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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第18章 雄光
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西日、赫く

登場人物

介象かいしょう…………方士。干将かんしょう莫邪ばくや眉間尺みけんしゃくの三剣をびる。萬軍八極ばんぐんはっきょくの極主。

元緒げんしょ…………方士。介象の師であり、初代の介象。

娄乾ろうかん…………剣の手練者てだれあやかしの虎憑耳こひょうじしもべに持つ。曳影えいえいの剣をびている。萬軍八極の壱。

鄒兌すうだ……医のの生娘。妖しの月兔げっとを僕に持つ。萬軍八極の弐。

藺離りんり…………槍の手練者。妖しの火鼠かそを僕に持つ。萬軍八極の参。

韋震いしん…………双短剣の使い手。妖しの雷公らいこうを僕に持つ。萬軍八極の肆。

裴巽はいそん…………げきの手練者。妖しの飛廉ひれんを僕に持つ。萬軍八極の伍。

欧陽坎おうようかん…………矛の手練者。妖しの短狐たんこを僕に持つ。萬軍八極の陸。

花艮かごん…………まさかりの使い手。妖しの山操さんそうを僕に持つ。萬軍八極の漆。

丘坤きゅうこん…………美質な弓の名手。妖しの狻猊さんげいを僕に持つ。萬軍八極の捌。

貔貅ひきゅう…………萬軍八極が異界より召喚した戦闘に優れる妖し。萬軍八極の玖。


蚩尤しゆう…………邪神。

「俺は、お前より剛健。それに、萬軍八極ばんぐんはっきょくも居る。幾度、世をよこしまに陥れようとも、その度に俺たちがお前をくじく」

「正気か、貴様……?」

「俺は、更に強くなる。お前を封印しては、その差が開くだけだろう」

「…………」

 蚩尤しゆう面貌めんぼうに、微笑が刷かれたように見えた。

「……わしは……常に貴様を見ているぞ、介象かいしょう

「望むところ

 蚩尤は、介象に背を向けた。

「……赫胥かくしょを頼む」

「うむ」

 ふっと、蚩尤の姿が消えた。

 西日が、原野をあかく照らしていた。


「お願い、月兔げっと!」

 十二体が総出だった。

 原野を跳ね飛んでいたのは、黄金こがね色に輝く月兔だった。次々と萬軍八極たちのからだに飛び込んで消えている。

 鄒兌すうだの傷は塞がっていた。そればかりではない。気力、体力は回復し、同志の治療に惜しげもなく霊気を練り上げている。

 介象は、元気な乙女の鄒兌を眼に、干将かんしょう莫邪ばくやの剣をさやへ収めた。腰にびた三振りの剣の鞘が互いに触れ合うと、カチリと音を立てた。

 深手を負った貔貅ひきゅうも、鄒兌に安堵あんどの笑みを向けると、その姿が薄くなって消えた。元緒の胸元の木札に自ら還った。

「……俺たちは、蚩尤に勝ったのか?」

 地に胡座こざした韋震いしんが、誰人だれにともなくいた。

「蚩尤を封印してはいないが、我らは誰人も失っていない……。それが答えだ」

 気の抜けたような娄乾ろうかんが、夕陽に眼を凝らしていた。

「けどよ、またいつ蚩尤が悪さをするかわからねえぜ?」

 ほこを肩に掲げた欧陽坎おうようかんが、娄乾に身を寄せた。

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