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月蝕の花嫁  作者: 紫苑ユリ
月蝕の王
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まだ愛を知らない。

「……近い!

近すぎる!」


……ノクティス。


それに、

みんなも……。


また貴方達なのね。


私は馬車の中で眠りについたはず。


だからここは――


“夢の星幽界”


元はと言えば、

昨夜テラスでレオニス様とお話した後、

また六精霊王達と話し込んでしまったせいなのだけれど……。


「ミスティリアに、

悲しい想いをさせたくない」


ノクティスが、

低く静かな声でそう言った。


「……でも」


「私とレオニス様は、

国が決めた政略結婚で……」


「愛なんて、

ないのよ」


するとネレイアが、

楽しそうに身を乗り出した。


「ほんとに〜?」


「向こうの坊や、

だいぶ貴女にお熱みたいだけど?」


「ねぇノクティス〜?」


セラフィナが、

面白そうに笑う。


「まさか、

人間の坊やにヤキモチ妬いてるの?」


「うるさい」


「焼き払うぞ」


「ふふっ、

図星ねぇ」


「最古の精霊なのに、

恋をするのは初めてってか?」


ヴェルディアが、

ニヤニヤしながら肩を竦めた。


「ミスティリア!」


「寒い時は俺に声掛けろよ!」


「俺がぽかぽかにしてやるからな!」


イグニスは相変わらず豪快に笑っている。


……本当に、

賑やかな人達。


「ですが」


静かに口を開いたのは、

ルシエルだった。


「人間が呼んでいますよ」


「……また」


その言葉と同時に、

私の意識はゆっくり浮上していく。


「……ミスティリア?」


「起きたか?」


レオニス様の声が聞こえ、

私はゆっくり目を開けた。


そして――


目の前に広がる光景に、

私は息を飲んだのだった。


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