瞬きほどの命
兄達とわだかまりが溶けた喜びと
旅立ちの不安を抱えたまま、
私は眠りについた。
――けれど。
「無理やり星幽界へ連れて行くこともできたが、
“嫌だ”と言われたからな」
聞き慣れた低い声に、
私はゆっくり目を開けた。
「……ノクティス?」
「それに……
みんなも……?」
そこにいたのは、
六精霊王達。
そして私は何故か、
彼らとお茶をしていた。
「……何故……?
私、
眠りについたはず……」
ノクティスは頬杖をつきながら、
面倒そうに答える。
「あぁ、
ここは夢だ」
「安心しろ」
「それより……
白い王子の国へ行くんだろ」
「……えぇ」
「少し、
不安だわ」
するとヴェルディアが、
呆れたように肩を竦めた。
「なんでだよ」
「陰気臭ぇ幻影帝国の王室から離れられるんだぞ?」
「もっと喜べよ」
私は小さく微笑む。
「……どんな人達であれ、
私にとっては大切な人なの」
その言葉に、
セラフィナが優しく目を細めた。
「でも、
あの王子はミスティリアへ惹かれているわ」
「ここにいるより、
幸せになれるかもしれないじゃない?」
「恋ね〜」
ネレイアが楽しそうに笑う。
「いいじゃない〜!」
「人間の恋って可愛いわよねぇ」
「……お前達、
いい加減にしろ」
ノクティスが不機嫌そうに口を開いた。
「そもそも、
光を司る国など俺は反対だ」
「いいかミスティリア」
「人間とお前は寿命が違う」
「俺達からすれば、
人間の一生などほんの瞬きほどの時間だ」
「……」
「あらぁ?」
セラフィナがにやりと笑う。
「闇属性の貴方にとって、
光は毒だものねぇ?」
「……それって、
ヤキモチ〜?」
「焼き払うぞ」
「きゃ〜怖〜い」
イグニスが豪快に笑った。
「難しいことは分かんねぇけどよ」
「嫌なことがあったら言え」
「俺が全部焼き払ってやる」
「物騒ねぇ……」
「ですが、
間違ってはいません」
静かに口を開いたのはルシエルだった。
「私達は、
貴方へ忠誠を誓った身」
「……ですが、
油断はなさらないことです」
「心の傷だけは、
魔法でも癒せませんから」
皆、
それぞれ違う。
でも、
こんなにも私を想ってくれている。
……不思議ね。
人から恐れられ続けた私が、
今はこんなにも愛されているなんて。
その時だった。
「……泣きたきゃ泣け」
ノクティスが、
ぶっきらぼうに言った。
「お前の居場所が無くなったなら、
俺が拾ってやる」
その言葉は、
闇のように不器用で。
……でも、
どこまでも優しかった。




