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揺らぐ城銀
「……いや、
その必要はない」
そう仰ったのは、
ヴァルディオス様でした。
ミスティリア様は、
六精霊王すら従える前代未聞の存在。
そんなお方を、
簡単に白夜王国へ渡すわけにはいかないのでしょう。
ヴァルディオス様は、
白銀聖騎士団団長ヴァルド様へ静かに視線を向けられました。
「……君が騎士団長かな?」
「アルセリオン国王へ伝えてくれ」
「どうやら、
此度の件には誤解があったようだ」
「今回は“未遂”ということで、
水に流そう」
そして、
ヴァルディオス様は僅かに目を細め、
冷たい声で続けられたのです。
「――だが」
「こちらには“怪物”がいることを、
決して忘れるな」
それは、
白夜王国へ向けられた明確な警告でした。
白夜王国への帰路。
白銀聖騎士団団長ヴァルド様は、
重い沈黙の中で静かに口を開かれました。
「……我々は、
戦争を仕掛けた側だ」
「それでも彼女は、
誰一人傷付けるつもりはないと言った」
「城下町で見た光景もそうだ」
「……本当に彼女は、
皆が言うような“忌み子”なのだろうか」
その疑問は、
きっとヴァルド様だけではなかったのでしょう。
あの場にいた多くの者達が、
同じことを感じ始めていたのですから。




