第17話 マミはバケモノ? 超能力バトルが始まる?
「え……ホントにわたしって、バケモノだったの……?」
もしそうなら、今の今まで人間の振りをしていてごめんなさい。
「いや、何か言ってよ……」
あの……この先、どういう方向に進めれば?
わたしって人間じゃないとするとナニモノ?
天変地異を起こす系の異星人? それとも巨大化して炎とか吐く系の未確認生物?
「ラスボス的な何かになって、スズメと戦うのは嫌なんだけど……」
「た、戦わないよ! なんで私がマミと戦わないといけないの⁉」
「それを聞きたいのは、わたしのほうなんだけど……」
「柊は……人間だ。安心しろ」
いやー、ちょっと間がありましたよ?
「えっと……違う可能性もあるんですか……?」
「マミは人間だよぉ。私の大切な幼馴染みだよっ!」
スズメが両手でわたしのほっぺたを挟んでくる。
プニプニさせながら……ちょっと怒ってる?
「なんでそんなこと言うの! メッ!」
「だってー、わたしが世界を壊すとかなんとかって……」
それって、わたしが人間じゃなくて、バケモノってことじゃないの?
「そんなこと言ってないよぉ」
「言ったし」
「壊すんじゃなくて、壊れるって言ったの!」
「……同じ意味じゃない?」
「ぜんぜん違うからっ!」
うーん。違いがわからない。
「マミの気持ちと世界が……ちょっとだけ同調しやすいだけなんだからね!」
そんなツンデレ風に言われても……。
「ごめん、意味がわからない」
わたしと世界がなんだって?
あ、難聴系主人公っぽい言い方になっちゃった。
「マミは『青空記念日』のこと覚えてる?」
「……うん」
「あの日の朝、何を思ったか覚えてる?」
「朝?……なんだっけ」
んーんー。
「スズメの胸が成長し過ぎ、とか?」
「……バカ」
何よ。
朝って言ったら、|スズメの体を隅々までチェックすること《秘密のモーニングルーティン》でしょうが!
「それじゃなくて! 学校サボりたいなって思ったでしょ!」
「あー……思ったかも? でもそんなのしょっちゅうだけど?」
一応優等生で通ってるけど、学校をサボりたい日なんてしょっちゅう来るよ。
「あの日は、いつもよりちょっと本気でそう思ってたの! それで良い⁉」
「え、うん、まあ……そうかも?」
「だから、学校が臨時休校になりました」
「……いや、なんで?」
何も話が繋がっていないような気がするんですけど。
「マミが学校サボりたいって思ったから、臨時休校になったの!」
「……ウッソ」
「ホント」
「そんなことあるの……?」
「あったんだから、あったの」
「わたしって神……?」
「……違うと思う。たぶん」
たぶんなの。
バケモノじゃなくて、神説くるぅー?
「でもなんか次の日は……変な感じじゃなかった?」
スズメも『青空記念日』のことを忘れかけていたし、クラスのみんなも……。
「それは……私の仕業カモ」
なんで目を逸らすの?
「遊園地で楽しく遊び過ぎちゃって……このままだとマミが、『学校なんてなくなっちゃえば毎日休みなのに』って思っちゃったら……学校が消えちゃうから……」
「え……」
「これもホント。だから、夢だった~ってことにしてごまかそうとしたんだけど……うまくごまかせなかったの」
「なんで?」
「……わかってたら苦労しないよぉ」
スズメは不満そうに口を尖らせた。
「その時の柊の感情が、想定以上に強かったせいだろうという見立てだ」
池中先生が口を挟んできた。
「わたしの感情が強い? 強いとどうなるんですか?」
「私がマミの感情の波をいじって、世界をごまかしても……さらに強い感情で上書きされてなかったことにされちゃう……」
「……超能力バトル?」
「違う……と思う」
じゃあ何よ。
「今もほら、外を見て」
「うん。夕方……のような」
そうじゃないような。
さっきからずっと夕暮れ。
鮮やかな夕焼けの空が広がっているね。
でも――。
「太陽の位置が、おかしい」
「マミは今日ずっと、私のことを疑ってたでしょ」
「んー、うん」
ずっといつもと違ったし。
「放課後、問い詰めるつもりだったでしょ」
「まあ、少し話はしたかったかな」
「もっと強く願ったでしょ。『事情を聴きだすまで帰らないぞ』って」
そこまでだっけなあ。
……え、もしかして。
「太陽が沈まないのも、わたしのせい……?」
「そうだよ」
「マジかぁ……」
「私から事情を聴きだすまで帰らない。でも夜になると、マミのご両親が心配するから時間切れになっちゃう。だからマミは、無意識に夜にならないことを願ったの」
「そんなことある……?」
太陽よ、沈むな! って思ったってこと? わたし、超怖くない?
「柊が願ったのは『事情を聴きだすまで帰らない』というところまでだろうな」
「え、じゃあなんで太陽があんなところに……?」
「世界が、お前の願いをかなえようとして、ねじ曲がった結果だよ」
ええ……わたしはそんなこと望んでないのに?




