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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
跋章 終焉
299/302

旅立の八星

登場人物

介象かいしょう…………方士。干将かんしょう莫邪ばくや眉間尺みけんしゃくの三剣をびる。萬軍八極ばんぐんはっきょくの極主。

元緒げんしょ…………方士。介象の師であり、初代の介象。

娄乾ろうかん…………剣の手練者てだれあやかしの虎憑耳こひょうじしもべに持つ。曳影えいえいの剣をびている。萬軍八極の壱。

鄒兌すうだ……医のの生娘。妖しの月兔げっとを僕に持つ。萬軍八極の弐。

藺離りんり…………槍の手練者。妖しの火鼠かそを僕に持つ。萬軍八極の参。

韋震いしん…………双短剣の使い手。妖しの雷公らいこうを僕に持つ。萬軍八極の肆。

裴巽はいそん…………げきの手練者。妖しの飛廉ひれんを僕に持つ。萬軍八極の伍。

欧陽坎おうようかん…………矛の手練者。妖しの短狐たんこを僕に持つ。萬軍八極の陸。

花艮かごん…………まさかりの使い手。妖しの山操さんそうを僕に持つ。萬軍八極の漆。

丘坤きゅうこん…………美質な弓の名手。妖しの狻猊さんげいを僕に持つ。萬軍八極の捌。

 介象かいしょう元緒げんしょ、そして、萬軍八極ばんぐんはっきょくたちは、娄乾ろうかんやしきへと還った。

 広大な庭で開いた酒宴は、十日ほど続いた。

 そして――。

「では、介象さま、元緒さま、お達者で……」

 慇懃いんぎんかぶりを垂れたのは、旅装をした長髯ちょうぜん藺離りんりだった。

 その脇で、同じように旅装した欧陽坎おうようかんが、虎髭とらひげを逆立て破顔はがんした。

「いつでも呼んでくれよ、介象さま! 元緒さま! 必ず駈け付けるからよ!」

 義兄弟の藺離と欧陽坎は、藺離の故郷、せい国の臨淄りんしに帰ることにしたようだった。その後、欧陽坎の古里にも二人で訪れるらしい。

い。萬軍八極であることを誇りとし、研鑽を積むことを忘れるでないぞよ」

「はい、元緒さま。ああ、故郷に帰る日が来ようとは、思ってもおりませなんだ」

「俺は、兄者の兄弟たちと試合するのがたのしみでしょうがねえ」

 感慨にふける藺離に反し、欧陽坎は落ち着きがなかった。

「義の人、藺離。忠の人、欧陽坎。その義兄弟の名は、いつまでも俺の胸に刻まれている。また会おう、同志よ」

「はっ」

 藺離と欧陽坎は、介象に丁寧な拱手きょうしゅをしてみせた。残った萬軍八極と挨拶を交わし、娄乾の邸を後にした。

 明くる日――。

「介象さま、元緒さま、我らも参ります」

 丁寧に頭を垂れたのは、巨軀きょくに旅装を施した花艮かごんだった。

「またね、介象さま、元緒さま」

 同じように旅装した鄒兌すうだが、あどけなさの残る笑みを二人に見せた。

 花艮は、身寄りのない鄒兌を引き取り、てのない旅に出ることにしていた。

 鄒兌は、その提案を快く受け入れた。

「好い好い。鄒兌や、花艮を父と思い、重々孝行せねばならぬぞ」

「合点!」

「花艮よ、云うまでもないが、鄒兌を本当の娘と変わらず、大切に育むよう」

「はっ」

 介象と元緒を前に、鄒兌が可愛らしい笑みを見せると、花艮は静かに拱手した。

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