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涙を拾う者
「……珍しいな」
「感情の制御が出来ず、
雨を降らせるなんて」
「……ノクティス……」
レオニス様へ、
少しだけ弱音を零してしまった私は、
夢の中で黒月宮にいた。
深い闇。
月光だけが差し込む、
静かな花園。
私の感情は、
天候へ影響を与えてしまう。
だからずっと、
ずっと抑えてきた。
怒りも、
悲しみも、
孤独も。
……でも。
穏やかすぎる日々に慣れてしまったから。
幻影帝国にいた頃より、
ずっと深く、
悲しくなってしまった。
「……何も言わなくていい」
「お前の感情は、
魂を通して全て伝わってくる」
ノクティスは静かにそう言うと、
私を自身の胸へ閉じ込めた。
まるで、
私の涙を誰にも見せないように。
「ここでは、
いくらでも泣くといい」
「……人の子は愚かだ」
「俺の元へ来い」
「そうすれば、
こんな想いはさせない」
私は、
ノクティスの腕の中で小さく首を横へ振った。
「……はっ、
生意気な小娘だ」
呆れたように笑うノクティス。
そして彼は、
抱き締めていた腕をゆっくり解き、
私の顎へ、
そっと右手を添えた。
紫色の瞳が、
真っ直ぐ私を見つめている。
次の瞬間――
ノクティスは、
私の涙へ口付けを落とした。
「……泣いたら、
俺が拾ってやるって言っただろ」
優しいのに、
どこか危うい声音。
そして、
私の意識はゆっくり浮上していくのだった。




