表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
柊マミ@スズメを休ませたい~世界が勝手に願いをかなえてくるけど、余裕で解釈違いなんですが⁉  作者: 奇蹟あい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/52

第37話 世界ALLスズメ化計画

 スズメが消えてから3日が経った。


 学校が臨時休校になっているのを良いことに、わたしは朝から晩まで必死の捜索活動をしている。スズメ人形たちもがんばってくれているけれど、まだ本物のスズメは見つかっていない……。


「マミマミマミ~! スズメを見つけたチュン!」


 スズメ人形たちは、度々こうやってうれしそうに情報を持ってきてくれるんだけど……今のところ全部空振りに終わっているんだよね……。


「今度こそホントに本物のスズメなのー? またスズメっぽいものを見つけたんじゃなくて?」


 何度言っても、スズメ人形たちはスズメっぽい何かを探し当てるんだよね。


 スズメっぽいからあげ。

 スズメっぽいラジオ。

 スズメっぽい朱雀神社の像。

 スズメっぽい声のおばちゃん。

 スズメっぽいボール。

 スズメっぽい電車。

 スズメっぽいネコ。

 スズメっぽい雲。

 スズメっぽい電柱。

 スズメっぽいタピオカミルクティー。

 スズメっぽい落書き。

 スズメっぽいヒバリ。


「本物チュン! 間違いないチュン!」


「ホントかなあ」


 若干だけど、わたしのスズメ人形に対する信用度が下がってきている……。


「スズメは人間だからね? さっきのヒバリは、完全に鳥だから!」


 見たら違うのはわかるよね⁉


「一生懸命探しているチュン……。怒らないでほしいチュン……」


 ああっ! 泣かないで!


「ごめんって……。じゃあ、スズメに会いに行こう? 場所はどこ?」


「北西に200m、西に150mチュン!」


「OK。まあまあ近くだね。学校の反対側かな?」


 あの辺りは住宅街かな?

 もしかして、スズメの家があの辺りに引っ越したってこともありえる⁉


 なるほど、わかった!

 1回いなくなったけど、実は引っ越ししていましたっていう設定なら、世界が捻じ曲げたとしても、まあまあ自然な戻り方かも! なーんだ、やっとわたしの願いがかなうんだあ! ちょっと遠回りしてやきもきさせたのは許せないけど、まあ許しちゃう! にくい演出だねー、世界さん!



「なーんて期待に胸を膨らませていた時期もありました……」


「マミの胸はちっとも膨らんでないチュン。気のせいチュン」


 毛を抜かれたいの?


「マミはモデル体型でうらやましいチュン!」


 嫌味か。


「細いだけの人にそれは誉め言葉じゃないから。よくよく覚えておくように」


「60.3kgは細くないチュン。標準体重チュン。美容体重まであと一歩チュン」


「うっさいなー! この3日間、歩き回って痩せたんだから良いでしょ! なんかさ、あなたたち……おしゃべり得意になり過ぎじゃない⁉」


 たった3日間しか一緒におしゃべりしてないけど、みるみるうちに口が達者になっていったというか……わたしをイジるようになってきたよね⁉


「マミは少し雑に転がされるとキュンキュンする傾向があるチュン。Mっ気があるチュン」


「……それ、ほかの人に絶対言わないで」


 死ぬほど恥ずかしいやつだから。


「死んだらダメチュン」


「死なないわよ」


「もう少ししたら、運命の人と出逢うチュン」


「運命の人?」


 占い師みたいなこと言い出してー。


「その者、青き衣を纏いて金色の野に降り立つべチュン」


「ベタなボケしてんじゃないわよ」


「間違えたチュン。その運命の人は、『ふっ、おもしれぇ女。お前のこと、嫌いじゃないぜ。言うな言うな、わかってる。俺のこと気になっているんだろう? いいぜ、見るだけならな』って、ちょっと悪ぶったイケメンチュン。初対面の印象は最悪なのに、どうしても気になって目で追ってしまうチュン。そして恋に落ちるチュン」


 何その地獄みたいな設定……。頭痛が痛いわ……。


「なんていうか……スズメのお母さんが好きそうな少女マンガね……。読ませてもらったことあるけど、今時そんなイタい男子いないでしょ」


 いたとしても、そんなキモいヤツは、二度と口がきけないように出会い頭で狩るわ。


「暴力はいけないチュン。スズメはやさしいマミが好きチュン」


「そこでスズメの話を持ち出すのはズルい……。って、ここはスズメの家じゃないでしょ! またスズメっぽい情報を掴んできたわね!」


 これで何度目の空振りよ⁉


「間違いなくスズメチュン! 今のはただの未来予知チュン! ここが本物の『スズメの家』チュン!」


 スズメ人形は得意げな顔で飛び回ると、新築の家の門扉の上に降り立った。


「あのさ……間違い探しに付き合っている暇はないの。これは『ススノ』さんの家だから!」


 ぜんぜんスズメじゃないでしょ!


「ススノチュン? スズメ……? だいたい同じチュン?」


「違う! ぜんぜん違うから! ちゃんと表札を見て! 文字くらいちゃんと読めないの⁉」


「人形だから、文字をちゃんと読めないチュン……チュン」


 カッチーン! ここで自分が人形だからって逃げるわけ⁉


「しゃべれる人形なんて人形なわけないでしょ! わかってるんだからね! なんかこう、世界から与えられた超常的なパワーで動いているんでしょ! 文字も読めるし、なんならわたしの心の声も聞こえてるでしょ!」


 世界に伝えなさいよ!

 これ以上スズメっぽい何かで大喜利をするつもりなら、わたしにも考えがあるってね!


「大喜利じゃないチュン! 真面目に探しているチュン!」


「ほら、わたしの心の声に答えたー!」


 尻尾は掴んだわよ!


「尻尾の毛を抜かれたらまっすぐ飛べなくなっちゃうチュン。やめるチュン」


 物理の尻尾じゃない。


「アストラル体の尻尾チュン? スズメ人形たちがアストラル体の尻尾でつながっていて情報の連結をしているってこと、いつからわかったチュン?」


 ……何言ってるの?


「急にSFみたいなこと言わないで」


「アストラル体のアンテナの毛で、世界からの指示を受け取っているチュン!……今のは全部ウソチュン! そんなの受け取っていないチュン! 世界って何チュン?」


 おやおや?


「それこそホントに尻尾を出したわね。世界からの指示ねえええええええ?」


 やっぱりそういうことよね。


「何も聞かなかったことにしてほしいチュン! 怒られるチュン!」


「さんざん、わたしのことを偽の情報で振り回しておいてよく言うよね。怒られろ、怒られろ!」


 この裏切り者ー! 裏切り人形ー!


「違うチュン! ホントにホントに違うチュン!」


「何がよ。一応弁明は聞いてあげましょ」


 受け入れるかはわからないけどね。


「世界はマミの願いをかなえているチュン。疲れたスズメを休ませてあげているチュン。でもスズメがいないとマミは元気がなくなるチュン」


 そうね。

 今メンタル打ちのめされまくっているし。


「だから世界は――世界をスズメで溢れさせるチュン! 世界をスズメにするチュン!」


 ……ん?


「今は試作品のスズメで、マミの反応をチェックしているところチュン! あと少しで完成チュン!」


 ……何が?


「世界ALLスズメ化計画チュン!」


「何それ……」


 急にとんでもないものをぶち上げてきたけど……。


「人も動物も虫も、全部全部スズメになればマミはうれしいチュン! 生き物だけじゃなくて、無機物も全部スズメチュン!」


 人も動物も……無機物も……?


「『ふっ、おもしれぇ女』って言う、ちょっと悪ぶったイケメンのスズメチュン!」


 スズメが悪ぶったイケメンに……?


「ダメ……チュン……?」


 いや……それはちょっと解釈違い……だけど、試してみる価値はある、か。もしかしたらあるいは……いや、スズメだし……スズメなら? でも男子は……はっ⁉ 男の娘ならいけるのでは⁉


「男の娘? マミのお母さんの部屋の本棚の『仕事BOX』って書いてあるファイルケースの中に隠してある薄い本のシリーズチュン?」


 ええ……お母さんの性癖……。娘として知りとうなかったわ……。


「コレクションの大半は、おじいちゃんとおばあちゃんの家に眠っているチュン」


 結婚する時に実家に置いてきたってこと……? もしかして、お父さんにも内緒案件なの……。


「マミも絶対気に入るチュン!」


「どう……かな……」


 わたし、男子はちょっと……。


「血は争えないはずチュン」


「そこは一回争わせて」


 男の娘好きの遺伝子には、限界まで抵抗を試みたいっ!


「マミのお父さんは女の子同士が尊い(てぇてぇ)らしいチュン。広辞苑2のカバーの後ろにそういう本をたくさん隠してあるチュン」


「お、お父さん!」


 わたし、お父さんの娘なんだわ。

 なんかちょっと感動しちゃった。


 いや、でもお父さん……広辞苑に2はないって。隠す気ないでしょ、それ。


「というわけで、マミの好きそうなスズメとてぇてぇで世界を満たすチュン!」


「ちょっと待ちなさい……」


 何がというわけなのよ。


「わたしはスズメが好きなだけだから! スズメと誰かのてぇてぇなんて絶対認めないよ? そんな世界を作ろうとしているなら、作る前にぶち壊すからね?」


「でもマミは、スズメ雲を見ると、心がほわってしているチュン」


「まあ、それは否定しない」


 普通の雲よりは、スズメ雲のほうが良いよね。


「スズメ電車の写真を、鳥鉄を押しのけて、先頭で撮影していたチュン」


「鳥鉄じゃなくて、撮り鉄ね。そりゃ、スズメ電車だし、わたしのために走っているっていっても過言ではないでしょ!」


 むしろ、わたし以外撮影すんな!


「スズメがいっぱいいたほうが、マミの心がしあわせになっているチュン!」


「だからー! それはそうかもしれないけどさ! 前に言ったけど、数学の証明問題じゃないからね⁉ たくさんスズメっぽいものがあれば、本物のスズメがいなくて良い、ってことには絶対ならないから!」


 ねえ、そこのところ、わざとごまかそうとしてない?


「でもスズメは休ませないとダメチュン……」


「あのさ……」


 その返しはもう良いって。


「わたしが言ったのは《《ほどほどに》》休んでほしいってことなの! 存在を消して、休ませろなんて誰が言ったのよ⁉ 曲解してんじゃないよ、ホントにもう!」


 直接話をつけてやるから、責任者出てこいっ!


「世界は……取り込み中チュン……。スズメ人形が代わりに話をお伺いするチュン」


「ダメッ! 責任者を出して!」


「そこをなんとかチュン……」


「頭の固いわからず屋にガツンと言わせてもらうまで、わたし、ここを動かないっ!」


 四の五の言わずにスズメを返せ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ