第12話 容疑者Aと容疑者Bに挟まれて……強制イベント⁉
昼休みが終わって、4時間目が始まった。
未だにスマホの電波は復活しないし、時計もおかしな動きをしたまま。
教室に鳴り響くチャイムの音だけが、わたしたちの時間感覚の拠り所になっている。
なんだか外の景色が、うっすら夕方に見える気がするのは気のせい?
でもまだ4時間目の途中だし。
4時間目――数学の授業が始まっても、なんとなく教室の空気も落ち着きがない。わたしもまあ、ぜんぜん集中できていないし、みんなも同じ気持ちらしい。
スズメは――。
午前中と変わらず、熱心に授業に取り組んでいる様子。
今日のスズメは、やっぱりおかしい。いつもなら真っ先に集中力を切らしているほうなのにね。
スズメに話を聞きたい。
間違いなく、スズメは何か知っている。それに……池中先生も怪しい。
早く放課後になってほしいな。
5時間目は理科だった。
担当は、容疑者Bこと、白衣のちびっこ教師の池中先生だ。
容疑者Aは、もちろんスズメ。
というか、2人とも怪しい。2人で何かをしている疑惑。
いや、でも何を?
電波時計を狂わせて、インターネットを繋がらなくして何がしたいんだろ。
愉快犯?
んー、スズメがそんなことするとは思えないな。まあ、池中先生も、小っちゃくても先生だし?
そう思わせておいて、意外な人物が犯人ってのは、ミステリーの常套手段よね。
そうだ!
『スズメの恩返し』の脚本を書いたのは池中先生! そして主演女優はスズメ!
めっちゃ怪しい……。
いざ上映してみたら、わたしが撮っていないはずの映像が入っていたりもしたし。
それは編集担当の小池さんの仕業かも。じゃあ、小池さんもグル?
でも給食のあげパンは、給食センターの人だろうし、購買もショッピングモールも、スズメたちが何かできるわけない……。
じゃあ誰の仕業?
みんな怪しく思えてくる……。
――キーンコーンカーンコーン。
おっと。
5時間目が終わっちゃった。
ぜんぜん板書もしてなかった……。このままじゃまずいなあ。家に帰ったらちゃんと復習しなきゃ。
「このまま、帰りの会を始める」
あ、そっか。
担任の先生が最後の時間の授業だから、流れで帰りの会に突入だった。
「お前たち……念のための注意だが、スマホを持ってくるなとは言わない。せめて授業中には電源を切るように。良いな?」
ホントは、スマホを持ってくること自体が校則違反なんだけど、それはもう目をつぶるからーってことを暗に言っているらしい。
まあね、今時スマホを持っていない中学生なんていないし、放課後、一度家に取りに帰ってから遊びに行くなんてダル過ぎるもんね……。
「校内の時計の修理は、明日までに対応するとのことだ。このあと修理業者が来る関係で、今日は予定を変更して、掃除も部活動もなしとする。全生徒は速やかに下校するようにとのお達しだ。良いな?」
池中先生が肩を落としながら、大きなため息を吐いた。
どうやら今回のトラブルで、相当お疲れらしい。
ん。
今、スズメにアイコンタクトしなかった?
スズメの様子は――。
キリッとしてる。
やたらとイケメンだ!
……すごく怪しい。
なんか今日のスズメは、ぜんぜんほわほわしてない。
ずっと真面目な感じで……怪しい。
帰り道で事情を聴き出さなきゃ。
まずは容疑者Aからね。
「礼。それじゃあ解散。速やかに下校するように。……それから――」
池中先生がわたしのほうを見てきた。
「柊はちょっと残ってくれ」
「え、はい」
まさか、容疑者Bのほうから接触してくるとは!
はっ⁉ もしかして、わたしが何かを勘付いたと思って、消しにきたのでは⁉ ちびっこ子ども教師の皮を被った、悪い組織の人間⁉
ということは……このままここに残っていると人生終了《BAD END》では。
逃げますか?
→はい
いいえ
逆に組織ごと潰してやんよ!
ボッコボコにしてやんよ!
すみませんごめんなさい何も知りません!
金で解決を試みる
「マミ」
スズメがいつの間にか隣に立っていた。
わたしのバッグを持って――。
「行こ」
あ、これ……強制イベントだわ。




