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ドラゴンを斬った女の初恋  作者: 9iyus
第七章 王子と騎士
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第4話 銀髪の女騎士リリアーナは、どこか上の空

ラスト2話ですー

 豪華絢爛な舞踏会だ。


 磨き上げられた黒タイルの上を、優雅な音楽に合わせ、色とりどりのドレスがクルクルと回っている。


「こんなんでしたっけ、ここ。」


「全部作り直したんだよ。大変だったんだから。」


 二年前の、王妃との最終決戦の舞台がここだった。


 その傷を隠し、赤と金の幕が、その場を包む。


 新たな王の誕生を祝い、その場には国内外の権力者が集まっていた。


 リリアーナとエルネンは、壁にもたれ、それをボーッと眺めていた。


「アルビラのことは、聞いたかい。」


「逃げられたと聞きましたが。」


 剣を突きつける兄たちから、母を守る為に、魔法で抵抗したという。


「ステラたちのところにいるよ。本当に、何も聞いてないんだね。」


 大変だったんだから。エルネンはまたそう呟いた。


***


 美しい舞踏場は、めちゃくちゃに壊されていった。


 魔法陣が覆った場所は抉れ、跳ね返った武器たちが壁に突き刺さる。


 最後は王宮の魔法使いとステラの魔法合戦で、他はそれを見守ることしかできなかった。


「お前ごと、斬り捨てることになるぞ。」


 次期国王は、剣先を王女へ向けた。最愛の妹すら失う覚悟はできていたのだ。


 それを庇ったのは、アリストラだった。


「アリストラ。いいのよ、もう。」


「いいえ、王女様。俺はここで本気を出してみたくなったのです。」


 舞踏場は、大量の魔法陣で埋め尽くされた。


***


「結局、ステラに抑え込まれたんだけど。」


「情けないやつ。」


 リリアーナは、クスクスと笑った。


「陛下は、手を貸してくれたステラの顔を立てて、僕たちを見逃してくれたんだよ。」


 二人は玉座に視線を合わせた。


 妃の座は、まだ空席だ。


 王テオールは、華が群がるミツバチだ。不機嫌そうな顔を隠しもせず、着飾る女たちを手で払っている。


 それを、クレマチスがニヤニヤと見ていた。


「兄上は、北部から帰ってこないのかと思ったよ。」


 エルネンは、ホッと息をついている。


 兄の首筋に刃を突きつけ、逃げられるよう交渉したことは語らない。


 北部が落ち着くまでエルネンが王都を守ることも、テオールが出した条件の一つだった。


「そういえば、アリスは?」

 

「その時アルビラを連れていって、そのままだよ。」


 ステラは、久々の戦闘に腰を痛めてしまった。引退を決意し、後継者を育てている。


「君たちは、自分の仕事が何だったのかを忘れてしまったようだね。こんなところに僕を二年も放っておいて。」


「こんなところって。これから行くのは戦争の終わらない、極寒の地ですよ。」


「どこでも良いと言っただろう。忘れてしまったのかい。」


「……なんのことですか。」


 リリアーナは、咄嗟に覚えていないフリをした。舞踏場の飾り付けが、やけにキラキラ光って見えた。


 辛い戦場の、心の支えだった。寒空の下、星を見る度なんども思い出した。


 忘れるはずがなかった。


 何度聞かれても、同じ返事を返すだろう。


 君と一緒なら——


読んでくれた方、ありがとございます。最終話も、よければお願いいたしますー

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