20:絶望的な現実
6月24日の朝。
――パパパパーンッ♪
わたしはスマホのアラームじゃなく、ファンファーレの音で目を覚ました。
「!!」
わたしは飛び起きて、枕元のスマホをつかんだ。
昨日、しおむすびさんがSNSで大久保食堂の宣伝をしてくれたの。
その投稿は瞬く間に拡散されて、トレンド入りするほど大反響!
それなのに、ポイント獲得の通知が来なかったんだよね。
やっと、その通知が来たのかも!
(月都くんは大久保食堂を救うために、売上のデータを調べたり、飲食コンサルっていう人に頼んだりしてくれた。本当に、めちゃくちゃ頑張って働いてくれたから、今回は期待できるはず!)
月都くんは言ってたの。
「大久保食堂を救えたら、大久保一家の人生を救ったも同然だ。もしかしたら、一気に100万入るかもな」って!
(神様、お願いっ! わたしの命のタイムリミットまで、あと一週間しかないの! どうかどうか、100万ポイントもらえますようにっ!!)
切実に祈りながら、わたしはスマホの画面を見た。
【300,000ポイント獲得しました】
「……30万……」
期待に高まっていた身体の熱が、一気に冷えていく。
一か月間以上人助けをしてきて、初めて見るほどの大量ポイントだ。
でも――でも。
これじゃ、ぜんぜん足りない……。
わたしは唇を噛んで、ハッピーポイントアプリを開いた。
【現在のポイント:465,005pt】
【目標まで残り:534,995pt】
「……あと、53万……」
絶望的な数値に、頭がくらくらする。
これまで、わたしたちは老人ホームでボランティアをしたり、海岸でゴミ拾いをしたり、学校の内外で人助けをしたりと、全力で頑張ってきた。
それなのに、30万入っても、まだ46万。
一か月必死にやってこれなのに、あと一週間でその倍を稼げなんて、そんなの……。
(……ダメ。無理とか思っちゃダメ)
わたしはうつむいて、歯を食いしばった。
無理じゃない、大丈夫だって思わないと……くじけちゃう。
「……本当に、ハクはどこに行っちゃったんだろう。やるべきことがあるって、いったい、なにしてるの?」
ハクはわたしのことを見捨てちゃったのかな。
わたしが死んだら、天宮くんの元に戻ってくるのかな。
「ハク、お願い。帰ってきてよ……わたしのことを助けてよ……」
泣きそうになるのをこらえて、わたしはスマホをベッドに置いた。
立ち上がり、カーテンを開ける。
今日の天気は快晴。
不安でどんどん曇っていくわたしの心なんて知らないみたいに、空は、残酷なほど綺麗な青だった。




