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柊マミ@スズメを休ませたい~世界が勝手に願いをかなえてくるけど、余裕で解釈違いなんですが⁉  作者: 奇蹟あい


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第40話 みんな愛されて産まれたいチュン!

 空前のベビーブーム到来?

 スズメっぽい生き物たちが、いっぱい集まって、赤ちゃんに離乳食をあげてる……。


「何この絵面……。って、ちょっと待ちなさいよ……」


「何チュン?」

「今、離乳食中だから、マミとはあとで遊ぶチュン」

「マミも離乳食あげてみるチュン?」

「抱っこしてあげてほしいチュン」


 いや……。


「何じゃないわよ……。三輪車! ゴミ袋! クッション! それにモルカー!」


「「「「何チュン?」」」」


「だから何じゃないっての! 当たり前のように赤ちゃんを育てるのやめて……」


 あなたたち、無機物でしょうが!


「大声は避けてくれるとうれしいチュン。赤ちゃんが泣いちゃうと困るチュン」


「なんかごめん……」


 うわー、めっちゃ小っちゃい三輪車が寝てる……。


「じゃなくて! どうやって産んだの……。そもそも産めるものなの……?」


「マミはどうやって産んだと思うチュン?」


 逆に訊き返された……。


「え、どうって言われても……普通、三輪車って工場か何かで作られるんじゃないの? いろんな部品を組み立てて作るものだよね?」


 チューブとか、鉄の部品とか?


「工場は嫌チュン。三輪車だって、お父さんとお母さんに愛されて産まれたいチュン」


「そ、そうなんだ……」


 そうなんだとしか言えなくてごめん。

 言葉がしゃべれるってことは意思があるってことだから、そういう感情もある、か。


「みんな愛されて産まれたいチュン!」


 ゴミ袋まで……。


「まわりまわって、マミに愛されて産まれたいチュン!」


「わたし?」


「マミがいれば世界は楽しくなるチュン! マミはみんなのお母さんチュン!」


 いや、それはどうかな……。


「すーぐ極論を言う……」


「みんなマミから産まれたいチュン!」


 モルカーは違うと思う。

 大人気のアニメ……生みの親は絶対わたしじゃないよ。ほかのも違うけどね⁉


「みんなマミから産まれたいチュン!」


 産まれたいって言っちゃった。

 もうただの願望じゃないの……。


「まあ良いや……。無機物が子ども育てても良いよ。そもそも好き勝手しゃべっていて、好き勝手動き回ってるわけだし、子どもがいても今さら感はあるよね……」


 ねえ、誰か教えて。

 世界の捻じ曲がりはどこまで行くの……?


【こちらスズメ=スカイエアー放送! 今日のおすすめスポットを紹介するよ~!】


 あ、また謎の放送が始まった。


【今日のおすすめスポットは、マミの膝の裏だよ~!】


 はい?


【インドア派のマミが、めずらしくいっぱい歩き回って汗を掻いているから、と~っても良い匂いがするよ!】


「ちょっと! そういうノリはやめなさいって!」


 ああっ! なんか急に離乳食ブームが終わって……スズメっぽい動物たちがわたしのほうににじり寄ってくるぅ⁉


「ダメダメダメ! 膝の裏のニオイなんて嗅がないで!」


 恥ずかしくて死んじゃう!


【マミが羞恥で喜んでいるみたい! みんなかかれ~!】


「ただの羞恥! 喜びはなし! わたしはMじゃないからね!」


 コラー! 何そのニヤニヤ顔は! スズメっぽく笑いながら迫ってこないで!

 

 と、うろたえると思ったか!

 甘いわ!


「必殺! 制汗スプレー大噴射!」


 なぜかポケットに入っていた携帯用スプレーを膝の裏に!


「冷たっ! 凍るかと思ったわ……」


 でもこれでヨシ、と。

 これでもう汗のニオイはしないでしょ?


【ざんね~ん! 今日のおすすめスポットは閉店ガラガラ~。次のおすすめスポットを紹介するよ~】


「今度はわたしの体以外で……」


 腋の下とか言い出したら、本気で怒るよ。


【今日オープンしたばかりの、3つのスポットを紹介だぁ! 1つ目~!『大波中央南駅』の改築工事が終わって~『スズメ駅』としてリニューアルオープンしたよ! オープニングセレモニーもやっているので、ぜひみんなで遊びに行こうね!】


 え……。

 最寄りの駅が……スズメ駅に?


 うわっ、スズメっぽい動物たちが一斉に大移動を!


「マミも一緒に『スズメ駅』に行くチュン!」

「みんなでオープニングセレモニーに参加するチュン!」

「一生駅長はマミチュン!」

「モルカーに乗るチュン?」

「どうする? GOするチュン?」


 もうどこからツッコめばいいのかわからない……から全部スルー!


「と、とにかくスズメ駅を見に行こっかな……」


 でも、改築工事なんてしてたっけ?



 スズメっぽい動物たちと歩くこと10分ほど。

 到着したのは――。


「あー……こうきましたか……」


 なんかもう……。


「駅ではないね?」


 わたしが知っているお店で1番近いのは、アイドルショップ……?


「駅チュン」

「電車も通っているチュン」


 スズメ電車が乗り入れてる。

 この駅なら、スズメ電車が停車していても違和感なさ過ぎるね。これだけ自然なら、撮り鉄も集まってこないわ。いや、撮り鉄のみなさんはベストポジションでしっかりスタンバイしてた……。あの人たち、どこにでも絶対いるなあ。


 駅前、セレモニー用の舞台の横には、スズメっぽいドラゴンが鎮座。もはやオブジェと化している!

 ドラゴンの前に並んでいるのは、紅白のリボンで繋げられている金属のポールたち。これねー。並んでハサミを入れて拍手する儀式だ! テレビで見たことあるー!


「マミ~! テープカットするチュン」


「これは勝手に切っちゃダメだよ? そういうのはえらい人がきて、テレビ中継しながら切るんだから」


「マミは生きているだけでえらいし、笑顔ならもっとえらいチュン」


 そういうことではなくて。


「お~い、柊! こっちだ、こっちだ~!」


 わたしを呼ぶその声は――。


「池中先生⁉ こんなところで何をやっているんですか⁉」


 ちびっこ先生こと、担任の池中先生が、セレモニー用の舞台の上から手を振っていた。

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