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月影の塔にて
白夜王国が侵攻してから、
幾日が経ったのでしょうか。
今や国民の多くは、
ミスティリア様を慕っておりました。
“次代の王”
として、
あの方を認め始めたのです。
ミスティリア様が、
決して諦めず、
人々へ愛を与え続けたこと。
その想いが、
やっと……
やっと報われ始めていたのでした。
月明かりが照らす、
月影の塔。
ミスティリア様は、
窓辺から夜空を見上げながら、
静かに仰いました。
「……ねぇ、エレノア」
「私は、
王になんてなりたくないの」
「ただ、
この世にいる全ての者が、
幸せであってほしい」
「……それだけなのよ」
そして、
ミスティリア様は柔らかく微笑まれ、
私へ視線を向けたのです。
「もちろん、
貴女も」
「……いいえ、
貴女は幸せにならないといけないの」
月光に照らされた長い睫毛が、
静かに影を落としていました。
……今思えば、
ミスティリア様は、
何かを感じ取っておられたのかもしれません。




