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私の胃袋は異次元!

「どういう事なんだ…これは…」



娘が一瞬にして龍へ変わり、セレナ達を圧倒する力を見せつけた。

佐鳥先生に目を移すと、佐鳥先生は無理やり治した肩が痛むのか麗華さんに手当をしてもらっていた。

セレナもだ。掴まれた腕が見事に龍の爪痕を残しており、自分で治癒をかけている。

研究所の実験室は滅茶苦茶で嵐の後のようだった。



「アイリ、朱音はもう大丈夫なのか…?」


「今のところはね………とりあえず龍の遺伝子を抑える薬を上の局にデータとして渡したから、帰りの頃には調合出来ているはず」


「苦くはないか?」


「ブドウのゼリーと一緒だから大丈夫!」


「そうか。それならいい」


「紅哉、僕たちは引き続き研究を続けるから今日はもう朱音を連れて帰ってくれ」


「あぁ、分かった。舞香は?」


「お兄様と帰りたいのも山々だけれど、ここはお父様達と一緒に頑張るわ。数日は帰れないでしょうけどね」


「分かった。あんまり頑張りすぎるなよ」


「ええ、分かっているわ」



俺は朱音を背負うとニルとヴリトラと共に研究所を後にした。



「ん……お父さん…?」


「お、起きたか」


「あれ?寝ちゃってた?」


「あぁ、遊び疲れたんだろ?もうお家に帰るぞ」


「うん!」


「今日は朱音が良い子にしていたからお父さんが何か好きな物を買ってあげよう。何が欲しい?」


「わーい!あのね!わたしドーナッツ食べたい!」


「ドーナッツでいいのか?朱音が好きなプリッキュアの玩具とかじゃなくていいのか?」


「うん!だって~そうしたらりさにおとーさんと遊んでいた事ばれちゃうもん!」


「食って証拠隠滅とは出来た女だな、マスターよ」


「この子将来大物よ」



不吉な事を言う二人を無視して俺は朱音の身体を前に持ってくる。

もう先ほどの角や尻尾は見当たらず、そこにはいつもの愛らしい愛娘がいた。



「おとーさんどうしたの?」


「いや、何でもない。さて、ミスドーに行こうか。あ、でもあんまり食べちゃダメだぞ?ご飯食えなくなったらお母さん二人に怒られる」


「大丈夫!わたしの胃袋は異次元だもん!」


「なんだそれ…どこで覚えたんだそんな言葉……」


「しゅんすけが言ってた!」


「あいつ……明日問いただしてやる」



車に乗り込むと既に太陽は沈みかかっていた。

帰宅ラッシュでタクシーを待つ人々が溢れており、赤信号で車を停めると朱音が車から乗りだして周りを見渡す。



「おい、ニル」


「あぁ、分かっている」



ニルはすぐに反応して朱音を車の中に引きもどす。



「朱音、危ないから車から顔を出しちゃダメだろ?お利口さんにしないとドーナッツ買ってあげないぞ」


「ごめんなさい」


「何を見ていたんだ?」


「壁!」


「壁…?」


「きっとあれの事よ」


「あぁ…」



ヴリトラは街を囲む巨大な壁を指差した。

あれは外から魔物がやって来ても侵入させないために急遽作り上げたものだ。

これは全世界でも当たり前のものになってきており、実際あの壁のおかげで外で魔物が出現しても街を気にせず力を使える。



「そんなに珍しいのか?」


「お外行ってみたい!」


「あ~それは流石にダメだなァ……お外はな、朱音を食べちゃうようなこわ~い魔物がたくさんいるんだぞ~」


「うぅ……やっぱり行きたくない…」


「賢明だ。ほら、ミスドーについたぞ」


「マスター、オレも食う」


「あ、アタシも食べるわ!どうせ給料の使い道なんか車にしか使わないのでしょう?たまにはアタシたちに使いなさいな」


「これでも豊姫と瑠璃に管理されている身なんだぞ……まぁいいけどさ…」



この3人に言っても無駄な事だと途中で知った俺は諦めて財布を取り出す。



「くっくっく!覚悟しろよミスドー!オレが滅ぼしてやる!」


「やめろ……俺の財布がすっかからかんになる…」



その後紅哉の財布の中身が寂しくなったことは言うまでもない。




「で、どうだったの紅くん」


「ん?何がだ?」



夜、リビングでテレビを見ながらビールを飲んでいると瑠璃と豊姫が現れた。

朱音と理沙はどこに行ったのか視線だけで探すと、キッチンの女将さんと遊んでいる二人が見えた。

ニルとヴリトラは俺の隣でゲームをしており、瑠璃と豊姫の存在に気付いてから視線だけをこちらに向けていた。



「何がって、紅哉くん今日お医者さんに行ったんでしょ?結果どうだったの?」


「あぁ…それな」



アイリの研究室を出るとき彼女から忠告された。


『この事はあくまでアイリ達だけの秘密だよ。瑠璃ちゃんと豊姫ちゃんには秘密ね』


理由は教えて貰えなかったが、俺自身二人には余計な心配をかけたくなかったのでそれでいいかなと何となく理由も聞かずに出てきてしまった。



「特に問題はないってさ」


「問題ないって……それ本当?」


「医者がそう言うんだからそうだろうよ」


「まぁ紅くんがそう言うならいいんだけどね。それじゃ私たちは朱音と理沙をお風呂に入れてくるね」


「あぁ、行ってらっしゃい」



二人がリビングから消えると嫌な汗が額から流れてきた。



「辛いもんだな、マスター」


「あの二人に嘘をつく日が来るなんてな…」


「朱音にも嘘をついているから3人よ」


「そうだったな…」



つまみのチーズブロックを口に運んだあとビールをぐっと飲み干した。



「はァ……いつまでこんな日が続くのか…」


「薬が出来るまでだ」


「そうだな…」


かな~り日が空いてしまってましたね……猛省します。

本編ばかり進んでこちらが全く手がつかない状態でした。言い訳ばかりでしたよね…………頑張ってこちらも進めていくのでどうぞ気長に待ってください。

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