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兄と弟(1)

お母さんから正隆さんを紹介された1週間後。私は新しい兄弟たちに会うことになった。


場所は正隆さんのご自宅で、立派な車で迎えに来てくれた。


「息子たちとぜひ仲良くしてくれたら嬉しいよ。特に次男の椿は人付き合いが苦手らしくてね…根は素直ないい子なんだが…ああそれから私のことはパパとかお父さんとか呼んでくれると嬉しいな。」


正隆さんは運転中はサングラスをする派らしい。

イケメンはサングラスも似合う。

助手席のお母さんも楽しそうだ。


「は、はい!お、お父さん…」


少し緊張して声が上ずってしまった。


「はい。ひより。」


そう答えた正隆さ…お父さんはとても嬉しそうだった。


これが嬉し恥ずかしってやつかもしれない。


しばらくして、お父さんのご自宅?…新しいお家…?に着いた。


ものすごい豪邸につい目を擦ってしまったほどだ。


…庭広いな!?


色とりどりの鮮やかな花々が咲いた庭は庭師の林さんが大切に管理してくれているらしい。

今日は林さんはお仕事の関係で出かけているらしく、息子さんが指示を出していた。


「あ…ども。」


林さんの息子のあさぎ君は

なんだかクール系だ。


さらさらの黒髪にちょっと日焼けした肌。遠目からはあまりわからなかったけどよく見れば細いのにたくましい身体。


「次、そこの花壇やるから。」


他の庭師さんたちに指示を出しつつ土の袋を軽々といくつも担ぐ姿につい見とれてしまったくらいだ。


「あさぎ君イケメンじゃない。仕事も熱心そうだし…ねえ?」


「ちょっ!?お母さん!べ、別にそんなんじゃ…」


最近お母さんは幸せのおすそ分けと言わんばかりに私の心配をしてくる。

「ひよりってば全然彼氏作ったりとか恋バナとかしてこないじゃない?」なんてよく言われるけれど…

まあ確かに彼氏とか憧れはある。あるが…お母さん。私そんなモテないんだよ?なんて言ってしまったら負けだと思うのではぐらかすが勝ちだ。


ってお父さんもにやにやしてないでくださいっ!


と、そんなこんなありながらやっと私たちは広間へとたどり着いた。


既に広すぎて迷いそうだったけどね…


これ1人で行動したら遭難するかもしれない。…本当に。


ちなみにお手伝いさんには玄関で挨拶をした。

ローテーション制らしくとりあえず本日の方々だけだけれど…

皆さん名字が鈴木さんだったのは衝撃だった。

覚えやすくてありがたいのか紛らわしいのかはよくわからない。


とりあえず皆さん優しく歓迎してくれた。


さて、話を広間に戻そう。

一番玄関から近いここはリビングのようなもの…らしい。

大きな窓からはあさぎ君たち庭師さんの姿が見えた。

白い家具のせいもあるのか部屋は太陽の光で明るかった。

真ん中にはテーブルが一つ。椅子が六つ。周りをかこうようにならんでいた。


そしてその前に立つ二人の人物。


「やあ、待たせたね。晴一。椿。挨拶を。」


「はい。はじめまして。僕は長男の神宮晴一です。これからよろしくね。ひよりちゃん。お母さん。」


爽やかな微笑みを浮かべた晴一さんは優しそうな人だった。やや茶色味のある髪色に優しい眼差し。180cmはあるであろう長身で、水色の清潔感あるワイシャツがよく似合っていた。


「…ボクは椿。よろしく…姉さん。お母さん。」


椿くんはなんだか不思議な少年で、すぐに晴一さんの後ろに隠れてしまった。

髪色は晴一さんと同じで、サラサラの前髪で目が少ししか見えない。

あ、チラッと覗いた瞳と目が合った。

ニコッと微笑んでみる。ありゃ…

すごい速さで隠れられてしまった。

嫌われちゃったのかな…?

「椿は恥ずかしがり屋なだけだから、大丈夫だよ。ね?椿。」


晴一さんの言葉にすごい勢いで頷く椿くん。

「よかった!」

と微笑めば、また隠れてしまった。

可愛いなあ…


「椿はひよりを気に入ったみたいだね。」


「え!?本当ですか!なら嬉しいんですが…」


隠れられてしまってるけれどもね!?


「うん。いつも椿は部屋まで逃げてしまうしね。…それからひより。僕と君は兄妹なのだし…敬語は…ちょっと悲しいかな。」


「え!?すみま…ごめん?」


「うん。あと兄さんとか…あ、お兄ちゃんとか呼んでくれたら嬉しいな。」


あれ…この流れ…


「お、お兄ちゃん?」


「はい。ひより。」


嬉しそうな晴一さ…お兄ちゃん。

お父さんの時もこんな感じだったな…

うん。さすが親子だ。











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