表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンを斬った女の初恋  作者: 9iyus
第六章 魔法とドラゴン
PR
62/66

第8話 操舵の魔法

 ステラとオリビアの戦いは、一対一だ。他は手を出せない。


 魔女が腕を振り上げるたび、地面を魔法陣が覆い、目がチカチカするような光を打ち消し合う。


 カインが冷静になると、ドラゴンも落ち着いた。空へ飛び立ち、分厚い雲の下を旋回している。


 それを見上げて、カインは言った。


「なるほど。扉を守れば、俺の勝ちか。」


「理解が早いですね。」


「いや、なにがなんだか分からないけど。片目は フェアじゃないだろう。」


 ドラゴンは、炎を噛み締め、急降下する——


「ドラゴンを使える方が、フェアじゃなくないですか。」


 リリアーナは後ずさる。


——ドォォォン


 ステラは、城の扉を吹き飛ばした。その、一瞬の隙だった。


………キィィーン


 ステラの瞳は、黄色く光を灯した。オリビアの、操舵の魔法にかかったのだ。


 震える手で、矢をぎこちなく拾い上げると、両手で持ち、自分の首に矢先を向けた。


「———ステラ!」


 アリストラは、弓を引いた。魔法陣を三つ潜り、加速を増し、オリビアに向かっていく。


 地が揺れるようなドラゴンの咆哮、騎士たちの怒号、断末魔、呻き声——


 その中に、ステラの絞り出す様な、小さな声が掠れて聞こえた。


「……やっぱり、だめだ。…………まって。」


 放たれた短剣は、急に勢いを失い、カラン……と、オリビアの足元に落ちた。


「ぐぅぅ……。……ステラ、なんで。」


 アリストラとリリアーナは、自分の首を押さえて膝をついた。ステラの首輪だ。これは、ステラの意思だ。


 操舵の魔法は、かかりきっていない。


 地面にうずくまったリリアーナを見下ろし、カインは一歩踏み出す。


 再び戦場に降り立ったドラゴンも、呼応するように、ドンッと、足を踏み出した。


 その下から、戦場全体を覆うような大きな魔法陣が現れた。


 カインとリリアーナだけが魔法陣から外れており、その場は、突然静寂に包まれた。


 二人以外の世界は、時が止まった様だった。


 ドラゴンの、時の魔法だ。魔法使いの足を止める程度のものとは違う。その場だけ、切り抜かれた様に停止している。


 宙に舞っていた火の粉は、時が止まると、キラキラと光を放つ飾りの様で、美しかった。


「ずっとこのままというわけにはいかない。そうだろ。」


 カインがそう呟くと、ドラゴンはその停止した空間に向かって火を吹こうと、息を吸い込む。


 ゴォォ……というその音だけが、静かに響いた。


「……確かに、片目はフェアじゃないですね。」


 リリアーナは、目から血を流しながら、ゆっくりと顔を上げた。


 片膝をついたまま、地面に剣を突き刺す。刀身が、バチバチと光を放ち、それを中心にして、魔法陣が——


 それは、空に現れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ