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ハッピーポイント集めます〜わたしの余命は49日!?〜  作者: 天咲リンネ


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08:家族に聞いてみよう

 助けを必要としている人は、わたしの近くにいるらしい。

 わたしの近く――まず思い浮かぶのは、やっぱり家族だ。

 そんなわけで。


「ねえ、お母さん。いま困ってることとか、悩んでることってある?」

 夕食後のお皿洗いを手伝いながら、わたしはさりげなく聞いてみた。


「どうしたの、急に」

「いいから答えて」

「そうねえ。一人娘が、別人みたいに良い子になったことかしらね」

 汚れたお皿をスポンジで洗いながら、お母さんは言った。


「一週間くらい前から、頼まなくても家事を手伝ってくれるようになったじゃない? 昨日、町内会長さんにも言われたわよ。『風花ちゃんは毎日ゴミ拾いをしてて偉いねえ』って。最近は朝早く出るし、休日もよく出かけると思ったら、そんなことしてたのね」

「ま、まあね。実はいま、ボランティア活動にハマってるんだ。でも、良いことでしょ?」

 わたしは泡まみれのお皿を水で洗い流し、笑ってみせた。

 全部ハッピーポイント目的です……なんて、言えない。


「それはそうなんだけどね。裏で相当ヤバいことをしでかして、ご機嫌取りのために頑張ってるんじゃないかしら……って、心配だわ」

「ヤバイことなんて、してないよっ! ていうか、ヤバいことってなに!? 娘をなんだと思ってるの!?」

 わたしが頬を膨らませると、お母さんは、楽しそうにケラケラ笑った。

 ――けど。


「冗談はさておき。――風花こそ、悩みごとがあるんじゃないの?」

 お母さんは急に真面目な顔になって、わたしをじっと見つめた。


「えっ。な、なんで……そう思うの?」

 動揺して、声が上ずっちゃった。


「スマホを見つめて、何度もため息をついてるじゃない。学校で何かあったの? もし、いじめられたりしてるんなら、隠さず、ちゃんと言ってね。風花が受験勉強頑張ってたのは、よ~く知ってるわ。でも、学校は他にもたくさんあるの。辛いと感じる場所だったら、そこは風花の居場所じゃない。無理に水葉にこだわる必要なんてないんだからね」

「そうだぞ、風花。まだ入学して一か月しか経ってないけどさ。どうしても合わないようなら、転校したっていいんだからな?」

 リビングでノートパソコンを叩いていたお父さんが、わたしを見つめて言った。

 お母さんもお父さんも、様子のおかしいわたしのことを心配してくれてたみたい。


「……お母さん……お父さん……」

 ああ、やばい。

 鼻の奥がツンとして、泣きそうだ。


 ――お母さんも、お父さんも、わたしが死んじゃったら悲しい?


 そう聞こうとして、止めた。

 聞かなくたって、二人が悲しむことは、よくわかったから。


 ――わたしは絶対に、死ぬわけにはいかない。

 なにがなんでも、困ってる人を見つけ出して、100万ポイント集めなきゃ!!

 あらためて、強く強く、そう思った。


「……大丈夫っ! 学校はすっごく楽しいから! 実はね、最近、仲良くなった男子がいるんだよ!」

 わたしは手の甲で涙を拭い、意識して明るい声を出した。


「男子?」

 ぴくんと、お父さんの耳が動いた。


「ほう。誰かな? 詳しく教えなさい」

 お父さんは右手で、眼鏡をクイっと押し上げた。

 あ、いまの仕草、紗彩ちゃんにそっくり。


「クラスメイトの天宮くん」

「あまみや……はっ!? も、もしかして、天宮グループ総帥のお孫さんか!?」

 なぜか、お父さんはめちゃくちゃ動揺して、椅子から落ちそうになった。


「そうすい? うーん、よく知らないけど。天宮くんのお父さんは、天宮グループの社長さんだって言ってたよ」

「……。いいか、風花。仲良くするのはいいが、くれぐれも失礼なことのないようにな?」

 お父さんはしばらく無言で頭を抱えた後、何かを決意したように立ち上がり、キッチンにやってきた。

 わたしを見下ろすその顔は、真剣そのものだ。


「う、うん。失礼なことは、してない……」

 自分の過去の行動を思い出してみる。

 ……してない、よね? 多分。


「でも、なんでそんなこと言うの?」

「……実はな。お父さんは、天宮グループの下請け企業で働いてるんだ」

「したうけ?」

 ここに説明してくれる天宮くんはいないから、わたしはお母さんを見た。


「要するにね。風花が天宮くんに失礼なことをすると、お父さんがクビになるかもしれないってことよ」

「えっ!? そうなの!?」

「うん……。頼むから、言動には気をつけてくれよ? お父さんがクビになったら、お金がなくなって、学校に行けなくなっちゃうぞ」

「やだ、そんなの困る! わかった、気をつけるよ!!」

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