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柊マミ@スズメを休ませたい~世界が勝手に願いをかなえてくるけど、余裕で解釈違いなんですが⁉  作者: 奇蹟あい


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第7話 わたしの主演女優がかわいすぎる件について

 結局、午前の3時間では映画を完成させられず、給食の時間を返上してなんとか――。


 午後の授業は丸々、各クラスの美化活動の発表と表彰式に充てられるらしい。

 グレートゴールデン校内美化デーって、ホント何なの……。


 昼休みの後、全校生徒が体育館に集合。

 美化活動の発表は、1年生から順に行われた。


 1年生は、「美化ポスターを作りました」とか「共用部の清掃をがんばりました」など、どのクラスも似たり寄ったりの内容。ふっ、わたしたちの敵ではなさそうね。


 続いて2年生。

 2-1は『校内美化激盛り映えスポット巡り』という謎の企画を発表していた。校舎の壁や廊下のタイルなど、ある一部分だけを異様なまでに磨き上げて、あたかも校舎が新築に見えるような写真を撮ってSNSに上げるという企画らしいけど……。


 そんなことよりも!

 

「ねぇ、小池さん。編集チェックまだ終わらない? もうわたしたちの発表がすぐ回ってきちゃうんだけど!」


 舞台袖の『次発表クラス待機場所』で、慌てふためくわたしたち2-2――の女子たち。


 撮影自体はトラブルなく進行して……むしろ順調すぎる進行で怖いくらいだったんだけど、なんと……撮影が終わってエフェクトや音入れまで調整が終わった後に、「各クラスの発表は5分で」という絶望のレギュレーションを聞かされたわけで……。


 大河ドラマの子役経験のある(たぶん妄想)のちびっこ先生こと、担任の池中先生の指示で、120分の長尺映画を撮影したんだけどね! あとでクラスの女子一同で正式に抗議しますからね!

 

 とまあ、そんなあとのことはあとに回すとして――。


 パソコン部の小池さんが、今慌てて5分のダイジェスト映像にカットしなおしてくれているところ……。なんか「AIアシスタントを使って作業すれば間に合う」とかなんとか。わたし以下、クラスメイト全員(女子だけ)が、神にも祈る気持ちで小池さんの作業を眺めている感じ。AIってすごいね。


 ちなみに男子(うちのクラスだけじゃなくて全クラスの男子)は、美化活動の発表会には参加していない。

『滅菌室』なる謎の教室に閉じ込められて、汗と下心の滅菌をされているらしいよ。まあ、3時間も外で美化活動をしていたら、汗臭いだろうからね……。


「柊さん……編集完了よ……。ファイルは、クラスルームの共有フォルダにアップしたわ……」


 小池さんは崩れ落ちるようにして床に転がった。どうやら精魂尽き果てて気を失ったらしい。


「黙祷」


 ありがとう、小池さん。

 あなたの死は無駄にしないわ……。


「マミ……盛り上がってるね?」


 なぜかちょっと引き気味の主演女優さん。

 でもそうかも?

 

「かつてないほどに盛り上がってる!」


「そう、なんだ……?」


 そりゃそうでしょ。

 だってこれから、スズメのかわいさをアピールするためだけに作られた映画(5分に短縮された)が銀幕デビューなのよ!


「スズメがスカウトされたらどうしよう……」


 きっとこの映像を見た芸能プロダクションがこぞって声を掛けてくるんだわ。遠い世界の人になってしまうのね……。


「さすがにそれはないと思う……よ?」


「でもスズメのかわいさが世界に見つかっちゃうし……」


「うれしいけど……学園内でしか放映されない、よ?」


 こういうのは、なぜか映像ファイルが流出して、SNSで拡散されて瞬く間にバズるものなのよ! そう決まってるんだから!


「芸能人になっても、わたしのことを忘れないでね……。写真集のサイン会には絶対並ぶからね!」


「ならないよ~」


 スズメが苦笑する。


「芸能人に興味ないもん」


「そ、そう……?」


 ずっとわたしだけのスズメでいてくれるの?


「マミこそ、この映像をきっかけに、スカウトされたりしちゃうんじゃない?」


「わたし? 台本通りにカメラを回してただけだし、何も……」


 ほとんどカメラマン(ハンディカムカメラ)だったし、監督らしいことはできなかったなあ。スズメもほかの子も、演技はうまいし、ぜんぜんNG出さないし、ほぼ一発撮りで終わったもんね。みんな演技経験者だったりする? さすがにないか。


「マミは美人だから~」


「えっ」


 スズメからお世辞を言われるのはうれしいけど……監督に美人は関係なくない?


「美人映画監督デビューしても、私を主演で使ってね♡」


 ああ……。

 今の、映像撮れてる⁉ 撮れてないか……。


 わたしの主演女優スズメがかわいすぎる件について。

 次の映画のタイトルはこれでいきましょう!


「おい、お前たち。そろそろ2-2の発表の時間だ。準備はできているだろうな?」


 背後から声。

 振り返ると、ちびっこ脚本家こと、池中先生の姿が。


「せんせぇ! 今までどこに行ってたんですかぁ⁉」


「先生! 発表枠が5分なら5分って言ってくださいよ!」


 断固抗議します!

 ほら、みんなも抗議して!


 2-2女子、一丸となってちびっこ脚本家を断罪するっ! ここから始まる追放劇! もちろんざまぁ展開はなし!


「これだから素人は困るんだ。良いか? いきなり5分の映像を撮ろうとしたら、スケールが小さくなるだろうが! そんなことでは、世界の名だたる美化委員たちには勝てないぞ!」


 世界の……美化委員……?


「それに、小池の様子を見るに、間に合ったんだろう?」


「一応、何とか……。まだ誰も完成品を見てませんけど」


 そもそも120分のほうの完成品も見てないし。

 こっちは物理的な再生時間の都合だけど。

 150分くらいを撮影に費やしたし、昼休みの30分は、小池さんがパソコンでいろいろやっていたから……。


「だが、時間だ。世界を獲りに行くぞ」


 白衣をはためかせながら、舞台上へ――。


 世界を!


 池中先生のあとを追うようにして、2-2女子一同が舞台へと上がる。


 いよいよ上演だ。


『スズメの恩返し(5分ダイジェストver)』

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