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月蝕の花嫁  作者: 紫苑ユリ
月蝕の王
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初めての外交都市

「ミスティリア様、

おはようございます」


「お目覚めのお時間ですよ」


「んん……」


「おはよう、エレノア……」


白夜王国へ向かう旅が始まってから、

エレノアとは別の馬車になってしまった。


少し寂しいけれど、

レオニス様がいつも気遣ってくださるから、

不思議と不安は少なかった。


二日目。


私達は帝国の森を抜け、

湖畔の迎賓館へ向かっていた。


「ミスティリア、

疲れていないか?」


「ええ、

大丈夫です」


レオニス様は、

本当に優しい方。


迎賓館へ向かう途中、

美しい湖畔で昼食を取っていた時のことだった。


「……やけに魔獣へ遭遇しないな」


「恐らく、

ミスティリア様の加護でしょう」


白銀聖騎士団の方々が、

そんな話をしていたらしい。


……もっとも。


リスと戯れていた私は、

そんなこと知る由もなかったのだけれど。


三日目。


私達は中立都市の貴賓館へ向かった。


「レオニス様!

あれは何ですか?」


「あれは露店街だ」


「まぁ!

ではあちらは……!?」


初めて見る景色ばかりで、

私は質問ばかりしてしまう。


けれどレオニス様は、

嫌な顔ひとつせず答えてくださった。


他国文化というものは、

こんなにも楽しいのね。


「今は馬車や服装で目立ちすぎてしまう」


「……だから、

また今度一緒に来よう」


「っ……はい!」


レオニス様は、

また“約束”をくれた。


貴賓館へ到着した後、

レオニス様と食事をした。


誰かとする食事って、

こんなにも楽しくて、

美味しいものだったのね。


そして四日目。


東の宿場町にある旅館――

『風詩』へ到着した。


和やかな雰囲気の、

とても落ち着く旅館。


私は自室でゆっくり寛いでいたのだけれど――


突然、

辺りが真っ暗になった。


「きゃっ……!?」


慌てて旅館の方が駆け込んで来る。


「申し訳ございません!

魔力障害による停電でして……!」


「……それなら」


光魔法で灯りを点ければ、

解決よね?


……消せないけど。

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