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私の居場所
「君が十六歳になったら、
結婚しよう」
レオニス様は、
私へそう言った。
……おかしな人だわ。
私は、
そのためにこの王国へ来たというのに。
でも――
そう言われて、
嫌な気はしなかった。
「……ええ、
もちろん」
そう返すので、
精一杯だった。
その時、
白夜王国を象徴するかのような澄んだ風が、
私達の間を静かに通り抜けていく。
「ミスティリア、
君が欲しい」
そう言って、
レオニス様は私の髪へ口付けを落とした。
「……誕生日おめでとう、
ミスティリア」
「ありがとうございます」
「皆様、
とっても素敵な方達ですね」
「……レオニス様のように」
レオニス様は、
少しだけ優しく目を細めた。
「これからは、
ここが君の家だ」
「そして、
君の家族になる」
……家族。
それを知らない私へ、
レオニス様は少し困ったように続ける。
「あと、
誰か分からない相手に簡単に扉を開けてはいけないよ」
「今回は俺だったから良かったものの」
……レオニス様ったら。
私は、
そんな可憐な少女ではないのに。
私を襲おうとする者を倒すことなど、
容易い。
それでもこの人は、
私を“普通の少女”として扱ってくれるのね。
「ふふっ、
気を付けますね」
「……まったく。
本当に分かっているのか?」
呆れたように笑うレオニス様。
そんな穏やかな会話をしたあの日から――
私の、
白夜王国での生活が始まったのでした。




