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ハッピーポイント集めます〜わたしの余命は49日!?〜  作者: 天咲リンネ


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15/24

15:もしかして?

「だって、本当に同じ人間なの? って疑いたくなるくらい、なんでもできるんだもん。かけっこでも一番だったし、勉強でも一番。ほとんどのテストで100点だったんだよ。信じられる?」

「え……そんな人いるの?」

「いるんだよ、それが。しかもね、絶対音感も持ってて、ちょっと聞いただけの曲をそっくりそのまま弾けるの。作文でも絵でもバイオリンでも賞を取ってたんだよ!」

 紗彩ちゃんは拳を握って、いつになく熱く語った。


「旭くんの家に遊びに行った男子に聞いたんだけどね。部屋の一つはトロフィー置き場になってて、トロフィーやたてや賞状がずらーっと並んでたんだって。ほとんどが旭くんのものだったらしいよ。たまに月都くんの名前もあったけど、月都くんは2位とか3位で、1位はなかったみたい」

「……そうなんだ。旭くんって、本当にすごいんだね」

 2位や3位でも、じゅうぶんすごいと思う。

 でも、すぐ隣に1位がいたら、やっぱりかすんじゃうよね。

 そういえば、この前の中間テストでも、天宮くんは3位だったって言ってたな。

 ハッピーポイント集めなんてせず、勉強に集中できたら1位になれたのかも……って思うと、申し訳ない気分になっちゃうよ。


「うん。でも……」

 紗彩ちゃんは、ふと顔をくもらせて、天宮くんの席を見た。

 

「……旭くんが《《なんでもできてしまうから》》。月都くんは可哀想だなって思ってた」

「え、どうして? わたしだったら、そんなお兄ちゃんがいたら、自慢しちゃうけど」

「風花ちゃん。よく考えて」

 紗彩ちゃんはまっすぐにわたしの目を見つめて、真剣な顔で言った。


「年が離れた兄弟ならまだしも、旭くんと月都くんは双子なんだよ? 顔もそっくりで、同じクラスにいるんだよ? 自分のすぐ近くに完璧なお兄ちゃんがいたら、周りから比べられるに決まってるでしょう? 月都くんにとっては、たまらなかったと思うよ」

「あ……」

 ようやく気づいて、わたしはハッとした。


 ――もし、わたしに双子のお姉ちゃんがいて。

 そのお姉ちゃんが優しくて、なんでもできて、みんなから「太陽のお姫様」って呼ばれるほど愛されていたとしたら。

 みんなから「お姉ちゃんと比べて、風花ちゃんはダメねえ」って笑われたら……。

 想像するだけで、息が苦しくて、心臓がギュッとなった。


「小学校に入学したばかりの頃は、おとなしい旭くんより、元気な月都くんのほうが目立ってた。友達とヒーローごっことかして、校庭を駆け回ってる姿をよく見たよ。でも、学年が上がるにつれて、だんだん元気がなくなって……笑わなくなっちゃったの」

 紗彩ちゃんは、同情するように目を伏せた。


「…………」

 わたしはなにも言えずに、ただ黙って紗彩ちゃんの言葉に耳をかたむけた。


「だから、最近の月都くん……あ、ごめん。つい昔のくせで、月都くんって呼んじゃってた」

 ニセ彼女のわたしに気を遣ったらしく、紗彩ちゃんは咳払いした。


「最近の天宮くんを見て、わたし、ほっとしてたんだ。昔みたいに笑えるようになって、良かったなって。きっと、風花ちゃんが天宮くんを変えたんだろうね」

 紗彩ちゃんはほほえんだ。


「そんな。わたしはなにもしてないよ。むしろ、迷惑かけてばっかりだよ」

 わたしは両手を振った。


「またまた、照れちゃって。天宮くんと一緒に『お悩み相談』とかしてるくせに。天宮くん、そんなことするキャラじゃなかったじゃない。風花ちゃんの影響でしょ?」

「あー……それは、影響というか……必要に迫られてというか……」

 校内でのボランティア活動を、わたしたちは『お悩み相談』ってことにしてるんだ。


『どんな小さな悩みごとでも構いません!

 困ったことがあれば、わたしたちに相談してください!』


 ――そんな文章を書いた手作りポスターまで、校内掲示板に貼ってるんだよ。

 おかげで、わたしたちの活動のことは生徒会の人まで知ってる。


「あ、そうだ」

 ふと思いついたかのように、紗彩ちゃんは軽い口調で言った。


「お悩み相談っていえば。同じ文芸部の大久保おおくぼくんが、すごく悩んでるみたい。なんでも、人生最大のピンチなんだって」

「人生最大のピンチ!?」

 ――それって、もしかして、100万ポイントくれる人なんじゃ!?

 わたしは思わず紗彩ちゃんの机に両手をついて、身を乗り出した。


「紗彩ちゃん、お願い! 大久保くんにわたしを紹介して!!」

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