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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第3章 義星
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惜別の兄弟

登場人物

藺石りんせき…………藺家の当主。槍の達人。八人の子息を持つ。

藺授りんじゅ…………藺家の長子。苛烈かれつな槍の名手。

藺離りんり…………藺家の次子。槍の手練者てだれあやかしの火鼠かそしもべに持つ。萬軍八極ばんぐんはっきょくのひとり。

藺翼りんよく…………藺家の三男。豪快な槍術の持ち主。

藺冑りんちゅう…………藺家の四男。鋭敏な槍術の持ち主。

扁鵲へんじゃく…………諸国を放浪する類稀たぐいまれな医の

 年季の入った朱槍を携え、白い頭巾と道袍どうほうまとっていた。旅装の藺離りんりは、今や藺家から出立しようとしていた。

 そこに集ったのは、別れを惜しむ藺翼りんよく藺冑りんちゅう、そして、四人の弟たちだった。

「本当に出て往くのか、離兄……?」

 寂しそうに藺翼が云った。

「ああ」

「こんなの、納得できねえよ」

 寂しさを紛らわせるように、そっぽを向いた藺冑が鼻をすすった。

「仕方のないことだ。これも運命というもの」

 藺離に微笑が浮いた。門前に集った弟たちをゆっくりと見渡した。

「良く聞け。お前たちは力を合わせ、しっかりと兄上を支えるのだ。そして、槍の藺家を益々大きくせよ」

 堪えていた弟たちが、涕泣ていきゅうし始めた。

 藺離は、弟たちそれぞれの頭をぞんざいに撫でると、胸を張った。

「さらばだ」

 藺離はきびすを返した。何の未練もないように門を出ると、一度も振り返ることなく歩み出した。

 藺離の弟たちは、その背が小さくなるのを見送っていた。

「離兄……」

 めそめそしている藺冑を見遣り、兄の藺翼がその肩に手を置いた。

「大丈夫だ。俺と弟たちがいる」

 藺翼は、藺冑に破顔を見せた。

 袖でなみだを拭った藺冑も破顔を返した。

 藺離に往く宛てはなかったが、気のままに進もうと思っていた。もう少し歩けば、城郭まちから出るところまで来た時だった。後方から響いてきたのは馬蹄だった。

「待て、離――‼」

 駈け寄って来た馬の主は、兄の藺授りんじゅだった。馬速を緩めると藺離の許に駒を寄せた。

「兄上……」

「乗れ。少し送ろう」

 藺授は、藺離を誘うと馬に乗せた。ゆっくりと駒が駈け出す。

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