王族達の晩餐
ミスティリア様を、
次代の王として望む声が増え始めた頃。
それを快く思わない方々も、
当然いらっしゃいました。
――王族の皆様。
そして、
一部の貴族達です。
その日は、
週に一度の王室晩餐会。
もちろん、
ミスティリア様は未だ参加されておりません。
「……あの忌み子が、
国民までも魅了したのよ」
「本当に忌々しいわ」
憎しみを滲ませながらそう仰ったのは、
ルシエラ様でした。
アレス様は、
複雑そうに眉を寄せながら口を開かれます。
「……だが、
あれほどの結界を常時維持していたんだ」
「ミスティリアが“忌み子”というのは、
本当に正しいのか?」
すると、
レイン様も静かに続けられました。
「今や国民だけじゃない」
「騎士団や兵士達の間でも、
ミスティリア支持の声が増えている」
「俺達が勝手に、
“怪物”だと思い込んでいただけで」
「本当は……
ただの少女だったんじゃないのか?」
当初、
アレス様もレイン様も、
ミスティリア様を警戒されていました。
ですが、
近頃の噂や、
実際の彼女の行いを知るうち、
“忌み子”
と呼ばれ続けることへ、
疑念を抱き始めていたのです。
「……貴方達まで、
あの忌み子に魅了されたのではなくて?」
ルシエラ様は冷たく笑われました。
「ねぇ、お母様」
「王室を乱す危険因子として、
ミスティリアを殺してしまった方が良いのでは?」
その言葉に、
セレスティア様は静かに目を伏せられました。
「……あの子は、
私達の“傷”そのもの」
「生きている限り、
私達は抉られ続けるのでしょうね」
慈愛に満ちた微笑みを浮かべながら、
セレスティア様は、
肯定も否定もされませんでした。
……ですが。
その言葉は、
ルシエラ様にとって十分だったのです。
「こちらが皆殺しにされかねないぞ」
静かに口を開かれたのは、
ヴァルディオス様でした。
ですが、
ルシエラ様は美しく微笑みながら、
こう返されたのです。
「いいえ」
「彼女を殺せるほど近しい存在が、
いるでしょう……?」
――その瞬間。
私は、
嫌な予感を覚えたのでした。




