↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンを斬った女の初恋  作者: 9iyus
第七章 王子と騎士
PR
72/72

第5話 銀髪の女騎士リリアーナは、王子と踊る

最終話ですー

「視線が痛いです。」


「気にすることなんてないよ。どうせ明日にはここを立つんだから。」


 軽快な音楽が流れている。リリアーナとエルネンは、ホールの中心でダンスを踊っていた。


 王弟と、女騎士のペアだ。二人は人目を引いた。


 腰の剣を鳴らしながらターンした。背中まである銀髪が、フワッと広がる。


「何だか、上達していないかい。」


「気のせいでしょう。」


 夜の戦場は、やることがなかった。


 酔った若い騎士たちと火を囲んで、よくダンスの練習をした。


「僕はここで、孤独に兄上の代わりを務めていたのに。君は北部でダンスなんか。僕が教えると言ったのに。」


 エルネンはぶつぶつと文句を言う。


 再会してから、ずっとこんな調子だった。


 後を追わなかったことは謝ったし、ダンスの誘いもしぶしぶ受けた。


 いったい、いつ機嫌が治るのだろう。


「……私は、北部の戦争でテッセン卿が。」


「戦死するんだっていうんだろう。アリスから聞いたよ。」


「……え。」


 エルネンはあの後、アリストラから全てを聞いたのだという。


 自分が片目を失い、その後死ぬということも。


「君たち、それがこの国の建国話と酷似していることには、気が付かなかったみたいだね。」


「……え。」


 それが、今から起こる出来事なのだと、疑ったことはなかった。


「女王と騎士の話では?」


「王と女騎士の話だよ。アリストラの読んだ話というのは、このことかも知れないね。わからないけど。それが、そんなに重要かい。」


 リリアーナは、思わず足を止めた。


 重要じゃないわけはなかった。


「私は——」


 あなたのことを——


「大丈夫だよ。僕を、守ってくれるんだろう。」


 グイッと腰を引き寄せられた。


「わっ。」


 好きだった、幼い顔に不釣り合いなあの儚い笑みは、もう見れないのだろうか。それが、ほんの少しだけ残念だった。


 エルネンの悪戯っぽい笑顔には、自分を肯定した強さが光る。


 その自信が、魅力となって溢れ出る——


「やっと、僕のことを見たね。」


 思わずパッと、視線を逸らした。その先だ。うっすらと光る魔法陣。


「——陛下。」


 リリアーナは、あわてて走り出した。


 シャンデリアが、王めがけて落ちてくる——


 その下に、螺旋状に赤い魔法陣が次々と現れた。ガチャガチャと、スピードを落とす。


「……アリス?」


 どこに隠れていたのだろう。魔法使いも、バタバタと人混みから飛び出してきた。


 リリアーナは、王の前に滑り込んだ。


 真上に思い切り剣を振る。シャンデリアは真っ二つになり、足元に叩きつけられた。  


「舞踏場を直した時に、シャンデリアも外すべきでしたね。」


 目眩がするような金属音に、頭をぶるぶると振った。


 エルネンとアリストラが、駆け寄ってくる。


「陛下、申し訳ございません。弟子が一人、逃げ出したようで。」


「アリス、元気だった?」


「リリー、どうしたんだよその顔は。めちゃくちゃかっこいいじゃないか。エルネン様は、背が伸びましたね。」


「アリス、リリーがそっけないんだよ。」


「エルネン様が男らしくなったから、照れているのでしょう。」


 キャッキャと騒ぐ三人に、王はピシャリと言い放った。


「お前たち、これを解決するまでは帰さないからな。」


 復讐を企てるくらいには元気らしい。


 テオールは、誰にも気づかれないよう、ホッと小さく息を吐いた。


 こんなトラブルには慣れっこだ。軽快な音楽が、再び流れ出す。


 三人は、ブツクサと文句を言い合いながら、肩を並べて歩き出した。


ご覧いただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。