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ハッピーポイント集めます〜わたしの余命は49日!?〜  作者: 天咲リンネ


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9/24

09:雨の日の放課後

 外が雨だから、今日の放課後は校舎の中をパトロールすることにした。

 でも、コンタクトレンズを落としてしまった生徒以外に、困ってるような人は見つからず……。


【現在のポイント:50,021pt】

【目標まで残り:949,979pt】


「……あと95万……か……」

 下校時間の三十分前。

 わたしは天宮くんと合流し、空き教室の机に座った。

 スマホの日付は5月31日。

 それなのに、わたしたちが集めたハッピーポイントは、まだ5万を越えたばかり。


「あああ。あと一か月で95万ポイント集めるなんて、無理だよぉ。めちゃくちゃ困ってる人って、いったいどこにいるのよぉ」

 わたしはメソメソ泣きながら、机の上にいるハクを見つめた。


「ねえハク、意地悪しないで教えてよぉ。コンタクトレンズを落としちゃったり、友達とケンカしちゃったりして、『普通に困ってる人』のことは教えてくれるのにさぁ。なんで、100万ポイントくれるほど『めちゃくちゃ困ってる人』のことは教えてくれないの?」

「それは風花が見つけ出すべき相手だからじゃ。教えてしまっては意味がない」

 狐の姿になったハクは、足で顎の下をかいている。

 ……のんきそうで、うらやましい。


「わたし、本当に死んじゃうの? 実は7月1日になっても生きてるってこと、ない? ハッピーポイントなんて集めなくても、大丈夫なんじゃない? そうだよ、だって、こんなに元気なんだからさ――」

「そう思うなら、止めればいいじゃろ」

「えっ。いいの?」

 予想外の言葉に、わたしはキョトンとしてしまった。


「うむ。我の言葉を信じるも信じないも、風花の自由じゃからな。せいぜい、残された時間を楽しめよ」

 ハクは「さようなら」というように、左前足を振った。


「えっ。ちょっと待って――」

 焦るわたしを無視して、ハクはくるりと半回転し、わたしにお尻を向けた。


「月都、良かったのう。時間制限がなくなったぞ。これからは一人で、のんびりゆっくりハッピーポイントを集めるが良い――」

「わあああん嘘です頑張りますから見捨てないでぇぇ!!」

 わたしは椅子を蹴飛ばして立ち上がり、ハクを抱きしめて泣きじゃくった。


「ぐえっ。く、苦し……」

「ぐすっ、ひっくっ……あ、ハクって、ふわふわ。お日様みたいな良い匂いがするし……モフモフ……ふふふ……」

「これっ、どさくさに紛れて頬擦りするでない、匂いを嗅ぐでないっ!! 我は神の――おいっ、いま背中を濡らしたものはなんじゃ!? もちろん涙であろうな、まさか鼻水ではなかろうなっ!? 月都、何をぼさっと見ておるんじゃ!! あと十秒以内に助けぬなら、ポイント没収してやるからなっ!!」

「それは困る」

 向かいの席に座っていた天宮くんは立って、わたしの手からハクを奪い取った。


「ああ、わたしのモフモフっ! 返して!」

 わたしが手を伸ばすと、天宮くんは冷たくわたしをにらんだ。


「いいから座れ。そろそろ真面目に話したい」

「はい」

 わたしはすぐに手を引っ込め、着席した。

 天宮くんは自分の机にハクを下ろし、椅子を引いて座った。


「ハクによれば、倉地の近くに『救いを求める者』――本気で困ってる人がいるんだろ? 倉地の家族は違ったのか?」

「うん。何回か聞いてみたんだけどね。お母さんもお父さんも、本気で困ってるようなことはないみたい……あ、お父さんは一つだけあった!」

 三日前のことを思い出して、わたしは勢いよく顔を上げた。


「どんなことだ?」

 天宮くんは真剣な顔をしている。

 ハクも三角の耳をピンと立てて、わたしを見ていた。

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