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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
跋章 終焉
302/302

広大、青空

登場人物

介象かいしょう…………方士。干将かんしょう莫邪ばくや眉間尺みけんしゃくの三剣をびる。萬軍八極ばんぐんはっきょくの極主。

元緒げんしょ…………方士。介象の師であり、初代の介象。

娄乾ろうかん…………剣の手練者てだれあやかしの虎憑耳こひょうじしもべに持つ。曳影えいえいの剣をびている。萬軍八極の壱。

鄒兌すうだ……医のの生娘。妖しの月兔げっとを僕に持つ。萬軍八極の弐。

藺離りんり…………槍の手練者。妖しの火鼠かそを僕に持つ。萬軍八極の参。

韋震いしん…………双短剣の使い手。妖しの雷公らいこうを僕に持つ。萬軍八極の肆。

裴巽はいそん…………げきの手練者。妖しの飛廉ひれんを僕に持つ。萬軍八極の伍。

欧陽坎おうようかん…………矛の手練者。妖しの短狐たんこを僕に持つ。萬軍八極の陸。

花艮かごん…………まさかりの使い手。妖しの山操さんそうを僕に持つ。萬軍八極の漆。

丘坤きゅうこん…………美質な弓の名手。妖しの狻猊さんげいを僕に持つ。萬軍八極の捌。

 裴巽はいそんが小さく嘆息すると、口許にてのひらを当てたままの娄乾ろうかんが思案を巡らせた。はっとなった娄乾は、裴巽を見遣みやった。

「どうだ、裴巽。私と手を組み、陰から介象かいしょうどのを支援するというのは?」

 裴巽の面貌めんぼうが、ぱっと明るくなった。

「どうせ、私には往くてもない。介象兵を率いる者も必要だろう。その申し出、喜んで受け入れよう、娄乾どの」

「ならば、私にも手伝わせてくだされ」

 その声に、娄乾と裴巽は後ろを見遣みやった。

 全身黒尽くめの装いだった。眼元だけが見えている。娄乾と裴巽に気付かれぬ間に、その背後を取っていた。

巩岱きょうたいどのか――⁉」

 眼をいた娄乾の顔が、たちまち驚喜の笑みに変わった。

「……表の部隊を裴巽が率い、裏の部隊を巩岱がまとめる。私は……組織を束ね、益々大きくしていけば良いということか……。これは面白い!」

 嬉々としたような娄乾は、広大な庭の隅を見遣った。そこには、老母の墓石があった。


介象かいしょうよ、次は何処どこを目指すかえ?」

 肩の元緒げんしょただした。

「……含光がんこう承影しょうえい宵練しょうれんの三剣、この所在が気になるな」

「うむ。蚩尤しゆうが復活したのも、三剣の行方が不明になったことが発端じゃからのう……」

「…………」

 すると――。

 先を急ぐ介象の足が止まった。

「な、何じゃ?」

「我らと蚩尤の戦、仕組まれたものだったか……?」

 介象は、低くうなるようにつぶやいた。

此度こたびの戦、誰人だれかの仕業だったというか――⁉ だが、誰人じゃ⁉ 誰人がたばかった⁉」

「わからぬ。わからぬが、そうであれば、我らに蚩尤を仕向けるために、その封印を解いたことになる。だが、蚩尤の暴走が不要となれば、仕組んだ者も再び三剣が必要となるのでは……」

「再び蚩尤を封印するためにか……?」

「…………」

 元緒の問いに、介象は空に浮く雲間を見上げた。

「……含光、承影、宵練の三剣は、そう遠くない地にある」

 介象は、次に向かう方角へ漆黒の襤褸ぼろまとったからだを向けた。

 干将かんしょう莫邪ばくや眉間尺みけんしゃくの剣が収まったさやが、カチリと音を立てて触れ合った。

しん国へ――」

 世は、依然として乱れていた。

 天に輝いていたのは、日輪だった。

 広大な青空が、どこまでも広がっていた。(了)

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