまた襲ってくる可能性が高いからだね。
もっといい場所をみつけてあるし」
「そういうことなら反対する理由はないわね。
でもどうして夜なの? 夜は危険よ」
この世界で夜に出歩くと言う事は自殺行為に近い。
視界がままならない状態で移動するなんて、襲って下さいと言っているようなものである。
「明るい内だと奴等に見られるかもしれないだろ? アホグループに見られると厄介だ。
それに俺には感染者の居場所が分かるから、夜の移動も問題ないよ」
「なるほどね、分かったわ」
「なので、今日は沢山食べて沢山寝ておきましょう」
大悟は、横に置いていた袋から沢山の食料をテービルの上に出した。
「「「わぁー!」」」
3人は、それを見るや食料にかぶりついた。
食料は異世界のだが問題はないだろ、俺も食べてるし
そうして久しぶりの満腹を味わった女性陣は、満面の笑みで眠りについた。
次の日
女性陣で最初に起きたのは、やはり美香だった。
「おはよう美香」
「ん、おはよう大悟。今何時?」
美香は眠たい目を擦りながら起きてきた。
「もう昼だよ、ずいぶん寝てたね」
「お腹が空き過ぎて、ずっと眠れてなかったから」
「なるほどね」
「大悟は、ずっと起きてたの?」
「いや、ちゃんと寝たよ。
朝早く起きてちょっと出かけてたけど」
「出かけたの?」
「下見と準備をね」
そう言うと大悟はニヤッと笑った。
その後、由紀と美沙も起き、皆で昼食を食べ、談笑しながら時間を潰していった。
「そろそろいいかな」
時刻は深夜0時、大悟達は新拠点に向けて出発するのだった。




